6 / 53
1章~新透明人間事件~
新透明人間③
しおりを挟む
《2》
愛知県豊田市。中心街から車を走らせた田舎の街並み。鳥の鳴き声が自然を感じさせる。今度は車にアレを詰め込み車を走らせる。
山道を登り、警察がたむろう場所を通り過ぎ、左沿いに車を停める。わざわざ行く必要はないと制止したがモタローは「何か問題でもあったのかな。探偵として真実が気になるサブクエストだね」と言い、無邪気に飛び出して行った。けんこう警部のくだりまで一緒だ。
近くの公園にて腰を下ろした。
見渡しても誰もいない。
空になったカフェオレ。見渡しても誰もいない公園であった。
「さあ、モタロー探偵事務所の秘密兵器を繰り出すとしようか。」
「はい。そうしましょう。」
出されたのはドローンだった。遠隔カメラが付けられている。また、手元には大きめなアイパッドが用意された。
「三十メートル確保。ドローン充電マックス。カメラ接続完了。さあ、発進さぁ!」
モタローは手に持つ機械を器用に動かす。ドローンの動きに合わせて、アイパッドに映された映像も動いていく。ルインがカメラの角度を調整したりズームしたりして様子を詳しく見ていく。
例のアパートの裏には警察官が何人も出動している。そこの殆どは畑であり、人は立っていない。建物に面したコンクリートの地面の場所に人が立つ。
「そこに落とされたんですね。」
地面に貼られたテープは人型を表している。その周りは少し赤っぽいのが分かる。
建物を見た。床テープの上は窓が各階に存在している。両隣りには小さなベランダがあり挟まれている感じで存在している。
建物の四階の窓だけ開いていた。
映像を拡大する。変哲もない部屋が映った。
「そろそろ精査といこうかい。」
ドローンを手元へと戻した。
記録した映像を見返していく。
部屋の様子を丁寧に見る。狭いリビングだ。左手にはテレビが掛けられている。テレビの横にタンスが置かれている。正面には奥にボロさが見え始めている二人掛けソファが置かれている。ソファと支柱の間に折り畳みの机が収納されている。右手はキッチンとなっていた。机上にはコップや袋が乱雑に置かれている。
ドローンが映し出したのはこれだけだった。
「手がかりはまだ掴めなさそうだね。」
「そうですね。やはり、情報が少なすぎますね。」
「そこは探偵の腕の見せ所だね。腕がなるよ。」
手がかりを得るためにまずは聞き取り調査をし始めた。まず八人に話を伺ったが、めぼしい情報はなかった。
そんな時だった。ふと坂道を歩いている老人を見かけた。その人をルインだけは知っていた。
「こんにちは。すみません。少しよろしいですか。実は私達こういうもので、彦根瑚子さんについて調査しているのですが、偶然瑚子さんのおじいさん、住吉さんが亡くなっていたんです。そこで住吉さんについても調べることにしたんのですが、もし知っていることがあれば教えて頂けませんか。」
出される名刺。
牛林はその場で立ち止まった。
「もちろんじゃ。分かること、教えちゃる。」
「立ち話も大変ですし、どこか座りましょう。あそこの公園のベンチで話するのはどうですか?」
首を縦に振った。
三人は公園のベンチに座った。
「まさか住吉さんが殺されるとは思いもしなかったんじゃよ。とても仲良かったんじゃがなぁ。」
前に話した時とは雰囲気が違う。
「住吉さんは誰かに殺されたんですね。」
「きっと、いや絶対そうじゃ。実はわしは遺体の第一発見者なんじゃ。見つけた時はのぅ、手首足首にそれぞれ縄が縛られておったんじゃ。」
素早くメモを残す。
「それも結ばれてたのは後ろ側じゃぞ。自殺な訳なかろうに。」
つまり、誰かが動けないようにしてから落とした、と。
「何か犯人に心当たりはありますか?」
「思いつかないんじゃよ。そうそう恨まれるような人じゃないんじゃよ。住吉さんは良い人なんじゃよぉ。」
今度は犯人は誰か分からないと言った。
何故か自分は犯人ですと言った以前の牛林とはまた違う牛林だと思わせた。
「夜中不穏な音とかは聞きましたか。」
「すまんが分からないんじゃよ。最近、耳の調子が悪くてのぅ。耳と目だけは自信がないんじゃよ。申し訳ないのぅ。」
「いえいえ。」
風で飛ばされた葉っぱが靴の上に乗った。
「そういうことは管理人さんに聞くといい。坂下の道とか階段とか防犯カメラがあるはずじゃ。管理人さんならもしかしたら何かに気づいているかも知れんのぅ。」
探偵は管理人の連絡先を教えて貰った。
牛林はこれ以上は何も分からないそうだ。そのまま帰ろうとした時に、ふと立ち止まる。そして、振り向く。
「そうじゃ。おぬしら彦根瑚子を調べとるっ言っとったなぁ。」
「えぇ。そのツテでここまで来たぐらいですから。」
「瑚子ちゃんなら昨日見たぞ。」
「えっ──」
「そもそも何ヶ月か前からかのぅ、ここに住み始めたんじゃよ。昨日は、わしが畑作業しとる時に、何かしとった時に声をかけたんじゃよ。」
彼は思い出そうと頭を捻る。
「そうそう。家の窓下に来て、しゃがんで何かしとったから声をかけたんじゃよ。」
「何か……とは?」
「わしにも分からぬ。確か落し物したとか言ってた気がするのぅ。わしが作業に戻って気が付いた時にはいなくなってたんで、来てすぐ帰った感じがするのぅ。」
「昨日のいつ頃の話ですか?」
「畑作業しとる時じゃから。昼過ぎじゃろ。三時か四時くらいじゃったっけぇ。もう覚えとらんなぁ。」
彼はハハハと笑った。
いや、ハハハじゃないが。
「そういうことじゃな。それじゃぁのぉ。あ、それとなぁ、瑚子ちゃんはわしと同じホテルに止まってるぞ。」
「ええぇ──」
元気そうに去っていった。
取り残された二人はベンチでポツンと座っていた。
「見つかったね、当の本人。この後、どうする?」
「まあ、ここまで調べたんですから、このまま事件の真相を探ってもいいんじゃないですか。」
「そうこなくっちゃね。せっかく首を突っ込んだんだ。楽しまなくちゃ。」指をパチンと鳴らした。
*
事件現場から車を走らせ人が行き交う街へとやって来た。ここは豊田市にあるホテルの一つである。
ホテルの六階。
インターホンのボタンを押す。
数分後、出てきたのは若い女性。チェーンで扉は少ししか開いていない。大きな隙間越しの会話だ。
いつも通りの名刺を渡すまでの作業。
彼女こそ渦中の彦根瑚子だ。
「あたし、何にも知らないから。」
「そう言わずに。」
「いい? あたしはちゃーんと家の鍵も閉めて、昼の四時には家を出たのよ。で、じいちゃんは夜中に殺された。その時に、あたしは遊びに行っててそこにいなかった。窓を閉め忘れてたっぽいから、犯人はそっから入って殺したんじゃない? あたし、知らないから。」
ぶっきらぼうな言い方だ。
「遊びに行ってたとは行ってましたねぇ。どこに行ってたか──」
「は? 警察ごっこのつもり? うざっ。」
ガシャン。
扉は強く閉ざされた。
「なぁ、ルイン。」「なんですか。」「チャイム何回押せばもう一度出てくれるかなぁ。」
インターホンに指を向けた。
「俺の高速連続チャイム鳴らしをくらえっ!」
「駄目ですよ。一旦ここは退散しましょうか。」
腕を掴まれてその場から遠ざける。
エレベーターで下る間に思考を巡らす。
自販機で飲み物を買った。いつものコーヒーと炭酸飲料だ。どちらも比較的小さめのサイズを購入していた。
ロビーの椅子で横並びに座る。
「とりあえず、これ以上の瑚子さんとの会話は無理そうですね。」
「そうだね。けど、色々と事件については知れた。あの窓は空いていたが、他の窓や扉は閉まっている。犯行は夜中だった。大切なポイントは抑えられてた、ね。」
ほんの少しの会話だけでここまで情報を整理して考察できるとは、と感銘を受ける。
炭酸飲料をグイと飲み干した。
「さあ、次はアパートの管理人の所へと行ゲェ~ップ。」単純にかっこ悪い。気持ち悪い。
「全く。炭酸を一気飲みするからですよ。早く行きましょう。」
*
その男は気前よく対応してくれた。
背は一七五程度だろう。染髪されたであろう青髪、茶色がかった黒目。太くはないが細くもない腕。髑髏の絵が書かれた黒のシャツを身にまとっていた。
そこは立派な一軒家。彼は部屋の中へと案内して、一台のパソコンを見せた。
モニターに映るのは監視カメラの映像だ。
彼曰く、防犯カメラは彼が所有する物のようだ。そして、防犯会社と提携している。「第三者に見せちゃ駄目って言われてるから絶対内緒で」と強く念を押していた。
兎神悠作――例のアパート郡の管理人である。彼は地主として、それだけで食べていけるぐらい収益はあるそうだ。
「あの日、不審な動きとかはなかったんだよな。」パソコンをカタカタと操作する。
モニターに映る映像。坂下に付けられた監視カメラは、通り過ぎる人や車を記録していた。夜になるにつれて人足車通りが少なくなっていく。夜更けには何も変化がなかった。
「見知らぬ車とかは映ってないんだな、これが。ただ、人が通るだけなら監視カメラがない草っ原ルートもあるから何とも言えないけど。」
次に、事件が起きたアパートの映像を見せて貰うことになった。
肘をつきながらマウスを動かして映像を用意している。
映った場所はアパートの一階階段に設置されたカメラの映像だった。
仕事や買い物に出る数人の住民。一方で何かの荷物を持って家へと帰宅する瑚子。被害者である住吉が家を出て昼過ぎの時間帯に戻ってきた。外へと出る牛林、一時間後には瑚子。彼女はしっかりと鍵をかけていた。夕方近くに住民も数人帰ってきた。最後に映った人物は牛林だった。
「畑のある裏庭の方も確認したいのですがいいですか。」
「そっちにはカメラはないんだ。」
「そうでしたか。」
実際に被害者の遺体があったとされる裏庭へのカメラはなく、肝心な情報を手に入れることはできなかった。
二人は感謝を述べ、そこを後にした。
まだ解決への手がかりは掴めていない。
夜が明けると、モタローの元に一本の電話がきた。受話器の向こうは依頼人であり、対象者が死亡保険金で借金を支払った、つまり見つかったというものだった。
そこで過去改編は失敗となり、再び図書館へと戻っていった。
愛知県豊田市。中心街から車を走らせた田舎の街並み。鳥の鳴き声が自然を感じさせる。今度は車にアレを詰め込み車を走らせる。
山道を登り、警察がたむろう場所を通り過ぎ、左沿いに車を停める。わざわざ行く必要はないと制止したがモタローは「何か問題でもあったのかな。探偵として真実が気になるサブクエストだね」と言い、無邪気に飛び出して行った。けんこう警部のくだりまで一緒だ。
近くの公園にて腰を下ろした。
見渡しても誰もいない。
空になったカフェオレ。見渡しても誰もいない公園であった。
「さあ、モタロー探偵事務所の秘密兵器を繰り出すとしようか。」
「はい。そうしましょう。」
出されたのはドローンだった。遠隔カメラが付けられている。また、手元には大きめなアイパッドが用意された。
「三十メートル確保。ドローン充電マックス。カメラ接続完了。さあ、発進さぁ!」
モタローは手に持つ機械を器用に動かす。ドローンの動きに合わせて、アイパッドに映された映像も動いていく。ルインがカメラの角度を調整したりズームしたりして様子を詳しく見ていく。
例のアパートの裏には警察官が何人も出動している。そこの殆どは畑であり、人は立っていない。建物に面したコンクリートの地面の場所に人が立つ。
「そこに落とされたんですね。」
地面に貼られたテープは人型を表している。その周りは少し赤っぽいのが分かる。
建物を見た。床テープの上は窓が各階に存在している。両隣りには小さなベランダがあり挟まれている感じで存在している。
建物の四階の窓だけ開いていた。
映像を拡大する。変哲もない部屋が映った。
「そろそろ精査といこうかい。」
ドローンを手元へと戻した。
記録した映像を見返していく。
部屋の様子を丁寧に見る。狭いリビングだ。左手にはテレビが掛けられている。テレビの横にタンスが置かれている。正面には奥にボロさが見え始めている二人掛けソファが置かれている。ソファと支柱の間に折り畳みの机が収納されている。右手はキッチンとなっていた。机上にはコップや袋が乱雑に置かれている。
ドローンが映し出したのはこれだけだった。
「手がかりはまだ掴めなさそうだね。」
「そうですね。やはり、情報が少なすぎますね。」
「そこは探偵の腕の見せ所だね。腕がなるよ。」
手がかりを得るためにまずは聞き取り調査をし始めた。まず八人に話を伺ったが、めぼしい情報はなかった。
そんな時だった。ふと坂道を歩いている老人を見かけた。その人をルインだけは知っていた。
「こんにちは。すみません。少しよろしいですか。実は私達こういうもので、彦根瑚子さんについて調査しているのですが、偶然瑚子さんのおじいさん、住吉さんが亡くなっていたんです。そこで住吉さんについても調べることにしたんのですが、もし知っていることがあれば教えて頂けませんか。」
出される名刺。
牛林はその場で立ち止まった。
「もちろんじゃ。分かること、教えちゃる。」
「立ち話も大変ですし、どこか座りましょう。あそこの公園のベンチで話するのはどうですか?」
首を縦に振った。
三人は公園のベンチに座った。
「まさか住吉さんが殺されるとは思いもしなかったんじゃよ。とても仲良かったんじゃがなぁ。」
前に話した時とは雰囲気が違う。
「住吉さんは誰かに殺されたんですね。」
「きっと、いや絶対そうじゃ。実はわしは遺体の第一発見者なんじゃ。見つけた時はのぅ、手首足首にそれぞれ縄が縛られておったんじゃ。」
素早くメモを残す。
「それも結ばれてたのは後ろ側じゃぞ。自殺な訳なかろうに。」
つまり、誰かが動けないようにしてから落とした、と。
「何か犯人に心当たりはありますか?」
「思いつかないんじゃよ。そうそう恨まれるような人じゃないんじゃよ。住吉さんは良い人なんじゃよぉ。」
今度は犯人は誰か分からないと言った。
何故か自分は犯人ですと言った以前の牛林とはまた違う牛林だと思わせた。
「夜中不穏な音とかは聞きましたか。」
「すまんが分からないんじゃよ。最近、耳の調子が悪くてのぅ。耳と目だけは自信がないんじゃよ。申し訳ないのぅ。」
「いえいえ。」
風で飛ばされた葉っぱが靴の上に乗った。
「そういうことは管理人さんに聞くといい。坂下の道とか階段とか防犯カメラがあるはずじゃ。管理人さんならもしかしたら何かに気づいているかも知れんのぅ。」
探偵は管理人の連絡先を教えて貰った。
牛林はこれ以上は何も分からないそうだ。そのまま帰ろうとした時に、ふと立ち止まる。そして、振り向く。
「そうじゃ。おぬしら彦根瑚子を調べとるっ言っとったなぁ。」
「えぇ。そのツテでここまで来たぐらいですから。」
「瑚子ちゃんなら昨日見たぞ。」
「えっ──」
「そもそも何ヶ月か前からかのぅ、ここに住み始めたんじゃよ。昨日は、わしが畑作業しとる時に、何かしとった時に声をかけたんじゃよ。」
彼は思い出そうと頭を捻る。
「そうそう。家の窓下に来て、しゃがんで何かしとったから声をかけたんじゃよ。」
「何か……とは?」
「わしにも分からぬ。確か落し物したとか言ってた気がするのぅ。わしが作業に戻って気が付いた時にはいなくなってたんで、来てすぐ帰った感じがするのぅ。」
「昨日のいつ頃の話ですか?」
「畑作業しとる時じゃから。昼過ぎじゃろ。三時か四時くらいじゃったっけぇ。もう覚えとらんなぁ。」
彼はハハハと笑った。
いや、ハハハじゃないが。
「そういうことじゃな。それじゃぁのぉ。あ、それとなぁ、瑚子ちゃんはわしと同じホテルに止まってるぞ。」
「ええぇ──」
元気そうに去っていった。
取り残された二人はベンチでポツンと座っていた。
「見つかったね、当の本人。この後、どうする?」
「まあ、ここまで調べたんですから、このまま事件の真相を探ってもいいんじゃないですか。」
「そうこなくっちゃね。せっかく首を突っ込んだんだ。楽しまなくちゃ。」指をパチンと鳴らした。
*
事件現場から車を走らせ人が行き交う街へとやって来た。ここは豊田市にあるホテルの一つである。
ホテルの六階。
インターホンのボタンを押す。
数分後、出てきたのは若い女性。チェーンで扉は少ししか開いていない。大きな隙間越しの会話だ。
いつも通りの名刺を渡すまでの作業。
彼女こそ渦中の彦根瑚子だ。
「あたし、何にも知らないから。」
「そう言わずに。」
「いい? あたしはちゃーんと家の鍵も閉めて、昼の四時には家を出たのよ。で、じいちゃんは夜中に殺された。その時に、あたしは遊びに行っててそこにいなかった。窓を閉め忘れてたっぽいから、犯人はそっから入って殺したんじゃない? あたし、知らないから。」
ぶっきらぼうな言い方だ。
「遊びに行ってたとは行ってましたねぇ。どこに行ってたか──」
「は? 警察ごっこのつもり? うざっ。」
ガシャン。
扉は強く閉ざされた。
「なぁ、ルイン。」「なんですか。」「チャイム何回押せばもう一度出てくれるかなぁ。」
インターホンに指を向けた。
「俺の高速連続チャイム鳴らしをくらえっ!」
「駄目ですよ。一旦ここは退散しましょうか。」
腕を掴まれてその場から遠ざける。
エレベーターで下る間に思考を巡らす。
自販機で飲み物を買った。いつものコーヒーと炭酸飲料だ。どちらも比較的小さめのサイズを購入していた。
ロビーの椅子で横並びに座る。
「とりあえず、これ以上の瑚子さんとの会話は無理そうですね。」
「そうだね。けど、色々と事件については知れた。あの窓は空いていたが、他の窓や扉は閉まっている。犯行は夜中だった。大切なポイントは抑えられてた、ね。」
ほんの少しの会話だけでここまで情報を整理して考察できるとは、と感銘を受ける。
炭酸飲料をグイと飲み干した。
「さあ、次はアパートの管理人の所へと行ゲェ~ップ。」単純にかっこ悪い。気持ち悪い。
「全く。炭酸を一気飲みするからですよ。早く行きましょう。」
*
その男は気前よく対応してくれた。
背は一七五程度だろう。染髪されたであろう青髪、茶色がかった黒目。太くはないが細くもない腕。髑髏の絵が書かれた黒のシャツを身にまとっていた。
そこは立派な一軒家。彼は部屋の中へと案内して、一台のパソコンを見せた。
モニターに映るのは監視カメラの映像だ。
彼曰く、防犯カメラは彼が所有する物のようだ。そして、防犯会社と提携している。「第三者に見せちゃ駄目って言われてるから絶対内緒で」と強く念を押していた。
兎神悠作――例のアパート郡の管理人である。彼は地主として、それだけで食べていけるぐらい収益はあるそうだ。
「あの日、不審な動きとかはなかったんだよな。」パソコンをカタカタと操作する。
モニターに映る映像。坂下に付けられた監視カメラは、通り過ぎる人や車を記録していた。夜になるにつれて人足車通りが少なくなっていく。夜更けには何も変化がなかった。
「見知らぬ車とかは映ってないんだな、これが。ただ、人が通るだけなら監視カメラがない草っ原ルートもあるから何とも言えないけど。」
次に、事件が起きたアパートの映像を見せて貰うことになった。
肘をつきながらマウスを動かして映像を用意している。
映った場所はアパートの一階階段に設置されたカメラの映像だった。
仕事や買い物に出る数人の住民。一方で何かの荷物を持って家へと帰宅する瑚子。被害者である住吉が家を出て昼過ぎの時間帯に戻ってきた。外へと出る牛林、一時間後には瑚子。彼女はしっかりと鍵をかけていた。夕方近くに住民も数人帰ってきた。最後に映った人物は牛林だった。
「畑のある裏庭の方も確認したいのですがいいですか。」
「そっちにはカメラはないんだ。」
「そうでしたか。」
実際に被害者の遺体があったとされる裏庭へのカメラはなく、肝心な情報を手に入れることはできなかった。
二人は感謝を述べ、そこを後にした。
まだ解決への手がかりは掴めていない。
夜が明けると、モタローの元に一本の電話がきた。受話器の向こうは依頼人であり、対象者が死亡保険金で借金を支払った、つまり見つかったというものだった。
そこで過去改編は失敗となり、再び図書館へと戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる