アポカリプス

霧波 敦也

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決意 sideウィザード

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冬人たちが塔の中でふざけあっている頃
ウィザード達は懸命に冬人の配下である
ツーと戦っていた。

「くそ、この強さで1番弱いのか?
 一体この頂上にいるヤツはどんな強さなんだ。」

そう嘆いたのはつい最近ウィザードとして
一人前になれたルクイドという青年である。
ウィザードには魔術を鍛える為の学校があり
そこで卒業できたものは晴れてウィザードとして
戦線に出ることができる。
ルクイドは100年に1度の天才魔術師と周りから
賞賛されており自分自身それなりの自信もあった。
だが今ツー相手にかなりの苦戦を強いられている。

「ねえねえ、僕も倒せないようじゃ
 アポカリプスなんて夢のまた夢だよ?
 はぁ~。もうちょっと強いヤツを
 送ってこいよ、つまんない!」

ツーは戦闘狂である。
見た目は幼い少年のようでかわいい顔をしている。
ショタコンが見たら発狂するであろう。
塔の中では1番弱いが、それゆえに
豊富な戦闘経験があり新米ウィザードくらいなら
1人で相手にできるぐらいの強さはある。

「ねえ、ルクイド。そろそろみんなで戦おうよ。
 1人じゃ無理だって!いい加減諦めてよ。」

「ルクイド!いい加減にしろ。
 いくらお前が天才だろうがここは塔の中だ。
 こいつに勝ってもまだまだ敵はいる。
 そして数時間後にはこいつも復活する。
 だが俺らはそうじゃない。ここで死んだら
 終わりなんだぞ。お前のせいで俺達まで
 死んでしまう。それを分かっているのか?」

今回塔へ挑戦してきたウィザードは3人だ。
この3人は幼馴染であり
1人は回復魔術を得意とする少女フラン。
もう1人は拳に炎を纏い戦う少年ガイル。
塔へ送り込まれるウィザードは
毎回同じではない。
ウィザードにも強さのランクがあり弱い順に
E→D→C→B→A→S→SS→SSS→X→Z
となっている。塔へ挑めるのはB級以上のみ。
国内では魔物の出現など様々なクエストがあり
塔への挑戦の他にもやることがたくさんある。
なのでSSS以上のウィザードが塔へ来ることは
そう多くはない。B級やA級のウィザードが
挑戦しある程度塔の戦力を減らしてから
SSS級以上のウィザードが挑むのが普通であるが
我先にと挑むB級やA級ウィザードが後を絶たない。
4階まで進めれば国では英雄扱いされるためだ。


くそ・・・・・。俺1人で4階までなら
行けると思ったのに。まだまだ力不足なのか?
こんなんじゃいつまでもあいつに追いつけない。
だがこの守護者も倒せないようじゃ
国へ帰ってもいい笑い者だ。

「こいつは俺1人で倒す。
 お前らは絶対に手出しするんじゃねえ。」

「ふざけんじゃねえ!」

バコッという鈍い音とともに
ルクイドの身体が吹っ飛ぶ。
ガイルの拳からは血が流れている。

「いい加減にしろって言ってんだろ。
 お前の気持ちはよくわかる。だがな!
 ここで死んだらどうすんだ?
 お前の目標は?夢は?ここでおしまいか?
 俺達はまだ若い。まだまだ強くなれる。
 頼むから死に急がないでくれ・・・・・・。」

ガイルは涙を流しながらルクイドへ語りかける。

そうだ。俺はこんなところで死ねない。
まだ焦る時じゃない。なんでそんなことに
気づけなかったんだ。俺には仲間がいる。
こいつらと一緒に更なる高みを目指していけばいい。
今はなによりも命が優先だ。

そのころツーは床に寝転がり
すやすやと寝息を立てていた。

「ガイル。フラン。今日はもう帰ろう。
 俺は、いや俺達はまたここへ戻ってくる。
 その時までこの悔しさを忘れることはない。
 次来るときは頂上まで行くぞ。」

そう言ってルクイドは塔の外へと歩き出す。
その背中は以前より堂々と強くたくましく見えた。
ガイルとフランはニコニコしながらその後を歩く。
更なる高みを目指し3人は塔を後にした。

「あ!あまりにも暇だから寝ちゃった・・・・・・。
 あれ?もう帰っちゃったのかな?
 じゃあジョーカー様のとこでお昼寝しよーっと。」

そう言ってツーは転移した。
ツーは余裕ぶっていたがルクイドとの戦いの時
何度か危機感を感じていた。
なにか恐怖のような。人間ではない存在を感じた。
ツーはルクイドがそのチカラを解放させる時を
楽しみに冬人の横で笑みを浮かべなら昼寝を始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー
まともな戦闘シーンが書けていませんが
徐々に書いていこうと思います。
side ウィザードまだ続きます。
よろしくお願いいたします。      作者
 


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