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第22話 氷壁をめぐる攻防
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視線の先にリーデイルがいた。
「誰かと思えば、リーデイル叔父さん。こんなところで会うとは奇遇ですね」
リーナは動揺を隠して、わざとおどけた調子で話す。
「なれなれしく話しかけるな、リーナ。お前たちに叔父さん呼ばわりされたくない」
「相変わらずかわいい姪っ子に冷たいなあ」
カイルやリーナにとっては、母親の腹違いの兄なので、リーデイルは叔父に当たる。
母親は魔王ラディリオンや女王ラビリティアの父親の妹に当たり、 リーデイルは魔界で産まれた。
リーネ族の王を父に持ち、魔界の王族を母に持ち、本来なら2つの一族の架け橋となるべきリーデイルであったが、彼の選択はリーネ族を崩壊させることであった。
どうやったのか素性を隠してリーネ族の王族の一人になりすまし、女王リーザの腹心の部下としてリーネ族の王宮に入り込んだ。
やがてリーネ族を裏切り、戦乱と混乱に沈めた後、女王リーザを捕らえて魔王ラディリオンに献上した。
リーネ族を滅亡の危機にさらした元凶である。
「リーナ、僕の近くに」
カイルとリーナは肩を寄せ、リーデイルの攻撃に備えた。
リーデイルが笑いながら、やおらエネルギー弾を何発か撃ってきた。
リーザの氷壁に当たる!
カイルは再びバルムンクを手にするとエネルギー弾を全て跳ね返した。
エネルギー弾は地下神殿の壁に当たって爆発した。
「ここで物騒な真似はやめてもらおう」
両者の間に割って入る者がいた。
3人は声がした方を一斉に見た。
どこまでも深い漆黒の髪と瞳。
神々の戦いに破れた古代の神々の面差しを受け継ぐ美しすぎる美貌。
魔王ラディリオンその人であった。
「リーヴィシランとリーナか・・・」
ラディリオンが目を細める。
「別れた時、お前たちはまだ赤子だった。だが、感動の親子対面というわけにはいかぬな」
カイルとリーナは自分たちの父親の姿を初めて見た。
リーナは父親似か。
父の容貌に酷似する妹とラディリオンを見比べながら、カイルは思う。
容貌1つとっても、親子であることをいやでも思い知らされるのに、自分たちは父親を倒すことができるのか。
カイルはバルムンクを握り直す。
突然、リーザが納められている氷壁の塊に亀裂が走った。
あっと思う間もなく、氷は粉々に砕け、中からリーザの体が飛び出してきた。
その体を横からリーデイルがかっさらった。
リーザの美しいウェーブがかった金髪が空を舞った。
カイルの顔が悔しげに歪む。
「母とバルムンクの青い宝石を返してもらいたい」
「できぬ相談だ。リーザは私の連れ合いだぞ。それに、自分を封印できる石を簡単に返すわけなかろう」
「・・・母に3種の神器を渡して全てを委ねればいい。魔族は地上に出ることはできない。
なぜなら太陽がなくなれば・・・」
「そなたらは、取り敢えず去ね」
ラディリオンはカイルの言葉を遮り、右手をかざすとそこから次元風が起こった。
カイルとリーナは、次元風に襲われ、自分の体の中心に全てが集まるような感覚がしたかと思うと、かき消えた。
「誰かと思えば、リーデイル叔父さん。こんなところで会うとは奇遇ですね」
リーナは動揺を隠して、わざとおどけた調子で話す。
「なれなれしく話しかけるな、リーナ。お前たちに叔父さん呼ばわりされたくない」
「相変わらずかわいい姪っ子に冷たいなあ」
カイルやリーナにとっては、母親の腹違いの兄なので、リーデイルは叔父に当たる。
母親は魔王ラディリオンや女王ラビリティアの父親の妹に当たり、 リーデイルは魔界で産まれた。
リーネ族の王を父に持ち、魔界の王族を母に持ち、本来なら2つの一族の架け橋となるべきリーデイルであったが、彼の選択はリーネ族を崩壊させることであった。
どうやったのか素性を隠してリーネ族の王族の一人になりすまし、女王リーザの腹心の部下としてリーネ族の王宮に入り込んだ。
やがてリーネ族を裏切り、戦乱と混乱に沈めた後、女王リーザを捕らえて魔王ラディリオンに献上した。
リーネ族を滅亡の危機にさらした元凶である。
「リーナ、僕の近くに」
カイルとリーナは肩を寄せ、リーデイルの攻撃に備えた。
リーデイルが笑いながら、やおらエネルギー弾を何発か撃ってきた。
リーザの氷壁に当たる!
カイルは再びバルムンクを手にするとエネルギー弾を全て跳ね返した。
エネルギー弾は地下神殿の壁に当たって爆発した。
「ここで物騒な真似はやめてもらおう」
両者の間に割って入る者がいた。
3人は声がした方を一斉に見た。
どこまでも深い漆黒の髪と瞳。
神々の戦いに破れた古代の神々の面差しを受け継ぐ美しすぎる美貌。
魔王ラディリオンその人であった。
「リーヴィシランとリーナか・・・」
ラディリオンが目を細める。
「別れた時、お前たちはまだ赤子だった。だが、感動の親子対面というわけにはいかぬな」
カイルとリーナは自分たちの父親の姿を初めて見た。
リーナは父親似か。
父の容貌に酷似する妹とラディリオンを見比べながら、カイルは思う。
容貌1つとっても、親子であることをいやでも思い知らされるのに、自分たちは父親を倒すことができるのか。
カイルはバルムンクを握り直す。
突然、リーザが納められている氷壁の塊に亀裂が走った。
あっと思う間もなく、氷は粉々に砕け、中からリーザの体が飛び出してきた。
その体を横からリーデイルがかっさらった。
リーザの美しいウェーブがかった金髪が空を舞った。
カイルの顔が悔しげに歪む。
「母とバルムンクの青い宝石を返してもらいたい」
「できぬ相談だ。リーザは私の連れ合いだぞ。それに、自分を封印できる石を簡単に返すわけなかろう」
「・・・母に3種の神器を渡して全てを委ねればいい。魔族は地上に出ることはできない。
なぜなら太陽がなくなれば・・・」
「そなたらは、取り敢えず去ね」
ラディリオンはカイルの言葉を遮り、右手をかざすとそこから次元風が起こった。
カイルとリーナは、次元風に襲われ、自分の体の中心に全てが集まるような感覚がしたかと思うと、かき消えた。
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