アポカリプス

霧波 敦也

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別に強くなくていいから塔から出たい

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「ジョーカー様。ご気分はいかがでしょうか。」

俺の目の前に変な人間が跪いている。
変というのは服装の話である。
金髪の頭の上にはきらびやかな王冠。
赤いマント。うん。もうこの時点で明らかに変だ。
いや現代において王様のコスプレなんて変態だ。
そしてその後ろにはカエルの着ぐるみを来た奴。
ライオンの着ぐるみ・・・・いやあれ本物だ。こわい。
ライオンなのに騎士のように跪いてるけど。
他にもいろんな奴が俺に向け跪いている。

「うーん。気分ていうか、ね?なにこれ。」

とりあえず記憶を遡ってみよう。
確か今日は平日だから地下鉄に乗って・・・・・・
あれ?そこから思い出せねえ。
あ!なんか光って気づいたらここにいたんだっけ。
そう記憶を掘り起こしていると
王様のコスプレをしたイケメンが口を開く。

「ジョーカー様。口で説明するよりこうした方が早いので
 失礼ながら・・・・・ハッ!」

そう言いながら俺に近づいてデコピンをした。
デコピンといっても軽く額にコツンと当てただけだ。
だがその瞬間今まで味わったことのない頭痛が俺を襲った。
俺は頭を抱え。うめき声をあげる。
座っていた王座のような豪華な椅子から転がり落ちる。
しばらくすると痛みは消え、新たな知識が入ってくる。
普通ならパニックになるだろう。
だがジョーカーにそんな常識は通用しないようだ。

「ジョーカー様。改めてお聞きします。ご気分は?」

王様コスプレ変態イケメン改め、キングが問う。

「ああ、大丈夫。びっくりするぐらい元気だわ。」

地球にいたころよりも元気な気がする。
まるで無限の体力を持つ小学生のような気分だ。
まあとりあえず1つ1つ知識を整理していこう。
まずここは地球ではない。
レイラディアという異世界であること。
世界は2つに分かれており
西側が魔法使い(ウィザード)
東側が超能力者(サイキック)という情勢だ。
そして俺が今いるこの塔の
頂上にはアポカリプスという本があり
それを手に入れれば世界を制するほどのチカラを
手に入れることができる。
ウィザードとサイキックは本を巡り争っている。
んで、俺はそれを守る最強の守護者ってわけ。
俺の前に跪いていたやつらは俺の配下。
配下は13人いる。そしてその強さは弱い順に
2(ツー)→3(スリー)→4(フォー)→
5(ファイブ)→6(シックス)→7(セブン)→
8(エイト)→9(ナイン)→10(テン)→
J(ジャック)→Q(クイーン)→K(キング)→
A(エース)となっている。
つまりトランプだな。うん。ちなみにだが
エースが1000人いて俺と互角に戦うことができる。
エースの強さはウィザードの最高クラスが束になっても
遊ばれるほどの強さである。すなわち俺強すぎ。
そして俺はここから出られな・・・・・・

「え?俺ここから出られないの?」

いやいやいや。なんでこんなに強いのに
俺出られないの?魔法やらスキルやらで
どうにかできないの?と記憶を探ったが
ここから出る方法は一切出てこない。
どうすればいいんだ。
あ、アポカリプスとかいう本開いちゃおう。
んーと・・・・・・え、その本って
俺読めないの?本当に出られないじゃん俺。

「ジョーカー様。ここから出たいんですか?
 私を置いて?本当に出たいんですか?
 もしどうしても出るというのならば殺します。
 殺して抱き枕にします。毎日抱きます。
 そしてバラバラにして・・・・・・うふふ。」

あー忘れてたこいつメンヘラだった。
美しい銀髪に金色の瞳、そして巨乳。
そしてその容姿を引き立たせる華やかなドレス。
こいつがクイーンだ。
メンヘラって目の前にすると怖いんだな。
普通に戦えば俺が圧勝するはずなんだけど
なんでだろう。負ける気しかしない。もうやだ。
まだ笑ってるし。見た目は最高なのに。
はあ・・・・・・と溜め息をつく。
配下達はジョーカーが召喚されると忠誠を誓う。
ん?あれ?俺がジョーカーになる前の
ジョーカーって・・・・・・

「なあキング。俺の前にジョーカーっていたのか?」

もし前にもジョーカーがいたとすれば
そいつはなぜ死んだのか。ジョーカーは不死身だ。
もちろん寿命もない。
俺の記憶には前のジョーカーの記憶はない。
こいつらなら何か知っているはず。

「いや、いませんよ?
 今までは私達だけで守ってたのですが
 エースが旅に出るといい、その代わりに
 ジョーカー様を召喚する
 魔法陣を置いていきました。」

俺は心に決めた。エースを殴ると。
なんだよ旅って。俺も旅したいわこの野郎。
エースは自由気ままな性格らしい。
見た目も幼い少年だ。だが関係ない。殴る。

「ジョーカー様!ウィザードが塔へ侵入しました!」

ツーが慌てたようにそう伝える。
まあいい。とりあえずエースが帰ってくるまでは
ジョーカーとしてやるべきことを・・・・・・

「ジョーカー様。私にお任せを。転移。」

キングがそう言い転移してしまった。
ちなみに俺と配下達は魔法と超能力を両方使える。
強さによって能力の威力などは大幅に変わるが
キングの強さだと

「キング、帰還いたしました。」

まあこの通り秒殺してくるよね。うん。
てか俺いらないんじゃない?
ああ神様。俺をこの塔から出してください。


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