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2.悪役令嬢、療養する
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屋敷にいると何かしなければと気持ちばかりが急いてしまい、でも、なにもできないわたくし自身に失望します。
そんな毎日を過ごしていると、マリアがわたくしに言いました。
「サーシャお嬢様。奥様が領地からいらっしゃいました」
我が領地は広大で、経営も難しいため、お母様は臣下に任せ切るのではなくご自身が領地で過ごし、領地を守っていらっしゃるのです。
「お母様が……身支度を整えなければならないわね」
「なにをおっしゃるのですか! お嬢様は病床の身なのですよ!? このまま、お会いするのです!」
そう、マリアに抑え込まれ、わたくしはパジャマにベッドの上という淑女にあるまじき格好でお母様にお会いすることとなったのです。
「髪をとかして、お身体をお拭きいたしますね」
「そう」
わたくしは湯浴みをする気力もなく、マリアに身を委ねました。平民は毎日湯浴みなんてしないもの……わたくしごときが毎日湯浴みなんて、贅沢ですわ。
「入るわね? サーシャ」
お母様は、わたくしの部屋にお入りになりました。
お父様が後ろからついてきて、言います。
「まだ、そんな格好をしているのか。はしたない。早く着替えろ」
マリアが敵国軍でも見るかのような表情でお父様を睨みます。だめよ、マリア。あなたはメイドなのよ。
「はい、申し訳ご」
ばっちーん!
わたくしが謝ろうとしたら、お母様がお父様の頬を打ちました。
「え?」
思わず、皆が呆けてしまいます。
「あなた! こんな状態のサーシャちゃんになんていうことをいうの!? こんなにも痩せこけて、笑顔だって、あんな可愛らしい笑顔だって見せられないくらいなのよ!?」
そう言ったお母様に、お父様は謝ります。
「す、すまない。シャーリー! せっかく君に会えたのに、サーシャがこんな格好だったから」
ばっちーん!
もう一発、お父様が打たれ、飛んでいきます。
「誰のせいでこうなったとお思い? わたくしの可愛い娘を守れなかった男に用なんてないわ!」
「す、すまない、シャーリー。君に捨てられたら、生きていけないんだ!!!」
お母様にメロメロなお父様は、謝り倒します。
「男同士の友情? そんなもののために、わたくしの娘が苦しんでいるのよ? 捨てておしまい! そんな無駄なもの! 王子のプライド? そんなものを守るためのこの国にいるのではないわ! さぁ、サーシャ。わたくしと一緒に領地に戻りましょう? ゆっくりすればいいのよ。あなたは今まで頑張りすぎたのだから」
わたくしが悪役令嬢と言われるようになったきっかけは、王子殿下との会合です。わたくしをお気に召してくださった王子殿下。わたくしが王子殿下に惚れなかったからと、わたくしを婚約者にした上で悪評を流したのです。お父様は、ご友人の国王陛下との友情を守るために我慢しろ、公爵令嬢ならば戦えとおっしゃり、わたくしはそれに従ったのです。
「なにが任せておけ、よ。サーシャちゃんがこんなに弱るまで連絡してこないなんて。おかしいと思ったのよ。あなたも、わたくしに隠し事をしていたなんて許さないわよ?」
「はっ」
頭を下げるのは、当家の筆頭執事。わたくしの体調は、お父様によって、お母様に隠されていたようです。
「マリア。あなたはよくやってくれたわ。領地に一緒にいらっしゃい」
「ありがたき幸せ」
「その、シャーリー。泊まっていかないのか?」
「泊まっていかないのか? ですって? わたくしのかわいいサーシャちゃんをここまで酷い目に合わせておいて、わたくしにそのことを隠して、さらに追い詰めようとしたあなたと共に過ごすなんてお断りよ!」
「そ、そんな、すまなかった! すまなかった! シャーリー!」
「はん? わたくしに謝る? 謝る相手が間違っているんじゃなくて?」
「す、すまなかった、サーシャ!」
必死に謝るお父様。少し恐ろしいくらい必死ですわ。
「こんなクソみたいな旦那、捨てて隣国に移住してもいいのよ、サーシャちゃん? さぁさ、今はゆっくりしましょうね? 医師を呼んで。彼も連れて行くわ。メイド長? あなたも手伝ってくれるわよね?」
「はっ!」
どうやら、メイド長がお母様に連絡したようです。メイド長の夫たる執事も顔色を悪くしています。
「お願いだ、シャーリー! 捨てないでくれ!」
「捨てないでくれないか?」
男泣きするお父様と執事。わたくしは、そんな叫び声を耳に、王都の屋敷を後にしました。
そんな毎日を過ごしていると、マリアがわたくしに言いました。
「サーシャお嬢様。奥様が領地からいらっしゃいました」
我が領地は広大で、経営も難しいため、お母様は臣下に任せ切るのではなくご自身が領地で過ごし、領地を守っていらっしゃるのです。
「お母様が……身支度を整えなければならないわね」
「なにをおっしゃるのですか! お嬢様は病床の身なのですよ!? このまま、お会いするのです!」
そう、マリアに抑え込まれ、わたくしはパジャマにベッドの上という淑女にあるまじき格好でお母様にお会いすることとなったのです。
「髪をとかして、お身体をお拭きいたしますね」
「そう」
わたくしは湯浴みをする気力もなく、マリアに身を委ねました。平民は毎日湯浴みなんてしないもの……わたくしごときが毎日湯浴みなんて、贅沢ですわ。
「入るわね? サーシャ」
お母様は、わたくしの部屋にお入りになりました。
お父様が後ろからついてきて、言います。
「まだ、そんな格好をしているのか。はしたない。早く着替えろ」
マリアが敵国軍でも見るかのような表情でお父様を睨みます。だめよ、マリア。あなたはメイドなのよ。
「はい、申し訳ご」
ばっちーん!
わたくしが謝ろうとしたら、お母様がお父様の頬を打ちました。
「え?」
思わず、皆が呆けてしまいます。
「あなた! こんな状態のサーシャちゃんになんていうことをいうの!? こんなにも痩せこけて、笑顔だって、あんな可愛らしい笑顔だって見せられないくらいなのよ!?」
そう言ったお母様に、お父様は謝ります。
「す、すまない。シャーリー! せっかく君に会えたのに、サーシャがこんな格好だったから」
ばっちーん!
もう一発、お父様が打たれ、飛んでいきます。
「誰のせいでこうなったとお思い? わたくしの可愛い娘を守れなかった男に用なんてないわ!」
「す、すまない、シャーリー。君に捨てられたら、生きていけないんだ!!!」
お母様にメロメロなお父様は、謝り倒します。
「男同士の友情? そんなもののために、わたくしの娘が苦しんでいるのよ? 捨てておしまい! そんな無駄なもの! 王子のプライド? そんなものを守るためのこの国にいるのではないわ! さぁ、サーシャ。わたくしと一緒に領地に戻りましょう? ゆっくりすればいいのよ。あなたは今まで頑張りすぎたのだから」
わたくしが悪役令嬢と言われるようになったきっかけは、王子殿下との会合です。わたくしをお気に召してくださった王子殿下。わたくしが王子殿下に惚れなかったからと、わたくしを婚約者にした上で悪評を流したのです。お父様は、ご友人の国王陛下との友情を守るために我慢しろ、公爵令嬢ならば戦えとおっしゃり、わたくしはそれに従ったのです。
「なにが任せておけ、よ。サーシャちゃんがこんなに弱るまで連絡してこないなんて。おかしいと思ったのよ。あなたも、わたくしに隠し事をしていたなんて許さないわよ?」
「はっ」
頭を下げるのは、当家の筆頭執事。わたくしの体調は、お父様によって、お母様に隠されていたようです。
「マリア。あなたはよくやってくれたわ。領地に一緒にいらっしゃい」
「ありがたき幸せ」
「その、シャーリー。泊まっていかないのか?」
「泊まっていかないのか? ですって? わたくしのかわいいサーシャちゃんをここまで酷い目に合わせておいて、わたくしにそのことを隠して、さらに追い詰めようとしたあなたと共に過ごすなんてお断りよ!」
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「こんなクソみたいな旦那、捨てて隣国に移住してもいいのよ、サーシャちゃん? さぁさ、今はゆっくりしましょうね? 医師を呼んで。彼も連れて行くわ。メイド長? あなたも手伝ってくれるわよね?」
「はっ!」
どうやら、メイド長がお母様に連絡したようです。メイド長の夫たる執事も顔色を悪くしています。
「お願いだ、シャーリー! 捨てないでくれ!」
「捨てないでくれないか?」
男泣きするお父様と執事。わたくしは、そんな叫び声を耳に、王都の屋敷を後にしました。
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