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第42話 ブランドンは囮(おとり)になった
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魔界の地下神殿に到着したカイルとブランドン。
カイルはチラッとブランドンを見た。
ブランドンは髪を黒く染め、化粧をしていた。
元々、線の細い美しい顔立ちなので、化粧がよく映える。
口紅をひいた朱唇が何とも色気がある。
ロングコートからは女物のブーツをのぞかせているが、よくこの男のサイズがあったものだ。
さすがはロシア。
フードをかぶっていれば長身のリーナに見えなくもない。
ブランドンはリーナがリーザ(の姿をした妙土)を連れ出す間、リーナとして、リーデイルを引き付けることを申し出たのだ。
確かに、カイルとリーナがそれぞれ単騎で行動していては怪しまれる。
(しかし、キザったらしいブランドンのこんな姿が見れるとは)
カイルは内心、ブランドンの女装姿に笑いを噛み殺していた。
カイルと目が合うとブランドンは色っぽくウインクをよこし、肩をそびやかした。
リーザを連れたリーナが王宮から脱出するまで、カイルとリーナのふりをしたブランドンは王宮付きの近衛隊に追いかけられていた。
近衛隊の隊長は魔界の戦闘集団アルカナの一人、「正義」。
神殿や王宮ではエネルギー弾などの飛び道具を近衛隊は使えないと見える。
カイルとブランドンはひたすら走った。
そうしてたどり着いたのが、地下神殿の永久氷壁の間であった。
リーザの体が数千年、氷壁に閉じ込められていた場所である。
着いた途端、エネルギー弾が足元に着弾したのでカイルとブランドンは避けた。
「またお前たちか・・・」
リーデイルが呆れ顔で待ち構えていた。
「追い返されるとわかって、また来るとは」
リーデイルの側には混血児のアルカナが二人。
アルカナ「塔」と「愚者」。
二人とも黒髪に青い瞳の混血児だった。
リーデイル自身もアルカナ「魔術師」である。
「リーヴィシラン、お前はバルムンクの剣の使い手としては二流だ。その神剣を使いこなせてない。私と闘うのは無駄だぞ」
リーデイルがリーヴィシランことカイルを煽る。
「どうかな、試してみるかい?」
カイルはバルムンクの剣を手のひらから出した。
カイルが柄を握り込むと刀身から青い燐光が放たれる。
カイルは臨戦体勢だったが。
『兄さん、妙土、確保!』
ソロモンの指輪を通してリーナから連絡がきた。
リーナは首尾よく妙土を確保したようだ。
ならば長居は無用。
カイルは余裕の笑みを見せた。
「バルムンクを試してみるのは、また今度にするよ、リーデイル叔父さん」
カイルはバルムンクをしまった。
リーデイルの顔色が変わった。
「またね、叔父さん」
カイルとブランドンは瞬間移動で消えた。
ブランドンは去り際、かぶっていたフードをとって手をひらひらさせた。
全てを理解したリーデイルたちは、怒りの顔面で直ちに王宮へ向かった。
カイルはチラッとブランドンを見た。
ブランドンは髪を黒く染め、化粧をしていた。
元々、線の細い美しい顔立ちなので、化粧がよく映える。
口紅をひいた朱唇が何とも色気がある。
ロングコートからは女物のブーツをのぞかせているが、よくこの男のサイズがあったものだ。
さすがはロシア。
フードをかぶっていれば長身のリーナに見えなくもない。
ブランドンはリーナがリーザ(の姿をした妙土)を連れ出す間、リーナとして、リーデイルを引き付けることを申し出たのだ。
確かに、カイルとリーナがそれぞれ単騎で行動していては怪しまれる。
(しかし、キザったらしいブランドンのこんな姿が見れるとは)
カイルは内心、ブランドンの女装姿に笑いを噛み殺していた。
カイルと目が合うとブランドンは色っぽくウインクをよこし、肩をそびやかした。
リーザを連れたリーナが王宮から脱出するまで、カイルとリーナのふりをしたブランドンは王宮付きの近衛隊に追いかけられていた。
近衛隊の隊長は魔界の戦闘集団アルカナの一人、「正義」。
神殿や王宮ではエネルギー弾などの飛び道具を近衛隊は使えないと見える。
カイルとブランドンはひたすら走った。
そうしてたどり着いたのが、地下神殿の永久氷壁の間であった。
リーザの体が数千年、氷壁に閉じ込められていた場所である。
着いた途端、エネルギー弾が足元に着弾したのでカイルとブランドンは避けた。
「またお前たちか・・・」
リーデイルが呆れ顔で待ち構えていた。
「追い返されるとわかって、また来るとは」
リーデイルの側には混血児のアルカナが二人。
アルカナ「塔」と「愚者」。
二人とも黒髪に青い瞳の混血児だった。
リーデイル自身もアルカナ「魔術師」である。
「リーヴィシラン、お前はバルムンクの剣の使い手としては二流だ。その神剣を使いこなせてない。私と闘うのは無駄だぞ」
リーデイルがリーヴィシランことカイルを煽る。
「どうかな、試してみるかい?」
カイルはバルムンクの剣を手のひらから出した。
カイルが柄を握り込むと刀身から青い燐光が放たれる。
カイルは臨戦体勢だったが。
『兄さん、妙土、確保!』
ソロモンの指輪を通してリーナから連絡がきた。
リーナは首尾よく妙土を確保したようだ。
ならば長居は無用。
カイルは余裕の笑みを見せた。
「バルムンクを試してみるのは、また今度にするよ、リーデイル叔父さん」
カイルはバルムンクをしまった。
リーデイルの顔色が変わった。
「またね、叔父さん」
カイルとブランドンは瞬間移動で消えた。
ブランドンは去り際、かぶっていたフードをとって手をひらひらさせた。
全てを理解したリーデイルたちは、怒りの顔面で直ちに王宮へ向かった。
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