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第26話 話し合いにならない話し合い
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夢の中で見る魔王ラディリオンは無表情で、その美しい顔から感情は一切、読み取れなかった。
しかし、目の前の本人は明らかに妙土が口にした「カイル」という男に苛立ち、不快感を表している。
嫉妬。
所有欲があるからこそ起こる感情である。
リーザは、一族の命運を引き換えにしてでも、ラディリオンを殺せないくらい愛してた。
魔王ラディリオンもまた、他の男の影に反応するくらいリーザに執着していたのだろう。
二人は相思相愛というのではなかろうか。
なぜ相思相愛の二人が敵対し、魔王ラディリオン封印に至ったのかまるでわからなかった。
普通、両者で話し合えば、おとしどころが見つかるのではないだろうか。
(リーザにいろいろ聞かなきゃだわ)
妙土は背筋を正し深呼吸をして、今一度ラディリオンを真正面から見据えた。
「私の話を聞いてもらっていいですか」
策を弄してこの場をしのぐのは無理なような気がしたので、妙土は直球勝負に出ることにした。
これまでの経緯、カイルとの出会いやカイルがリーヴィシランであること、自分は天宮妙土というリーザの生まれ変わりであること、気づいたらリーザの体になっていたこと、多少はしょったものの、カイルに不利にならぬよう言葉を選びながら説明した。
妙土の話を聞き終えた後、ラディリオンは口を開いた。
「つまり、そなたはリーザの生まれ変わりで、リーヴィシランと相愛の仲であるということか」
相愛の仲というのだろうか。
妙土は最後の夜を思い出して顔を赤らめた。
一瞬、妙土の瞳が潤み、優しい表情になったのを、ラディリオンは見逃さなかった。
瞬時に頭に血が上り、荒々しく妙土を組敷く。
「きゃあ!」
薄衣がずれ落ち、またもや妙土の白い胸が露になる。
「そなたがリーザであることに変わりはない。そなたの転生をリーヴィシランが追っていただと?・・・私が封印石にいる間、実の息子と近親相姦を繰り返してきたのか?」
「・・・・・・」
いや、体は人間なので近親相姦にはなりません。
それに、リーザと私は、魂は一緒かもしれないけれど、人格は違います。
と反論したかったが、火に油を注ぐばかりで、話がややこしくなるだけだと思いとどまった。
(・・・ダメだ・・・。話してわかる相手じゃなさそう・・・。かくなる上は・・・)
「ああっ!」
妙土は大きく痙攣して胸を縮めた、
「どうした!?」
胸を押さえて苦しむ妙土にラディリオンが血相を変える。
「胸が・・・苦しい!助けて!」
リーネ族に神経痛とかあるのかしらんと思いながら妙土は苦しむ姿をアピールする。
「ユティア!」
「はーい」
小鬼の少女が空中から現れて、妙土を介抱する。
「ラディリオン様、無理させちゃダメですよー。リーザ様は氷壁から出て5日間、意識がなかったんですからー、襲っちゃダメですー。ちょっと出て行ってくださいー」
(・・・私が襲われていたのを見てたのか)
ユティアにツッコミをいれたかっだが、我慢した。
バツが悪そうにしているラディリオンはユティアが苦手と見えた。
名残惜しそうに妙土を一瞥すると、大人しく消えた。
「大丈夫ですかー、リーザ様。お薬湯を持ってきますねー」
ユティアも消えたので、妙土はホッと息をついた。
胸が苦しいのは演技だが、本当に具合が悪くなりそうである。
出会い頭に押し倒された経験は初めてだった。
リーザも強引な印象はあったが、ラディリオンも相手のことにお構いなしに、感情の赴くままに行動をするというか・・・。
そういえば、ブランドンもどこか人を見下したような態度だった。
神様は俺様型で直情径行なのだろうか。
それじゃあ、問題解決のための話し合いはうまくいかないだろう・・・。
リーネ族と魔族との折り合いが悪かったのも何となくうなずける妙土であった。
しかし、目の前の本人は明らかに妙土が口にした「カイル」という男に苛立ち、不快感を表している。
嫉妬。
所有欲があるからこそ起こる感情である。
リーザは、一族の命運を引き換えにしてでも、ラディリオンを殺せないくらい愛してた。
魔王ラディリオンもまた、他の男の影に反応するくらいリーザに執着していたのだろう。
二人は相思相愛というのではなかろうか。
なぜ相思相愛の二人が敵対し、魔王ラディリオン封印に至ったのかまるでわからなかった。
普通、両者で話し合えば、おとしどころが見つかるのではないだろうか。
(リーザにいろいろ聞かなきゃだわ)
妙土は背筋を正し深呼吸をして、今一度ラディリオンを真正面から見据えた。
「私の話を聞いてもらっていいですか」
策を弄してこの場をしのぐのは無理なような気がしたので、妙土は直球勝負に出ることにした。
これまでの経緯、カイルとの出会いやカイルがリーヴィシランであること、自分は天宮妙土というリーザの生まれ変わりであること、気づいたらリーザの体になっていたこと、多少はしょったものの、カイルに不利にならぬよう言葉を選びながら説明した。
妙土の話を聞き終えた後、ラディリオンは口を開いた。
「つまり、そなたはリーザの生まれ変わりで、リーヴィシランと相愛の仲であるということか」
相愛の仲というのだろうか。
妙土は最後の夜を思い出して顔を赤らめた。
一瞬、妙土の瞳が潤み、優しい表情になったのを、ラディリオンは見逃さなかった。
瞬時に頭に血が上り、荒々しく妙土を組敷く。
「きゃあ!」
薄衣がずれ落ち、またもや妙土の白い胸が露になる。
「そなたがリーザであることに変わりはない。そなたの転生をリーヴィシランが追っていただと?・・・私が封印石にいる間、実の息子と近親相姦を繰り返してきたのか?」
「・・・・・・」
いや、体は人間なので近親相姦にはなりません。
それに、リーザと私は、魂は一緒かもしれないけれど、人格は違います。
と反論したかったが、火に油を注ぐばかりで、話がややこしくなるだけだと思いとどまった。
(・・・ダメだ・・・。話してわかる相手じゃなさそう・・・。かくなる上は・・・)
「ああっ!」
妙土は大きく痙攣して胸を縮めた、
「どうした!?」
胸を押さえて苦しむ妙土にラディリオンが血相を変える。
「胸が・・・苦しい!助けて!」
リーネ族に神経痛とかあるのかしらんと思いながら妙土は苦しむ姿をアピールする。
「ユティア!」
「はーい」
小鬼の少女が空中から現れて、妙土を介抱する。
「ラディリオン様、無理させちゃダメですよー。リーザ様は氷壁から出て5日間、意識がなかったんですからー、襲っちゃダメですー。ちょっと出て行ってくださいー」
(・・・私が襲われていたのを見てたのか)
ユティアにツッコミをいれたかっだが、我慢した。
バツが悪そうにしているラディリオンはユティアが苦手と見えた。
名残惜しそうに妙土を一瞥すると、大人しく消えた。
「大丈夫ですかー、リーザ様。お薬湯を持ってきますねー」
ユティアも消えたので、妙土はホッと息をついた。
胸が苦しいのは演技だが、本当に具合が悪くなりそうである。
出会い頭に押し倒された経験は初めてだった。
リーザも強引な印象はあったが、ラディリオンも相手のことにお構いなしに、感情の赴くままに行動をするというか・・・。
そういえば、ブランドンもどこか人を見下したような態度だった。
神様は俺様型で直情径行なのだろうか。
それじゃあ、問題解決のための話し合いはうまくいかないだろう・・・。
リーネ族と魔族との折り合いが悪かったのも何となくうなずける妙土であった。
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