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R18(後半)
14. 私をこんなにした、責任取って下さい?※
「お嬢様、やはり、もう同棲を致しましょう。明日、お嬢様のアパートの解約手続きをしに行きます」
「はい?」
お風呂から上がり、『いやあXYZクッキングの成果サマサマよねえ。私も通った方がいいかしら?』と感心しながらセバスの料理を味わっていた時。
エプロン姿の彼は唐突にそんな事を言い出した。
「はい。明日から此処が貴女の家です。大学はもうサボらないで下さいね。今後の学費は私が全て出しますから、バイトも辞めて下さい。今後の事に関して、お嬢様は一切、何も心配する事はありません」
「え······でも、セバス、執事喫茶辞めたんじゃ······私もバイトしてお金は入れた方が「はい、ですが、先程父と電話をしまして。結婚したい相手がいると言った所、両手を挙げて喜んでおりました。それで、追々父の会社の支部を任せたいと言って頂けましたので、私と杏里が露頭に迷う事はありません」
「は······早くない?それは······もう決定なんでしょうか······」
「はい。離さないと言ったはずですよ?それに、あの魔女を捕まえたのです」
「え?!魔女って······イザベラオバサン?あの人も此方に転生してたの?」
聞く所によると、セバスは最近前世で禁忌の魔術を施した魔女イザベラをこの都内で発見したらしかった。彼女は転生ではなく転移して来た様で、占い師として”カールオバサン”という愛称で呼ばれこの都内では有名だったそう。
セバスの血を使って行われた彼女の禁忌の魔術は”転移”という形で年齢こそ若くなってこの世界にきたものの、見た目は変わらないというなんとも間抜けな結果に終わったらしかった。
「あの魔女。私の血を使った挙句、私の貴重な3歳分をくすねていたのです」
「えっ······?どういう事?」
「あの魔女は若く生まれ変わりたかった。だから私の3歳分奪い取って、私は3歳老けたというわけです」
セバスは魔女に会った時の事を思い出した。
杏里との再会を果たした後、なんとなく呼ばれた気がして、訪れた占いの館にはあの、前世で大変お世話になった魔女が同じ顔で座っていたのだ。
お互いに目を見合わせて呆然と立ち尽くした後、怒鳴りあったのは言うまでもない。
『ふん、オマエさんの歳に転生してたって人生楽しめていなかったはずさ。だから、少しくすねておいただけさ。良いじゃないか、運命に出会えたんだ!アタイなんて、年齢に拘った所為で見た目は変われなかったんだ!おかげでショタなんぞ出会えやしないよお!』
『良いわけがない!19歳と32歳の年の差だぞ!?ははっ、見た目は変わらなかったなど、それは自己責任、バチが当たったという事だろうな』
「本当に失礼な魔女です······」
二人がいがみ合っている場面を想像し、杏里はセバスを抱きしめた。
「セバス······私は本当に気にしてないから、年齢差なんて。好きなの、それではダメ?」
「私は気にします!私は先に歳を取って、貴女を残して死ぬ事などできない」
セバスに頤を触れられ、杏里はその瞳を見つめた。
そしてちゅっ、と触れるだけのキスを落とすと立ち上がった。
「でも、約束を。誓約を取り付けて参りました」
「誓約······?」
「はい」
”今はまだあの魔女には力がない。けれど、今後力を蓄えた暁には、運命の相手が死ぬときに私も共に死ぬ事のできる魔法をかけて下さるそうです”
そう言葉を続けたセバスの顔を見て、杏里は硬直した。
「え······?でもそれは······もし子供とかいたら一人にするのは可哀相じゃない······?」
「ああ、私との子供の事も考えて下さっているのですね?!嬉しいな······でも大丈夫です。それは子供が成人するまでは両者死なないという条件も付けてきましたので」
嬉々とした表情を浮かべた彼に杏里は若干引く。
いや、流石に用意周到すぎて、魔女が可哀相になるレベルね······。
そんな時、セバスは杏里の前まで歩いてくると目線を合わせてしゃがみこんだ。
「ですので、お嬢様······大学を卒業されたら、私と、結婚して頂けますか?」
あまりの急展開に杏里は部屋を見渡す。
「わ······たし?」
「はい、杏里です。この部屋には貴女しかいらっしゃいませんので?」
「です、よね······いえ······私で良ければ、よろしくお願いします」
差し出された彼の手に、自分の手を重ねた私をセバスは抱き上げて、ゆっくり二階へ続く階段を上がっていく。
そして途中で彼はリビングにあるローテーブルを見て立ち止まった。
「え······な、ナニ······どうしたの?······はっ!セ、セバス!二階に······行きましょう?!」
お願い、気づかないで。お願い!
そう思っていた杏里の心中虚しく、彼の唇が弧を描く。
「ああ、アンリエッタお嬢様······私とした事が完全に忘れておりました」
「ナ、ナニ······デスカ?」
「お誕生日プレゼント······ですよ、ほら、あそこに置いたまま使っておりませんでしたね?」
”お誕生日プレゼント”という言葉に杏里の肩がびくりと揺れ、セバスは嬉しそうに笑った。
「動揺······していらっしゃるのですか?それとも、待ちきれない、のかな?」
「っひぃ、そんな事はありませんカラ!!」
お尻を優しく撫でられ杏里は身体を捩った。
「とりあえず、”アレ”も一緒に二階に連れていきましょうね」
セバスは私を抱えたまま”ソレ”を取りにリビングへ戻ると、ローテーブルに置かれた真っ黒の袋を手に取る。
「今度は絶対に忘れないようにして、沢山”コレ”で可愛がって差し上げましょう」
「ま、待って······待って、セバス!!なんかお尻に当たって······」
それからセバスは再び二階への階段を上りはじめた。
そしてその、私が前世から好きだった切れ長の瞳を細めて妖艶に微笑む。
「では、お嬢様······私をこんなにした責任、しっかり取っていただいてもよろしいでしょうか?」
私とセバスの生活はまだ始まったばかり。
こんな急展開でプロポーズされるとは考えていなかったけど、でも私とセバス、世界を渡った二人なら今後なんでも乗り越えられると思う。
そう、今度こそ、この世界で私は貴方と人生を共にするの。
この身分差も歳の差も分け隔てないこの自由な世界で。
だから、彼をヤンデレ化させた責任は、私がしっかり取ろうと思います······。
「ッ、う、ああああ、”ソレ”だめ、だめだめだめ!もうこれ以上は死んでしまうわ、やめてえええ、ん”んッ!」
「ふふふ、お嬢様。大丈夫ですよ、私は死んでも貴女を追いかけますので安心して下さい?」
責任······なんてもう取れないかもと何度後悔しても、彼は私を離してくれない。
毎日空いてしまった時間を埋めるように、此処にいるって確かめるように、愛し合って。
快楽に沈む意識の中、彼は今日も同じようにほほ笑んで私を満たしてくれるから、もうヤンデレでもなんでもいい······や。
「さて、準備は整ったようですね······。では、たっぷりと注ぎ込んで差し上げましょう」
──── 完 ────
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大倶利伽羅(小笠原樹) さま
笑って頂きたい部分を多めに入れて作った為、そう言って頂けて本当に嬉しいです。
この続きですが、未だ作成途中で、完成しておりません(苦笑)紛らわしくて申し訳ございません。
本話でセバスが魔女に年齢をアンリエッタと近づけて欲しい!と頼んだのにも関わらず年齢が上がってしまった理由など諸々を後半に詰め込もうと画策をしている段階で・・・(全然できてない件!涙)
アルファのR18の規定は意外と厳しいようなので、アルファ公開に耐えきれるレベルのR18であればこちらに引きずりだしてこようと思います(笑)
次回作はR18ファンタジー恋愛となり、少し(いえ、かなりの)胸糞女がでてくるので・・・もし大丈夫そうであれば応援頂けますと嬉しいです!
感想ありがとうございました!♡
迷い人さま
完結祝いありがとうございます!
後半の短編が書きたい為に、長編を抱え込みやすい自分が前半・後半に分けてお送りしておりますので・・・。
彼の気にする歳がこんなに離れてしまった理由とか、全ては笑えるジョークも含め全部丸々後半でカミングアウトと致します~。
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迷い人さま
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