供養部屋

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供養②狼人間×無自覚オメガ

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パターン①


真っ黒な空間のなか、そこだけスポットライトが当たっているかのように、小さな動物がぽつんと座っている。

小さいがしなやかな体は美しく、滑らかな茶色の毛は、尖った耳までもをふさふさと覆っている。
それは一見愛らしい子犬のようにも思えたが、鋭い牙と綺麗だが力強い薄茶色の瞳は、その動物が狼である事を告げていて。
その茶色の小さな狼はただただじっとこちらを見つめながら、けれども悲しげに瞳を潤ませ、クゥン、クゥン。と鳴いている。

それはいつも見る夢であり、どうして泣いているの。と、大丈夫だよ。と手を伸ばし抱き締めたくてもどうする事も出来なくて。
それが悲しくて胸が痛くて、届かないと知りながらもひたすらに手を伸ばし続けた。





──ピピピッ。と鳴り響く、目覚まし時計の音。

その音にハッと目を開けた朔は、こめかみが濡れているのを感じながら、数秒間じっと天井を見つめていた。

悲しそうに鳴きながら、こちらを見つめる小さな狼。

その夢は幼少期から見ており、そして最近はほぼ毎晩見るようになっている。
あの狼の悲しげな姿に、毎朝激しい胸の痛みと寝ている間に流れている涙でこめかみが濡れる感触で起きる朔は、重い溜め息を吐きながら身を起こした。

……あの子はどうしていつもあんなに悲しそうにしてるんだろう。

そう思いながら、抱き締めてあげられたら良いのに。だなんて自身の小さな手を見下ろした朔。

だがそれから気を取り直すよう涙の名残を拭い、今日は感傷を引きずっている場合じゃないと、気合いを入れるよう頬を叩いた。



「おはよう朔」
「朔、おはよう」

自身の部屋から一階へ降り、歯と顔を磨いてリビングへと向かえば、キッチンに居る母親と食卓で新聞を読んでいた父親が柔らかく笑う。
それに朔も笑顔で返事をしながら、母親の隣へと立った。

「寝不足? 目が赤いわよ」

だなんて朔の顔を見ては、母親が心配げに頬に手を伸ばしてくる。
それに朔は擽ったさからクスクス笑い、けれども大丈夫だと呟いた。
もう四月から大学生になるというのに、小柄な母親と大差ない身長しかない朔は未だ子どもだと思われているのかこうして幼子のように心配される事が気恥ずかしく、けれども幸せそうに笑った。


それから三人で朝食を取ったあと、両親が朔をじっと見ては感慨深い顔をし始めたのを見て、朔は笑った。

「二人とも、そんな顔しないでよ」
「へ、ああ、ごめんね。朔ももう、大学生なのかと思って……」
「一人暮らしなんて、本当に大丈夫なの?」

染々と呟く父親の横で、心配さを滲ませ母親が眉を寄せる。
それに安心させるよう、朔は頷いて微笑んだ。

「大丈夫だよ。お母さんに教えてもらって家事は一通り出来るし、もう大学生になったんだから、頑張ってみたいんだ」
「……そう。でも、辛くなったらいつでも帰ってきて良いんだからね。大学だって、ここから通えないほど遠いって訳じゃないんだから」
「……うん。ありがとう」
「トラックがあと二時間もすればあっちに着くだろう。そろそろ俺たちも家を出ようか」
「うん」

わがままを言って一人暮らしさせてもらうとは分かっているが、いつまでも自分の殻に閉じこもり親に守ってもらう子どものままではいたくないと、この春から自身を奮い立たせ頑張ろうと決めていた朔は、もう一度大丈夫だというよう、心配そうな表情をする両親に向かって微笑んだのだった。




***



「……ふぅ、荷物はこれくらいかな」

部屋のなかに散らばる段ボールの一つを整理した朔は、額に浮かんだ汗を拭った。

今日から一人暮らしをする、こじんまりとしたワンルーム。

けれど大学から近く徒歩で通えるという点が朔にとって非常に重要で、そして静かな雰囲気が、気に入ったのだ。


「朔、これはここで良いの?」
「あ、うん。ありがとう」

大まかな家具はもう先に業者に運び入れてもらっていた為、細々とした段ボールを両親と一緒に運んできた朔は、一緒に荷解きを手伝ってくれている母親の声に振り向き、頷いた。
それからぐるりと部屋を見渡した朔は、業者に運び入れてもらった小さな棚の位置がどうしても気になり、眉間に皺を寄せた。

「どうしたの?」
「へ、あ、ううん、何でもないよ」
「遠慮しないで言いなさい」
「……えっと、ちょっとここの棚が……」
「ん? そうか。じゃあ動かそうか」
「ありがとう。あ、もう少しこっち……、あ、行きすぎた……」

父親が反対側を持ってくれ、一緒に位置を調整する朔。
その指示はとても細かく、普通の人なら気にならないほどの誤差の範囲でも、部屋の配置や物の配置に異常に拘りがあるという癖を昔から持っている朔は、それからぴったりの位置を見つけ、満足げに頷いた。

「……よし、ここが良い。手伝ってくれてありがとう」
「ああ」



ここまで書いて途切れてます。


パターン②


──深い霧が漂う、朝露に濡れた森林。
その鬱蒼とした茂みの中、バキバキッと地面に落ちた小枝が折れる音と、枯れ葉を踏み鳴らし進む荒々しい足音が響いている。
そして唸り声が辺りを裂き大地を震わせ、それに怯えるようピチチッと小鳥が木々から飛び立っていた。

ハッハッ。と荒い息を響かせ、森を縦横無尽に走っていたその声の主が、茂みの中から勢い良く飛び出す。
その弾丸のような身は艶々とした銀色の毛並みで覆われ、開いた口から覗く赤い舌と、鋭い歯。
そして爛々と輝く深いブルーの瞳をした大きな狼は顔を上に向け、深く鋭い声で吠えた。

空気を幾重にも震わせ、こだまする力強い遠吠え。

それが波のように空を駆け、高らかに吠えた巨大な狼は満足げに豊満な尻尾を振っていたが、しかし遠くから響く仲間の声に途端に今度は不服そうに足を一度踏み鳴らしたあと、けれども来た道を戻っていった。


それから、数分後。
森の奥深くから抜け出した狼は、木々が途切れ森との堺かのように建っている一軒家の裏庭へとたどり着き、すっかり太陽が昇った晴れやかな青空の下で似つかわしくないほどしかめっ面をし仁王立ちしている青年を見つけ、気まずげに下を向いた。

「朝の散歩は程々にしろと何度言えば分かるんだ。学校に遅れるだろうが馬鹿」

巨大な狼を見下ろし、怯える事もなく悪態を吐く青年に馬鹿呼ばわりされた狼が一度不服そうにフンッと鼻を慣らす。
しかし

ここまで書いて途切れてます。


パターン②に関してはほんと何これって感じですが、狼人間というのを隠しながら街に溶け込み暮らしている攻めと、自分が狼人間だという事を知らない受けが大学で出会い、番いになる話を書きたいな~と思って書いた走り書きです。

受けちゃんが自分の体に起こる変化に怯えたり、運命の相手がまさか自分自身の生態の事も知らないような人というのにびっくりしつつも寄り添って狼人間という生態やアルファやオメガといったのを教えていってあげたりする攻めが見たいな~と……
この二人もいつかちゃんと書いてあげたいです。
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