魔法主義世界に魔力無しで転生した俺は、無能とバカにされつつも無能の『フリ』して無双する

エンドレス

文字の大きさ
62 / 79
冒険者の血統

盗賊団の仲間

しおりを挟む
 【セイラル盗賊団】それが、俺──シュウ・セイラルの家であり、仕事だ。
 母親は俺を生んで直ぐに亡くなり、親父と盗賊団の仲間が俺をここまで育てあげた。
 この世界レジテンは基本的に魔法主義であり、盗賊だろうが兵士だろうが魔力がある奴が偉いとされるのだが、は少し違う。
 親父や他の仲間は剣や槍を得意としている。魔法も勿論使えるのだが断然、物理攻撃を全員が得意としていた。
 理由は一つ。
 俺達の獲物────つまり商人の多くは、魔法攻撃に対する警戒を最大限にしている。何故なら、殆んどの盗賊団は魔法攻撃で奇襲をかけるからだ。

 だからこそ俺達セイラル盗賊団は魔法よりも素早く、かつ直感的に行動出来る物理攻撃だった。
 全員が体術、武術、剣術、弓術のどれかをトコトン修行している集団なので、今まで奇襲で失敗した事は殆んど無かった。
 寧ろ、物理攻撃を仕掛けるには奇襲以外あり得ないのだが──面と向かってやりあったら、強い魔法には敵わない。
 兎に角、奇襲。今回も勿論、奇襲なのだが仲間がまだ来ていない……

「トータルとヤンマは? あいつら遅くね?」
「うん。この場所は初めてだしね。でも、もう直ぐ来ると思うよ。多分、まあ────私が出る時にはまだ寝てたけど」アンナは考える様な仕草をして答えた。

「それ、この場所初めてとか関係なくね? ってか、おまえも起こしてこいよ……」

 何はともあれ。俺達は必ず少人数で行動する。
 大勢で行動すると目立つ事も理由だが、実際には連携の取れた四人が奇襲にはベストであり、それに見合う相手しか狙わない。
 セイラル盗賊団は、基本的に大規模な商団には手を出さないのだ。数が多ければリスクも大きい。
 ルールはもう一つ────ヴェロス王国周辺の商人は狙わない。

 ヴェロスに出入りする商人に素人は少ない。それにヴェロスは冒険者の出入りが多いので、ついでとばかりに護衛依頼も多く出回る。奇襲をかけても手練れの冒険者がいると面倒だ。
 だが──今回だけは例外だ。
 狙う相手が、北方大陸のサラン王国からヴェロスに魔鉱石を運ぶ三人組の商人と決められている。

 これはセイラル盗賊団に持ち込まれた依頼で。目的は魔鉱石のヴェロスへの流入を防ぐ事らしい。
 成功報酬が出るし、相手は三人との事なので美味しい話だ。
 だが一応はヴェロス行きの一行。
 盗賊団でも実績の多い俺達のチームが選ばれた。と、いうか依頼者側からも俺達への指名があったのだ。

 俺のチームは俺とアンナ、トータル、ヤンマの四人。
 アンナは俺と同い年でまだ十六歳の少女だが、ナイフの腕前は一級品で高い身体能力で身のこなしも軽く、何より八年程一緒にいて絶大な信頼が持てる。

 トータルって奴は、二五歳の見た目優男なお兄さんだが、身体中に無数の武器を忍ばせていて対応力、応用力がすごい。しかも、親しみ易い感じで商人に違和感無く近付く術は誰の目をも欺いた。

 ヤンマは元々ちんけな盗人ぬすっと野郎だったが、親父に腕前をかわれて盗賊団に入った。シミターを使ったその剣術はかなりのものだ。年齢は確か俺と同じくらいだったはず。

 基本的に全員、あまり自分の事を話さないのでハッキリとは知らない。だが、ここ三年以上はメンバー変わらずの連携が取れた仲間だ。
 基本的に盗賊団の連中はわけありが多く、深く詮索するのは御法度で。一々過去を聞かないし、ちゃんとした名前すら知らない者もいるが。
 必要なのは作戦を理解出来る最低限の頭と、それを遂行出来る能力スキルだ。

 一五分遅れて、待っていた二人がやって来た。

「若旦那。遅れました」と、頭をペコペコ下げるトータル。
「寝坊しちまったぞ」と、ぼうっとした顔でヤンマは頭をポリポリ掻く。

「また寝坊かよ。十二回目だぞ……次は無いからな」
「いやいや。まだ三回目だけどね。寧ろ、よく十二回も許してたら可笑しいでしょ。まあ。三回目でも私なら信じられないけど。きっとシュウは次も同じ事言うって私には予想出来るわ」

「まあ。男には途中で覚めるとスッキリ出来ない夢があるんだよ」
「そうそう。その通りです、若旦那」
「間違いないぞ」
「どんな夢よ! 聞きたくもないけれど!」

「兎に角。仕事さえこなせば文句は言わねぇよ。作戦はいつもと同じ。あと一〇分くらいで対象ターゲットがここを通る。来たらトータルの声かけからスタートだ」
「了解。若旦那」
「オッケーだぞ」
「まあ。今回もサクッと終わらせましょう」

 全員からの返事を聞いて俺は頷いた。
 今更になったが、俺の親父はカザグ・セイラルと言って、現在の盗賊団頭領であり、俺はその跡継ぎ。つまりは次期頭領となるが、今はこのチームのリーダーだ。
 そんな俺の得意なのは『母親譲り』と言われてきた弓術。
 どんなに遠くからでも絶対に対象を外さない自信があったのだ。今日までは────
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。 王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。 物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。 そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。 原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。 彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。 マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが― 「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」 なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。 こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。 ※他小説投稿サイトにも投稿中

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...