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冒険者の血統
ギルド統治反対派
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◇◇◇
「ローズ様! 時限式の爆裂魔法みたいです。ギルド地区以外の被害はありません」
「なら狙いはギルド本部かしらね。ギルド隊だけで解決させます。あなたは、隊を総動員して敵の姿を見付けなさい」
「了解しました!」
走り去って行く隊員を見送り、ローズは自分の頭を整理していた。
ギルド地区の複数箇所で突然爆発が起きた時、ローズは仮眠を取っている最中だった。そして爆発音に飛び起きて外に出ると、周囲何ヵ所かが炎上していたのだ。
つまり、これは計画的な奇襲であるとローズは思う。
今だ曾てギルド地区に不審者が侵入した事は無かった。というか不可能だ。ギルド地区は冒険者ギルドを入り口としており、そこから先に拡がるヴェロスの重要区域である。
帝都でいう所の城にあたる場所だ。そんな所に関係者以外が入るのは不可能だ。
ならば犯人は、帝国の人間かギルドの人間だと考えた。
アールヘイズ帝国には、ヴェロスを良く思わない者が一定数存在する。ヴェロスは帝国第二位の都市でありながら、帝国貴族では無く冒険者ギルドが統治している。
それを良しとしない『ギルド統治反対派』の帝国貴族は多い──となるとやはり、ギルド内部に反対派のスパイがいた可能性が高い。
ローズはギルド本部に向かおうとしたが、思う事があり先ずは牢獄の方へと向かった。
ギルド本部はギルド隊の多くが警戒している。それで牢獄の方が手薄になっている事に、些かの不安を覚えたのだ。
牢獄には現在囚人がいる。
殆んどあり得ないが、盗賊達の仲間が囚人の奪還に来た可能性も少しは考えておく必要があったのだ。
そして、ローズは牢獄のある監視塔にたどり着いた。
すると監視塔周辺にギルド隊の者や、看守の者達が数名倒れている。既に生き絶えているようだ。
そして驚く事に、倒れている仲間を踏みつけて歩いている男がいるではないか。
「レティマ! そこで何をしてるの?」
「ほう。これはローズ様。どうしてここに? いや。僕は無能な隊員達の弔いですよ」
ギルド隊の格好をした、細身で少し背の低い男──レティマは軽く笑いながらそう答えた。
彼はギルド隊で二番手の魔法使い。
元々は帝国の魔法士だったが、ギルド隊へと移動してきたのは一年程前だ。
「なんのつもり?」
「だから僕は、彼らの弔いを……」
「ふざけないで。あなた、反対派の人間だったの?」
と、ローズがレティマへ疑いをかけた直後────ローズの身体はガクン……と、上から押される様にして地面に膝をついた。
「こ、これは……」
「すいませんね。あなたには恨みが無いのですが──ついでなので、死んでください。この騒ぎの犯人にでもなってもらいましょう」
「や、やはり……あなたが!」
レティマがローズに近付いて、彼女の顔に右の手のひらをかざすと、ローズは急速に自分の喉が締まっていくのを感じた。
何故?──犯人はともかく。ローズは一つ府に落ちなかった。
反乱を企てるならギルド本部を狙う筈なのに、レティマは牢獄に一体何の用事があったと言うのか?
しかし。もはやローズは意識が失われる寸前だった。
もう、抵抗する事も無理だと諦めた時────ふっと喉が緩まり苦しみから解放された。
見れば、レティマが後ろに飛び退いており。彼が立っていた場所には一本の矢が刺さっていた。
「いやあ。まいったな……こりゃ。まさか、またしても俺の矢が避けられるとは思いもしなかったわ」
そうおどける様に言ったのは、牢に入れられている筈の少年──シュウだった。
彼は今、まさに監視塔から出て来た所だった。その手にはシッカリ弓を握っている。
一体どうやって牢から出たのか? あの牢は魔法結界が施されており、爆発も受け付けないはずだ。ローズがそんな疑問を抱くも。
レティマの方は、特に驚いた感じも見せずにシュウに話し掛ける。
「おや? やはりそこにいたのですか。さっきは、見当たらなかったのに……何処に隠れていたのですかねぇ」
レティマはシュウを見て、不思議そうに首を傾げた。
ローズには勿論、彼の言葉の意味など分かる筈もないのだが……それは、シュウにしても同じ事だったようだ。
「は? 何言ってんだ?」
シュウが眉間に皺を寄せてレティマに問い掛けると、レティマは薄い笑みを浮かべて答えた。
「一緒に捕らえられていたあなたの仲間に聞いても、全く口を割らないし。ここには居ないのかと思っていたが────
結局、自分からノコノコ出て来たのでは、あなたの仲間達も死に損だね。フフッ……まあ。僕としては願ったり叶ったりだけれども」
「仲間? お前何を言ってるんだ。アンナ達ならここに……」
シュウは急に辺りをキョロキョロする──まるで誰かを探すかの様に。ローズには全く話が理解出来ない。
しかし次の瞬間。
慌ててシュウは建物の中へと戻って行った。そんな彼の様子を見て、レティマがローズにボソリと呟く。
「どうやら幽霊でも見ていたのかな? さて。これは面白いものが見れそうですね。そう……折角だし、死ぬ前にローズ様も見ておくといいですよ」
「レティマ? あなた、何を言ってるの?」そうローズが問いかけて間も無く────
目の前の建物の屋根を突き破り、激しい音と共に空に向かって一筋の光の柱が伸びた。
雲を蹴散らし大地を揺るがす程の衝撃波と共に、その光からほとばしる恐ろしい程強大な魔力をローズはビリビリと全身に感じていた。
「ローズ様! 時限式の爆裂魔法みたいです。ギルド地区以外の被害はありません」
「なら狙いはギルド本部かしらね。ギルド隊だけで解決させます。あなたは、隊を総動員して敵の姿を見付けなさい」
「了解しました!」
走り去って行く隊員を見送り、ローズは自分の頭を整理していた。
ギルド地区の複数箇所で突然爆発が起きた時、ローズは仮眠を取っている最中だった。そして爆発音に飛び起きて外に出ると、周囲何ヵ所かが炎上していたのだ。
つまり、これは計画的な奇襲であるとローズは思う。
今だ曾てギルド地区に不審者が侵入した事は無かった。というか不可能だ。ギルド地区は冒険者ギルドを入り口としており、そこから先に拡がるヴェロスの重要区域である。
帝都でいう所の城にあたる場所だ。そんな所に関係者以外が入るのは不可能だ。
ならば犯人は、帝国の人間かギルドの人間だと考えた。
アールヘイズ帝国には、ヴェロスを良く思わない者が一定数存在する。ヴェロスは帝国第二位の都市でありながら、帝国貴族では無く冒険者ギルドが統治している。
それを良しとしない『ギルド統治反対派』の帝国貴族は多い──となるとやはり、ギルド内部に反対派のスパイがいた可能性が高い。
ローズはギルド本部に向かおうとしたが、思う事があり先ずは牢獄の方へと向かった。
ギルド本部はギルド隊の多くが警戒している。それで牢獄の方が手薄になっている事に、些かの不安を覚えたのだ。
牢獄には現在囚人がいる。
殆んどあり得ないが、盗賊達の仲間が囚人の奪還に来た可能性も少しは考えておく必要があったのだ。
そして、ローズは牢獄のある監視塔にたどり着いた。
すると監視塔周辺にギルド隊の者や、看守の者達が数名倒れている。既に生き絶えているようだ。
そして驚く事に、倒れている仲間を踏みつけて歩いている男がいるではないか。
「レティマ! そこで何をしてるの?」
「ほう。これはローズ様。どうしてここに? いや。僕は無能な隊員達の弔いですよ」
ギルド隊の格好をした、細身で少し背の低い男──レティマは軽く笑いながらそう答えた。
彼はギルド隊で二番手の魔法使い。
元々は帝国の魔法士だったが、ギルド隊へと移動してきたのは一年程前だ。
「なんのつもり?」
「だから僕は、彼らの弔いを……」
「ふざけないで。あなた、反対派の人間だったの?」
と、ローズがレティマへ疑いをかけた直後────ローズの身体はガクン……と、上から押される様にして地面に膝をついた。
「こ、これは……」
「すいませんね。あなたには恨みが無いのですが──ついでなので、死んでください。この騒ぎの犯人にでもなってもらいましょう」
「や、やはり……あなたが!」
レティマがローズに近付いて、彼女の顔に右の手のひらをかざすと、ローズは急速に自分の喉が締まっていくのを感じた。
何故?──犯人はともかく。ローズは一つ府に落ちなかった。
反乱を企てるならギルド本部を狙う筈なのに、レティマは牢獄に一体何の用事があったと言うのか?
しかし。もはやローズは意識が失われる寸前だった。
もう、抵抗する事も無理だと諦めた時────ふっと喉が緩まり苦しみから解放された。
見れば、レティマが後ろに飛び退いており。彼が立っていた場所には一本の矢が刺さっていた。
「いやあ。まいったな……こりゃ。まさか、またしても俺の矢が避けられるとは思いもしなかったわ」
そうおどける様に言ったのは、牢に入れられている筈の少年──シュウだった。
彼は今、まさに監視塔から出て来た所だった。その手にはシッカリ弓を握っている。
一体どうやって牢から出たのか? あの牢は魔法結界が施されており、爆発も受け付けないはずだ。ローズがそんな疑問を抱くも。
レティマの方は、特に驚いた感じも見せずにシュウに話し掛ける。
「おや? やはりそこにいたのですか。さっきは、見当たらなかったのに……何処に隠れていたのですかねぇ」
レティマはシュウを見て、不思議そうに首を傾げた。
ローズには勿論、彼の言葉の意味など分かる筈もないのだが……それは、シュウにしても同じ事だったようだ。
「は? 何言ってんだ?」
シュウが眉間に皺を寄せてレティマに問い掛けると、レティマは薄い笑みを浮かべて答えた。
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結局、自分からノコノコ出て来たのでは、あなたの仲間達も死に損だね。フフッ……まあ。僕としては願ったり叶ったりだけれども」
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