供養部屋

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供養③魔法使い×平凡

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「……ニャア……」


不意に猫の鳴き声がし、路地裏の隅で踞り泣いていた海野蛍は、徐に顔を上げた。

泣き腫らし涙で濡れた蛍の頬が、路地の向かいにある店のネオンの灯りを反射させる。
暗く湿った場所は吐く息をくっきりと白く浮かび上がらせ、側の排水溝からはドブのような匂いがたちのぼり、蛍はそんな薄汚い場所でよれよれのスーツが汚れるのもお構いなしに膝を抱え座ったまま、しかし突然自分の隣に佇んでいる猫を見つめた。

「ニャア」
「……ねこ、ちゃん?」
「ニャア」

蛍の呼び掛けに反応するよう猫が鳴き、踞る蛍の体に自身の体をスリスリと擦り寄せてくる。
その愛らしい仕草に蛍は一度目を見開き、それから体勢を変えて猫を慎重に膝の上に乗せた。

「……綺麗だね」
「ニャア」

まるで漆黒の闇のような艶々とした黒い毛並みに、宝石のような紫色の瞳。
それがとても美しく、蛍がそろりと体を撫でれば、掌から伝わる柔らかな毛と温かさ。
その温もりに蛍はへにゃりと微笑んだが、それからまたしても大粒の涙を流してしまった。

「ニャア」
「わ、ふふ、……泣いちゃってごめんね……。慰めてくれてるの?」
「ニャア」
「ふふ、ありがとう」

頬をペロペロと舐めてくる猫の、ザラザラとした舌の感触。
それに笑いながら、寒い真冬の、しかもこんな荒れた路地裏で一人さめざめと泣き夜を明かすと思っていた蛍は、突然の心優しい猫との出会いにまたしても微笑み、ぎゅっと小さな体を抱き締めた。



──海野蛍、二十六歳。
本日めでたく二十六歳の誕生日を迎えたばかりの、しがないサラリーマンである。
そこそこの貯金と引き換えに、毎日朝から晩まで働き詰めの生活をし、社畜と化して早数年。
そんな日々に疲弊しきっている蛍だったが、何故か今日はどうしても定時に帰宅したいと、いつもより仕事を頑張っていた。
だが課せられた仕事量はもちろん簡単に処理出来る筈もなく。しかし、普段ならば山積みの仕事を投げ出してまで帰宅するなんて事は絶対にしないのだが、今日はどうしても帰りたかった蛍は八時を過ぎる頃に会社を飛び出していた。
そうして、週明けにきっと上司にこっぴどく叱られるだろう。と思いながらもふらふらとした足取りで目に入ったコンビニへと向かい、ささやかながら自分へのプレゼントとして買った、売れ残り割引になっていたコンビニの二個入りショートケーキを買った所までは、良かった。
しかし、今日はなんだか良い事がありそう。だなんて何だか良く分からない高揚とした気分のまま、付き合って三ヶ月になる恋人に電話をしてしまった所から、蛍は選択を間違えたのだろう。

プルルッと鳴り続ける着信音を耳にしながら、……出ないなぁ……。……あ、お家に行ってみようかな……。だなんて、普段では絶対に持てない勇気に駆り立てられワクワクと胸を弾ませていた蛍は、意気揚々と恋人である高山昇の住む家へと向かったのだった。

引っ込み思案で暗い。
話してもつまらない。
何を考えてるのか分からない。

そう昔からずっと言われてきた蛍は、当たり前にモテた事などなく。
そして、自身の恋愛対象が男性だと分かったあとからも、今まで自分から何の行動も起こした事すらなかった。
だからこそ、このまま一生誰とも深く関わることなく一生を終えるのだろうと漠然と思っていた蛍だったが、しかし三ヶ月前、いつものように強制参加させられた会社の飲み会でたまたま隣同士に座った事がきっかけで、社内の期待の有望株として名高い高山と交際を始めた。
男前で、部署は違えど優秀で優しいと噂の的だった高山に蛍は以前から憧れ少し淡い恋をしていたのだが、その日、『二人で抜け出そうよ』なんて飲み会の席で耳打ちされ、誘われるがまま着いていった先のラブホテルで流されるがまま体の関係を持ってしまった蛍は、それまで性行為はおろか恋愛すらしたことがなかったというのに訳が分からないまま脱がされ、抵抗も出来ず暴かれ、ズキズキと痛む体に泣きそうになっていた。
しかしそんな蛍の汗ばむ髪の毛を撫でながら、『付き合おうか、俺たち』だなんて情事後高山から掛けられた言葉に、蛍は


ここまで書いて途切れてます。

平凡受けちゃんが彼氏に浮気され泣いてる所を黒猫ちゃんが現れ、その後誘われるがまま後を着いていくと小さなお店があり、その店主がまさかの黒猫に化けていた人で、しかも魔法使い(ドラゴンの末裔でもある)!?そして僕がそんな人の運命の伴侶!?
という、ファンタジー要素てんこもりな話を書きたいな~と思って書いた走り書きです。
この二人もいつかちゃんと書いてあげたいです。
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