詩物語 

嶋野の狂犬

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ハルノオト

ハルノオト 〜Haruto side〜 1

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 高校2年生になった春、俺は学校のテニスコートで同級生とボールを打ち合っていた。
 朝練は起きるまでが大変だが、始まってしまえば身体もしっかり動いてくれる。
 それにこの朝練を張り切ってやっている理由がもう一つ、この理由が俺を眠い中コートに立たせてくれる1番の原動力と言っても過言ではなかった。
 それは8時頃、コート脇にある正門からやってくる。少し茶色掛かった長い髪を後ろに束ねて、ゆらゆら揺らしながらコートに近づいてくる。

「みんなーーー!おっはよーー!」

 心地良い声に目を向けるとつい目が合ってしまった。その人は目が合うと俺に手を振ってくれた。

「ハルトくーん!頑張ってねーー!」

 手を振り返したかったが、相手とのラリーを中断するわけにもいかなかった。
 ならば、、、一撃でコースに決めるしかない!

「おぉらぁあぁ!」

 つい気合が入り、変な声が出てしまったが、狙い通り相手が追いつけない良い球を返すことが出来た。

「ハルナ姉!」

 目線を向けたがそこにはもう応援してくれていたハルナ姉の姿はなかった。

「ハルト、ナイスショットだが、、、ハルナ先輩はもう行っちまったぜ?」

 話しかけてきたのは親友の黒川ナツキだった。こいつとの腐れ縁は小学校まで遡る。
 俺がテニスを始めたのもこいつの影響だったりする。

「いいなぁ、あんな美人の先輩がお隣さんだもんなぁ、、、俺だったら朝練なんかしないで毎日一緒に登校するけどなぁ」

「バーカ、ハルナ姉には部長がいるだろうが!毎朝待ち合わせして一緒に来てるんだってよ、、、」

 ナツキのニヤついた顔はイラついたが、正直に言おう。
 俺はハルナ姉こと、椿ハルナ先輩が昔から好きだ。家が隣同士ってこともあり昔から仲良くさせてもらっていた。幼馴染みたいな感じだろうか、、、この学校に入学するって決めた時も勉強を見てもらい、合格した時は自分のことのように喜んでくれた。
好きな気持ちはずっと変わらない。でもハルナ姉は違う。現に今は彼氏がいる。
その彼氏がうちの部長で、テニスは上手いしイケメンでモテるときたもんだ。
そんなの俺に勝ち目なんてないじゃないか。そんな劣等感を感じながら日々部活に励んでいた。

「おーいハルトー、黄昏れるのもいいけど予鈴鳴ってるぞー」

ナツキの声で我に帰った俺は急いで支度をして教室に駆け込んだ。

桜が舞う校庭を眺めながら先生の点呼に返事をした。



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