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第44話 それぞれの想い
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もう二度と会うことは叶わぬと思っていたカイルを妙土は見つめていた。
ずっとカイルに会いたかった。
側に行きたい。
しかし、駆け寄ろうにも自分の今の姿はカイルの母である。
声をかけるのも、ためらわれた。
ブランドンは久しぶりに見る女主人の姿を感慨深げに見つめた。
魔王ラディリオンとの最後の戦いの後、氷壁に閉じ込められていたリーザ。
何千年ぶりだろうか。
我が永遠の主。
自分の命は彼女のためだけにある。
カイルもまた母であるリーザの姿に、雷に打たれたように、立ちすくんでいた。
遠い昔に赤ん坊の自分とリーナを乳母ネリーニに託した後、母は氷壁に閉じ込められた。
実際に動いて話す母を見るのは初めてである。
白磁の肌を波打つ金色の髪に自分と同じアクアマリンの瞳。
神代の女神のように神々しい美しさに息を飲んだ。
「ブランドン、さっさと着替えてくれない?気持ち悪いんですけど・・・」
リーナが女装したブランドンを見て肩をすくめた。
ひどい言われようだ、と、ぼやきながら、ブランドンは奥の部屋に入っていった。
残されたのは3人。
妙土とカイル、リーナ。
「うるわしき親子の再会というわけね。妙土、母と別れたとき、私たちは赤ん坊だったから、母のことはまるで覚えてないの。
カイル兄さん、お茶は?」
「ああ、もらおうかな」
カイルはのろのろとソファに腰を下ろした。
「待っててね」
リーナはキッチンに消えた。
「・・・妙土だよね。驚いた」
「私も目が覚めたらこの体だったから驚いたよ・・・」
「てっきり母の意識が自分の体で覚醒すると思っていたから。でも、君とまた会えてうれしいよ」
「私もカイルにまた会えてうれしいよ。あの・・・私の体はどうなったんだろう?」
「君の体は僕が埋葬した。自然に囲まれた美しい場所で眠っている」
「そっか・・・」
・・・やっぱり私は死んでるんだよね・・・。
そう思うと涙が出ていた。
「妙土、すまない。母を甦らすためとはいえ、僕が君の命を奪った」
「・・・」
「詳しい説明もすることができず、さぞ怖かっただろうと思う」
「・・・怖くはなかったよ・・・。あなたの腕の中で最期を迎えるその時まで私は安心してあなたに自分を預けていたの。
自分の命が尽きる瞬間ですら、私は怖くなかった。
視界が真っ暗になってから、あなたと共にいた前世の自分たちを思い出していた・・・。私たち、ずっと一緒にいたんだね」
「君が生まれ変わる度に僕は君を追い求めた。
なぜか僕には母の生まれ変わりがどこにいるのかわかるんだ。何万何億人いたってその中から見つけ出せる。
双子でもリーナにはわからないのにね」
カイルはリーナのいるキッチンに目を向けた。
「でも、その理由がやっとわかった」
カイルは立ち上がり妙土に近づいた。
「カイル?」
「妙土、二人きりで話せるところに行こうか」
カイルが妙土の手を取ると、自分の体に全てが集約していき、二人は忽然と部屋から消えた。
紅茶を持ってきたリーナは二人がいないので、カイルに悪態をついた。
続けて部屋に入ったブランドンも、やれやれという風に肩をすくめた。
ずっとカイルに会いたかった。
側に行きたい。
しかし、駆け寄ろうにも自分の今の姿はカイルの母である。
声をかけるのも、ためらわれた。
ブランドンは久しぶりに見る女主人の姿を感慨深げに見つめた。
魔王ラディリオンとの最後の戦いの後、氷壁に閉じ込められていたリーザ。
何千年ぶりだろうか。
我が永遠の主。
自分の命は彼女のためだけにある。
カイルもまた母であるリーザの姿に、雷に打たれたように、立ちすくんでいた。
遠い昔に赤ん坊の自分とリーナを乳母ネリーニに託した後、母は氷壁に閉じ込められた。
実際に動いて話す母を見るのは初めてである。
白磁の肌を波打つ金色の髪に自分と同じアクアマリンの瞳。
神代の女神のように神々しい美しさに息を飲んだ。
「ブランドン、さっさと着替えてくれない?気持ち悪いんですけど・・・」
リーナが女装したブランドンを見て肩をすくめた。
ひどい言われようだ、と、ぼやきながら、ブランドンは奥の部屋に入っていった。
残されたのは3人。
妙土とカイル、リーナ。
「うるわしき親子の再会というわけね。妙土、母と別れたとき、私たちは赤ん坊だったから、母のことはまるで覚えてないの。
カイル兄さん、お茶は?」
「ああ、もらおうかな」
カイルはのろのろとソファに腰を下ろした。
「待っててね」
リーナはキッチンに消えた。
「・・・妙土だよね。驚いた」
「私も目が覚めたらこの体だったから驚いたよ・・・」
「てっきり母の意識が自分の体で覚醒すると思っていたから。でも、君とまた会えてうれしいよ」
「私もカイルにまた会えてうれしいよ。あの・・・私の体はどうなったんだろう?」
「君の体は僕が埋葬した。自然に囲まれた美しい場所で眠っている」
「そっか・・・」
・・・やっぱり私は死んでるんだよね・・・。
そう思うと涙が出ていた。
「妙土、すまない。母を甦らすためとはいえ、僕が君の命を奪った」
「・・・」
「詳しい説明もすることができず、さぞ怖かっただろうと思う」
「・・・怖くはなかったよ・・・。あなたの腕の中で最期を迎えるその時まで私は安心してあなたに自分を預けていたの。
自分の命が尽きる瞬間ですら、私は怖くなかった。
視界が真っ暗になってから、あなたと共にいた前世の自分たちを思い出していた・・・。私たち、ずっと一緒にいたんだね」
「君が生まれ変わる度に僕は君を追い求めた。
なぜか僕には母の生まれ変わりがどこにいるのかわかるんだ。何万何億人いたってその中から見つけ出せる。
双子でもリーナにはわからないのにね」
カイルはリーナのいるキッチンに目を向けた。
「でも、その理由がやっとわかった」
カイルは立ち上がり妙土に近づいた。
「カイル?」
「妙土、二人きりで話せるところに行こうか」
カイルが妙土の手を取ると、自分の体に全てが集約していき、二人は忽然と部屋から消えた。
紅茶を持ってきたリーナは二人がいないので、カイルに悪態をついた。
続けて部屋に入ったブランドンも、やれやれという風に肩をすくめた。
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