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第一章 王国、離縁篇
26. 舞踏会(離縁)まで2日 - ルリナの、悪巧 ①-※
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※ルリナ回です。男性の自慰シーンあります。苦手な方、食事中の方、読まなくても大丈夫です。
伏線は媚薬と異常性です。
先に謝ります。本当に変態ばかりでごめんなさい。あの、断じてそういう変態ばかりの小説ではありません。えぇ、もっと普通の、こう、いるのですよ?ただ未だたどり着かないだけで。
*****************************
「アレクセイさまぁ」
「は? ちょ、なんで君がここに?」
執務室に突然現れた客にアレクセイは目を丸くした。完全に、招かれざる客、である。
「だって退屈でえ。クリスさまに会いたくて来たんです」
いや、退屈って······罰として部屋から出ないように軟禁しているんだから当然なのだが。
アレクセイは表情には出さないように努めながらも少し強めに言葉を投げる。
「ルリナ嬢。貴女は当分あの部屋から出ないようにと言われていなかったですか?それに、殿下には会えませんよ?」
「えー、そんなあ! わたし寂しくって······とても恋しいのですわ。やっと、クリスさまと想いが通じたのに離れ離れなんて、」
「とりあえず、今日のところはお引取いただけますか?侍女と護衛をすぐに呼びましょう。さて、誰があなたを出したんでしょうかね?」
アレクセイが席を立って一先ず彼女を退出させようと扉に近寄る。すると彼女は目の前を横切ったアレクセイの腕に飛びついた。
「そんなあ! 冷たいですっ、アレクセイさまぁ! この可哀想なルリナを慰めてくださいっ」
「おやめください、ルリナ嬢」
絡みついた腕を振りほどく。あまりに感情の籠らない声が自分から発せられた事にアレクセイ自身驚いた。そんな彼を見て、ルリナはニヤニヤと笑う。
そして衝撃的な事を口走った。
「あぁっ、そういえば! ルドアニア皇国の皇帝陛下が今日来るって聞きましたよ! とっても強い人なんですってねっ! お会いするのが楽しみだわ!」
アレクセイは言葉を失う。この話はトップシークレットだったのだが、何故この女が知っているのか。
城内で情報が完全に漏れている。レーボック子爵の手の者か·····?
「ルリナ嬢、その話をどこで知ったのかは知らないですが、貴女はいま誰とも会えませんよ?」
「あら? こうして執務室まで出てこれているのに、ですかぁ?それに、きっと皇帝陛下もわたくしのこと、気に入って下さいますわっ」
くつくつと笑いながら、心底楽しくて堪らないといった表情のルリナは、迎えに来た侍女に付き添われ部屋に連れ戻された。
本当に血は争えない。どこまでも強欲で嘘で塗りたくったような女。というのがアレクセイの今も昔も変わらない彼女への評価である。
彼女がルドアニア皇国一行に何もしなければいいが。と、この瞬間をもって、アレクセイはルリナ嬢の周辺の護衛に力を入れる事に決めた。
◆
部屋に戻ったルリナは、侍女を一旦下がらせ護衛を一人呼んだ。外の情報を多く持ちルリナに提供してくれる、父によって送り込まれた護衛の一人だ。
「ねえ、ルドアニア皇国の皇帝陛下ってどんな方なの? 奥さんいるのかなぁ?」
「黒髪に黄金の瞳、魔力量も魔法も世界一の正にルドアニアの軍神です。その見た目と力、父帝をも殺したことから“悪魔の子”とも言われています。未だ誰も娶られていません」
強い男は好き、さらに大切に守ってくれるなら大歓迎!とルリナは軽く考えながら紅茶を啜る。
「ふーん、年いってるかんじぃ?それともかっこ良くないのかな?だから未だ奥さんいないの?」
「いえ、皇帝のヴィクトール陛下は、それはそれは見目麗しい方で、御歳も二十三です。」
「わあ! じゃあ、そのヴィクトール陛下も頂いちゃいますかぁ? お父様の薬ならなんでも手に入るじゃないっ。あれこそ魔法よねぇ?うーん、最悪、クリストファーさまから乗り換える、とかぁ?」
「確かに、ルドアニア皇国との繋がりができれば、ご当主様もお喜びになるかと存じます」
「うんうん、そうよね! 本当は今日その人達がここにくるって言われていたのよねぇ? 誰か来てたような雰囲気ではなかったんだけどなぁ、」
顎に手を当てて首をかしげるルリナの前で、その護衛は直立不動のまま淡々と質問に答えていく。
「はい、予定は確かに本日でした。しかし未だに来客があった形跡はありません」
「んー、もぅっ!いつ会えるのかしら?
見目麗しくて大人な皇帝陛下ならきっと経験も豊富でしょうし。あの子供みたいでつまらない王太子よりはきっとマシよね? 気に入って頂けるような完璧な物を捧げなくっちゃね!」
ルリナは引き出しを開けて二つの瓶に入った媚薬を取り出す。
一つは“恋焦草(こいこがれぐさ)“という薬草、もう一つは“闇夜の蝶”というピンク色の液体だ。
「こっちの蝶で良いかな? もう少し違う惚れ薬とかをお父様に貰うほうがいいかなぁ? この薬草のはあんまり匂いが好きじゃないのよねぇ。
あ、貴方、もう下がっていいわよ」
ルリナはヴィクトールに使う媚薬を選定するのに忙しく、完全に忘れていた護衛の存在に気付き、そう告げた。
伏線は媚薬と異常性です。
先に謝ります。本当に変態ばかりでごめんなさい。あの、断じてそういう変態ばかりの小説ではありません。えぇ、もっと普通の、こう、いるのですよ?ただ未だたどり着かないだけで。
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「アレクセイさまぁ」
「は? ちょ、なんで君がここに?」
執務室に突然現れた客にアレクセイは目を丸くした。完全に、招かれざる客、である。
「だって退屈でえ。クリスさまに会いたくて来たんです」
いや、退屈って······罰として部屋から出ないように軟禁しているんだから当然なのだが。
アレクセイは表情には出さないように努めながらも少し強めに言葉を投げる。
「ルリナ嬢。貴女は当分あの部屋から出ないようにと言われていなかったですか?それに、殿下には会えませんよ?」
「えー、そんなあ! わたし寂しくって······とても恋しいのですわ。やっと、クリスさまと想いが通じたのに離れ離れなんて、」
「とりあえず、今日のところはお引取いただけますか?侍女と護衛をすぐに呼びましょう。さて、誰があなたを出したんでしょうかね?」
アレクセイが席を立って一先ず彼女を退出させようと扉に近寄る。すると彼女は目の前を横切ったアレクセイの腕に飛びついた。
「そんなあ! 冷たいですっ、アレクセイさまぁ! この可哀想なルリナを慰めてくださいっ」
「おやめください、ルリナ嬢」
絡みついた腕を振りほどく。あまりに感情の籠らない声が自分から発せられた事にアレクセイ自身驚いた。そんな彼を見て、ルリナはニヤニヤと笑う。
そして衝撃的な事を口走った。
「あぁっ、そういえば! ルドアニア皇国の皇帝陛下が今日来るって聞きましたよ! とっても強い人なんですってねっ! お会いするのが楽しみだわ!」
アレクセイは言葉を失う。この話はトップシークレットだったのだが、何故この女が知っているのか。
城内で情報が完全に漏れている。レーボック子爵の手の者か·····?
「ルリナ嬢、その話をどこで知ったのかは知らないですが、貴女はいま誰とも会えませんよ?」
「あら? こうして執務室まで出てこれているのに、ですかぁ?それに、きっと皇帝陛下もわたくしのこと、気に入って下さいますわっ」
くつくつと笑いながら、心底楽しくて堪らないといった表情のルリナは、迎えに来た侍女に付き添われ部屋に連れ戻された。
本当に血は争えない。どこまでも強欲で嘘で塗りたくったような女。というのがアレクセイの今も昔も変わらない彼女への評価である。
彼女がルドアニア皇国一行に何もしなければいいが。と、この瞬間をもって、アレクセイはルリナ嬢の周辺の護衛に力を入れる事に決めた。
◆
部屋に戻ったルリナは、侍女を一旦下がらせ護衛を一人呼んだ。外の情報を多く持ちルリナに提供してくれる、父によって送り込まれた護衛の一人だ。
「ねえ、ルドアニア皇国の皇帝陛下ってどんな方なの? 奥さんいるのかなぁ?」
「黒髪に黄金の瞳、魔力量も魔法も世界一の正にルドアニアの軍神です。その見た目と力、父帝をも殺したことから“悪魔の子”とも言われています。未だ誰も娶られていません」
強い男は好き、さらに大切に守ってくれるなら大歓迎!とルリナは軽く考えながら紅茶を啜る。
「ふーん、年いってるかんじぃ?それともかっこ良くないのかな?だから未だ奥さんいないの?」
「いえ、皇帝のヴィクトール陛下は、それはそれは見目麗しい方で、御歳も二十三です。」
「わあ! じゃあ、そのヴィクトール陛下も頂いちゃいますかぁ? お父様の薬ならなんでも手に入るじゃないっ。あれこそ魔法よねぇ?うーん、最悪、クリストファーさまから乗り換える、とかぁ?」
「確かに、ルドアニア皇国との繋がりができれば、ご当主様もお喜びになるかと存じます」
「うんうん、そうよね! 本当は今日その人達がここにくるって言われていたのよねぇ? 誰か来てたような雰囲気ではなかったんだけどなぁ、」
顎に手を当てて首をかしげるルリナの前で、その護衛は直立不動のまま淡々と質問に答えていく。
「はい、予定は確かに本日でした。しかし未だに来客があった形跡はありません」
「んー、もぅっ!いつ会えるのかしら?
見目麗しくて大人な皇帝陛下ならきっと経験も豊富でしょうし。あの子供みたいでつまらない王太子よりはきっとマシよね? 気に入って頂けるような完璧な物を捧げなくっちゃね!」
ルリナは引き出しを開けて二つの瓶に入った媚薬を取り出す。
一つは“恋焦草(こいこがれぐさ)“という薬草、もう一つは“闇夜の蝶”というピンク色の液体だ。
「こっちの蝶で良いかな? もう少し違う惚れ薬とかをお父様に貰うほうがいいかなぁ? この薬草のはあんまり匂いが好きじゃないのよねぇ。
あ、貴方、もう下がっていいわよ」
ルリナはヴィクトールに使う媚薬を選定するのに忙しく、完全に忘れていた護衛の存在に気付き、そう告げた。
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