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第25話 邂逅
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魔王サタンに代表されるように、「魔王」とは世にも恐ろしい姿で絵画などにおいて描かれている。
しかし、魔王ラディリオンの姿はどうだろう。
月も星もない夜の闇をまとったような漆黒の髪と瞳。
整った顔は完璧すぎて怖いくらいだ。
「魔」とは、本来、邪悪で恐ろしい姿ではなく、尋常でない美しさで人々を魅了し、恍惚のうちに命や魂を奪うのではないだろうか。
妙土もまたこの世にあり得ないような魔王の美貌に畏怖を感じた。
「敗北した神々は太陽を仰ぎ見ることが許されない体にされて地下に追いやられた。地上にいる者を憎むあまり、魔性の穢れと漆黒の闇をまとって地下に王国を築き上げたんだ」
妙土はカイルの言葉を思い出した。
神代に神々の闘いで敗れた神は地下に下り、漆黒の闇をまとった魔族となった。
魔王ラディリオンは地下に堕とされた神々の一人なのだろうか。
「あのー、私、下がりますねー」
そう言ってユティアがそそくさと退出しようとする。
二人きりにされては困る、と妙土はユティアを止めようとしたが、ユティアは煙のように消えてしまった。
魔王ラディリオンと妙土の二人きりになった。
今にもリーザが意識の奥から出て助けにくるのではないかと期待する妙土だったが、リーザが出てくる気配はなかった。
あくまで、だんまりを決め込むらしい。
(気まずい・・・)
ベッドにいる薄衣をまとった極上の美女が絶世の美男と二人きりというシチュエーションも何となく胸騒ぎを起こさせる。
フリーホール状態の電車から危機一髪で救い出してくれたように、カイルは助けに来てくれないのだろうか。
カイルが助けにくれば、それこそ映画のようにドラマチックだが、妙土は今はリーザの姿なので複雑な三角関係の図になるし、いつもそんなタイミング良くカイルが現れるとは限らない。
自分で何とかしなければいけない。
(どうしよう・・・)
気まずい沈黙が続き、妙土は部屋の空気に押しつぶされそうだった。
「具合はどうだ?」
口火を切ったのは、ラディリオンだった。
言葉が通じると思って自分の左手を見れば、ソロモンの指輪が光っていた。
指輪のおかげなのか、妙土はラディリオンとコミュニケーションをとれるようだ。
ラディリオンがベッドに近づいてきたので、とっさにベッドから離れようとしたところ、借り物のような体のせいかバランスを崩し、妙土はベッドから転がり落ちそうになった。
ラディリオンが駆け付けてカイルより華奢な腕で妙土の体を抱き止める。
「大丈夫か?」
氷の美貌と裏腹に、腰が砕けそうになるくらい甘い声でリーザの安否を気遣う。
妙土の乱れた金髪を整え、そのまま額や頬に手を添えていく。
肌と肌の馴染み具合が尋常でないぐらいに気持ちいい。
このまま触れられ続けたらどうにかなりそうな気がして、妙土はラディリオンの手を振り払おうとしたが、力が入らない。
ラディリオンの手はゆっくりと妙土の滑らかなうなじや肩、鎖骨を辿り、やがて豊かな乳房に到達した。
白い胸の頂を指で玩ぶ。
恍惚のうちに妙土の全身に痺れるような感覚が起こり、下腹部がうずいたが、カイルの顔がよぎった。
我に返った妙土は抵抗を試み、身をよじらせて逃げようとするが、ラディリオンにベッドの上に押さえ込まれた。
妙土の体にラディリオンが覆い被さってくる。
華奢な体は鋼のように鍛えられており、妙土の力ではどうしようもできない。
薄衣が引き剥がされ、妙土の上半身が露になる。
この後やってくる展開にたまらなくなり、妙土は叫ぶ。
「助けて!カイルー!」
「カイルだと?誰だそれは」
ラディリオンの動きが止まった。
初めて聞く男の名前に戸惑いと嫉妬を隠せない様子で詰問する。
妙土は必死で薄衣を胸の前にかき寄せラディリオンを睨み付ける。
しかし、返答に窮した。
カイルはリーヴィシラン、リーザと魔王ラディリオンの息子であり、人間世界で生きるための通称名が「カイル」である。
ラディリオンはカイルが自分の息子であるリーヴィシランと同一人物だと知らないようだ。
ただ、このなりでカイルとの関係を説明すると母子相姦的な構図になるのではないか。
ラディリオンはリーザの中身が天宮妙土だとも思ってないだろう。
えもいわれぬ緊張感に妙土は目まいがしそうだった。
しかし、魔王ラディリオンの姿はどうだろう。
月も星もない夜の闇をまとったような漆黒の髪と瞳。
整った顔は完璧すぎて怖いくらいだ。
「魔」とは、本来、邪悪で恐ろしい姿ではなく、尋常でない美しさで人々を魅了し、恍惚のうちに命や魂を奪うのではないだろうか。
妙土もまたこの世にあり得ないような魔王の美貌に畏怖を感じた。
「敗北した神々は太陽を仰ぎ見ることが許されない体にされて地下に追いやられた。地上にいる者を憎むあまり、魔性の穢れと漆黒の闇をまとって地下に王国を築き上げたんだ」
妙土はカイルの言葉を思い出した。
神代に神々の闘いで敗れた神は地下に下り、漆黒の闇をまとった魔族となった。
魔王ラディリオンは地下に堕とされた神々の一人なのだろうか。
「あのー、私、下がりますねー」
そう言ってユティアがそそくさと退出しようとする。
二人きりにされては困る、と妙土はユティアを止めようとしたが、ユティアは煙のように消えてしまった。
魔王ラディリオンと妙土の二人きりになった。
今にもリーザが意識の奥から出て助けにくるのではないかと期待する妙土だったが、リーザが出てくる気配はなかった。
あくまで、だんまりを決め込むらしい。
(気まずい・・・)
ベッドにいる薄衣をまとった極上の美女が絶世の美男と二人きりというシチュエーションも何となく胸騒ぎを起こさせる。
フリーホール状態の電車から危機一髪で救い出してくれたように、カイルは助けに来てくれないのだろうか。
カイルが助けにくれば、それこそ映画のようにドラマチックだが、妙土は今はリーザの姿なので複雑な三角関係の図になるし、いつもそんなタイミング良くカイルが現れるとは限らない。
自分で何とかしなければいけない。
(どうしよう・・・)
気まずい沈黙が続き、妙土は部屋の空気に押しつぶされそうだった。
「具合はどうだ?」
口火を切ったのは、ラディリオンだった。
言葉が通じると思って自分の左手を見れば、ソロモンの指輪が光っていた。
指輪のおかげなのか、妙土はラディリオンとコミュニケーションをとれるようだ。
ラディリオンがベッドに近づいてきたので、とっさにベッドから離れようとしたところ、借り物のような体のせいかバランスを崩し、妙土はベッドから転がり落ちそうになった。
ラディリオンが駆け付けてカイルより華奢な腕で妙土の体を抱き止める。
「大丈夫か?」
氷の美貌と裏腹に、腰が砕けそうになるくらい甘い声でリーザの安否を気遣う。
妙土の乱れた金髪を整え、そのまま額や頬に手を添えていく。
肌と肌の馴染み具合が尋常でないぐらいに気持ちいい。
このまま触れられ続けたらどうにかなりそうな気がして、妙土はラディリオンの手を振り払おうとしたが、力が入らない。
ラディリオンの手はゆっくりと妙土の滑らかなうなじや肩、鎖骨を辿り、やがて豊かな乳房に到達した。
白い胸の頂を指で玩ぶ。
恍惚のうちに妙土の全身に痺れるような感覚が起こり、下腹部がうずいたが、カイルの顔がよぎった。
我に返った妙土は抵抗を試み、身をよじらせて逃げようとするが、ラディリオンにベッドの上に押さえ込まれた。
妙土の体にラディリオンが覆い被さってくる。
華奢な体は鋼のように鍛えられており、妙土の力ではどうしようもできない。
薄衣が引き剥がされ、妙土の上半身が露になる。
この後やってくる展開にたまらなくなり、妙土は叫ぶ。
「助けて!カイルー!」
「カイルだと?誰だそれは」
ラディリオンの動きが止まった。
初めて聞く男の名前に戸惑いと嫉妬を隠せない様子で詰問する。
妙土は必死で薄衣を胸の前にかき寄せラディリオンを睨み付ける。
しかし、返答に窮した。
カイルはリーヴィシラン、リーザと魔王ラディリオンの息子であり、人間世界で生きるための通称名が「カイル」である。
ラディリオンはカイルが自分の息子であるリーヴィシランと同一人物だと知らないようだ。
ただ、このなりでカイルとの関係を説明すると母子相姦的な構図になるのではないか。
ラディリオンはリーザの中身が天宮妙土だとも思ってないだろう。
えもいわれぬ緊張感に妙土は目まいがしそうだった。
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