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第21話 共寝
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その晩はキスから始まった。
二人が巡ってきた過去の記憶を手繰り寄せるように、転生で離れていた時間を取り戻すかのように、二人は夢中で口づけを交わす。
やがて、カイルの唇が妙土のうなじを辿り、鎖骨に達する。
金の髪が妙土のあごをくすぐった。
妙土は全てをカイルにさらけ出さなければならなかった。
吐息や眼差し、心臓の鼓動。二人の何もかもがしっくりと重なり合う。
やがて螺旋状に襲ってくる嵐の通過に耐えきれず、何度も意識を失いそうになりながらも、カイルが与える刺激によって妙土は覚醒させられた。
結局、妙土は眠ることを許されずカイルと朝を迎えた。
リーネ族が太陽の光やエナジーを力の源にするのに対し、太陽の下で生きられない魔族は地熱や生き物のエナジーを奪い、自らの力の源にしていた。
リーネ族と魔族のハーフであるカイルはどちらからもエナジーを取得できる。
妙土の熱やエナジーはカイルによって奪われていった。
朝陽の中、力なく横たわる妙土。
愛しい人の腕の中で最期を迎えるのはなんと至福のことか。
急速に失われていく力と光。
抗いがたい睡魔。
「私たち、また会えるの?」
「必ずまた会おう」
妙土は静かに微笑んだ。
カイルに看取られて妙土は眠るようにして死んだ。
妙土の魂が主の体を離れて輪廻の大いなる流れの中に戻ろうしていた。
そうはさせない。
カイルはソロモンの指輪を触り、妙土の霊魂を追うために次元を変える。
魂の世界は今生きているこの世の世界とは違う次元にある。
ソロモンの指輪は瞬時に次元を変えることができるのだ。
「行くのね・・・」
妹のリーナが、どこからともなく現れてカイルに従う。
「リーナ、妙土の魂を回収する」
妙土の体から魂が離れ、一瞬、戸惑うような動きを見せたが、思いを定めたかのように虚空へ飛んでいく。
カイルとリーナも妙土の魂めがけて飛ぶが地上の誰も気にかけない。
次元が違うため、二人の姿が目撃されることはないのである。
カイルたちは追い付こうと懸命に追いかけるが、妙土の魂は速度を上げてどこかに向かう。
(一体どこへ?)
これまでのように、輪廻の輪の中に戻るのではないのか。
妙土の魂に導かれ、カイルとリーナが着いたところは魔界の地下神殿、永久氷壁の間だった。
あっ、と二人は驚いた。
氷の壁の中に立った姿のまま眠るリーザの姿を見つけたからだ。
「母上、こんなところに・・・」
好感情がないとは言え、リーナにとっても生き別れになった母との対面は感慨深いものであった。
カイルが右手のひらを斜め前にかざす。
バルムンクの剣がゆっくりと手のひらから出てきた。
「ちょっと、兄さん!バルムンクで氷をぶったぎる気なの!?」
「バルムンクで切るしかないだろう」
「そんな切れ味抜群の剣で切ったら、中にいる母上まで・・・」
リーナが言い終わらないうちに、カイルは氷壁に飛んで行って、瞬く間に四角に切り出した。
バルムンクを仕舞うと、カイルは氷壁に右手をかざした。
鈍い音を立てて標本のような塊が氷の壁から出てきた。
塊のまま連れ帰ろう。
塊と共に瞬間移動をしようとした時だった。
「おいたはその辺までにしてもらおう」
リーデイルの冷たい声が降ってきた。
二人が巡ってきた過去の記憶を手繰り寄せるように、転生で離れていた時間を取り戻すかのように、二人は夢中で口づけを交わす。
やがて、カイルの唇が妙土のうなじを辿り、鎖骨に達する。
金の髪が妙土のあごをくすぐった。
妙土は全てをカイルにさらけ出さなければならなかった。
吐息や眼差し、心臓の鼓動。二人の何もかもがしっくりと重なり合う。
やがて螺旋状に襲ってくる嵐の通過に耐えきれず、何度も意識を失いそうになりながらも、カイルが与える刺激によって妙土は覚醒させられた。
結局、妙土は眠ることを許されずカイルと朝を迎えた。
リーネ族が太陽の光やエナジーを力の源にするのに対し、太陽の下で生きられない魔族は地熱や生き物のエナジーを奪い、自らの力の源にしていた。
リーネ族と魔族のハーフであるカイルはどちらからもエナジーを取得できる。
妙土の熱やエナジーはカイルによって奪われていった。
朝陽の中、力なく横たわる妙土。
愛しい人の腕の中で最期を迎えるのはなんと至福のことか。
急速に失われていく力と光。
抗いがたい睡魔。
「私たち、また会えるの?」
「必ずまた会おう」
妙土は静かに微笑んだ。
カイルに看取られて妙土は眠るようにして死んだ。
妙土の魂が主の体を離れて輪廻の大いなる流れの中に戻ろうしていた。
そうはさせない。
カイルはソロモンの指輪を触り、妙土の霊魂を追うために次元を変える。
魂の世界は今生きているこの世の世界とは違う次元にある。
ソロモンの指輪は瞬時に次元を変えることができるのだ。
「行くのね・・・」
妹のリーナが、どこからともなく現れてカイルに従う。
「リーナ、妙土の魂を回収する」
妙土の体から魂が離れ、一瞬、戸惑うような動きを見せたが、思いを定めたかのように虚空へ飛んでいく。
カイルとリーナも妙土の魂めがけて飛ぶが地上の誰も気にかけない。
次元が違うため、二人の姿が目撃されることはないのである。
カイルたちは追い付こうと懸命に追いかけるが、妙土の魂は速度を上げてどこかに向かう。
(一体どこへ?)
これまでのように、輪廻の輪の中に戻るのではないのか。
妙土の魂に導かれ、カイルとリーナが着いたところは魔界の地下神殿、永久氷壁の間だった。
あっ、と二人は驚いた。
氷の壁の中に立った姿のまま眠るリーザの姿を見つけたからだ。
「母上、こんなところに・・・」
好感情がないとは言え、リーナにとっても生き別れになった母との対面は感慨深いものであった。
カイルが右手のひらを斜め前にかざす。
バルムンクの剣がゆっくりと手のひらから出てきた。
「ちょっと、兄さん!バルムンクで氷をぶったぎる気なの!?」
「バルムンクで切るしかないだろう」
「そんな切れ味抜群の剣で切ったら、中にいる母上まで・・・」
リーナが言い終わらないうちに、カイルは氷壁に飛んで行って、瞬く間に四角に切り出した。
バルムンクを仕舞うと、カイルは氷壁に右手をかざした。
鈍い音を立てて標本のような塊が氷の壁から出てきた。
塊のまま連れ帰ろう。
塊と共に瞬間移動をしようとした時だった。
「おいたはその辺までにしてもらおう」
リーデイルの冷たい声が降ってきた。
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