「生きる」〜七日目の決意

吉永吉人

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蝉と人生

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 今日は学校で朝から皆んなから「月曜日はどうしたの」と言われた。「ただの熱中症だった」と僕は嘘ついた。 
 とても心臓病だったとは言えなかった。仲の良い親友にすら言うことができなかった。僕は言えなかった事に後悔していた。僕はそのまま時を過ごした。
 二時限目は授業参加だった、みんなに「たくちゃんのママ来てなかったね」と僕は言われた。流石にみんなの前でお母さんとお父さんを事故で亡くしている事は言えなかった。
 僕はみんなのことがとても羨ましかった。
 昼休みに皆んなはグランドでサッカーをしていた。僕は教室からそれを眺めていただけだ。僕の大好きなサッカーが出来なくてとても悔しかった。教室にいた女の子に「たくちゃんはなんでサッカーしないの?」と言われた。足が痛いと嘘をついてしまった。付きたくない嘘をついて、とても辛かった
 僕もいつかは消えて亡くなってしまうのかなと考えていた。考えていると胸が苦しかった。やりたいことが出来なくて、食べたいものが食べれない、そんなの生きていて意味があるのだろうか。僕は毎日のように、なにかを考えていた。
 六時限目の理科の授業で外に行って蝉掴みをした。
 僕は蝉を一匹つかまえた。蝉を育てる事になった。
 僕がつかまえた蝉は僕のように死ぬのが恐くて怯えて震えていた。皆んなには生きるための夢や希望があると思うけど僕にはもう夢や希望なんてものはなかった。ただ時間が過ぎ去っていくだけだった。蝉にも夢や希望なんてものがあるのだろうか。僕の人生は蝉の人生と一緒だった。
 だが僕には実は一つだけ夢があった、それは中学校いや、高校に行く事だった。高校に行って恋をしたかった。
 僕は人生の中で一度も恋をしたことなかった。恋をせずに死ぬのが恐かった。僕は毎日のように死ぬ事に怯えていた。
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