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8.邪神の秘密
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「これが……私?」
「そうですわ! 邪神様! 元はいいのですからオシャレやケアをして、あとはその余分なお肉を追放すれば、もっともっと美しくおなりになりますわ!」
ナニアたちに隅々まで磨き上げられた邪神様が戻っていらっしゃいました。
ナニアの褒め言葉に顔を赤く染められた邪神様。愛らしい乙女の完成ですわね!
「……わたくしのことをいつも”かわいい”とおっしゃってくださっていたファルシア様が、別の女を可愛がっていらっしゃいます」
「いい機会だから、ファルシアから少し離れたらどうだ?」
「ここは、本当なら共闘を誘う流れです!!」
なぜか、リーンベルと殿下が武器を構えて戦い始めました。仲のいいことは、良いことですわ。二人で仲良く戦いごっこをしているようなら、問題ありませんわね。私がそう考えながら頷いていると、ルイス様が何か言いたげにこちらを見ていらっしゃいます。あら? 武闘派の血が騒いでおいでなのかしら? 一緒に遊びたいなら、自分から声をおかけになればいいのに。そう思った私は、邪神様に視線を戻します。
「……お二人を止めてください、ファルシア様……」
小さすぎるルイス様のお声は、私の耳には届きませんでしたわ。
「邪神様! せっかくですから、ダイエットメニューも一緒に考えましょう? 美しい素材をお持ちなのですから、より引き立たせるべきですわ!」
「お嬢様のおっしゃる通りです! わたくしたちも協力いたしますわ!」
ナニアとメイドたちと一緒に邪神様のダイエットメニューを考えます。
「バランスの良い食事と運動ですわ!」
「では、シェフに協力してもらえるようお願いできるかしら?」
「お任せください! お嬢様!」
「あんたたちを断罪させてめちゃくちゃにしようとしたのに……なんでこんな私なんかにそんなに優しくしてくれるの?」
涙を突然流した邪神様。私は微笑んで、声を掛けます。
「邪神様はリーンベルちゃんを幸せにするために動いていらしたのでしょう? 邪神様のお考えは私にはわかりませんが、私の大切なリーンベルちゃんを幸せにしようとしてくださったのですもの。それに、私は特に害を被ったと思っておりませんわ。大切な方を大切に思ってくださる方……お友達のように思っておりますわ? ……邪神様に対して、恐れ多いかしら?」
私が笑うと、邪神様は怒ることなく頷いてくださいました。
「ありがとぉぉぉ、うぅ、私も、あんたたちのこと、友達って言ってもいい?」
「もちろんですわ! では、お友達記念にパジャマパーティーでも開催いたしますか?」
「いい考えですわ!」
「さすがファルシア様!」
私の提案に、皆様賛同してくださいます。
「……私も参加していい?」
「もちろん、邪神様のためのパジャマパーティーですもの! パジャマはお持ちですか? 私でよければ準備いたしますわ!」
「……ありがとう。その、邪神っていうのもやめてもらえると助かる」
「……では、なんてお呼びいたしましょうか?」
私が問いかけると、邪神様は少し照れた様子でおっしゃいました。
「……有塩 愛華沙。アガサって呼んでほしいな」
「わかりましたわ。アガサ様……いえ、アガサ。よろしくお願いしますわ!」
私はアガサとかっちりと握手を交わし、アガサは皆様と順に握手し、受け入れられました。
「……次は負けないですわ。アガサにもファルシア様は渡しませんわ!」
「なかなかやるな。アガサ嬢、よろしく」
戦いごっこを終えた殿下とリーンベルも参加し、無事に皆様と挨拶を終えました。……何か忘れているような?
「そうですわ! 邪神様! 元はいいのですからオシャレやケアをして、あとはその余分なお肉を追放すれば、もっともっと美しくおなりになりますわ!」
ナニアたちに隅々まで磨き上げられた邪神様が戻っていらっしゃいました。
ナニアの褒め言葉に顔を赤く染められた邪神様。愛らしい乙女の完成ですわね!
「……わたくしのことをいつも”かわいい”とおっしゃってくださっていたファルシア様が、別の女を可愛がっていらっしゃいます」
「いい機会だから、ファルシアから少し離れたらどうだ?」
「ここは、本当なら共闘を誘う流れです!!」
なぜか、リーンベルと殿下が武器を構えて戦い始めました。仲のいいことは、良いことですわ。二人で仲良く戦いごっこをしているようなら、問題ありませんわね。私がそう考えながら頷いていると、ルイス様が何か言いたげにこちらを見ていらっしゃいます。あら? 武闘派の血が騒いでおいでなのかしら? 一緒に遊びたいなら、自分から声をおかけになればいいのに。そう思った私は、邪神様に視線を戻します。
「……お二人を止めてください、ファルシア様……」
小さすぎるルイス様のお声は、私の耳には届きませんでしたわ。
「邪神様! せっかくですから、ダイエットメニューも一緒に考えましょう? 美しい素材をお持ちなのですから、より引き立たせるべきですわ!」
「お嬢様のおっしゃる通りです! わたくしたちも協力いたしますわ!」
ナニアとメイドたちと一緒に邪神様のダイエットメニューを考えます。
「バランスの良い食事と運動ですわ!」
「では、シェフに協力してもらえるようお願いできるかしら?」
「お任せください! お嬢様!」
「あんたたちを断罪させてめちゃくちゃにしようとしたのに……なんでこんな私なんかにそんなに優しくしてくれるの?」
涙を突然流した邪神様。私は微笑んで、声を掛けます。
「邪神様はリーンベルちゃんを幸せにするために動いていらしたのでしょう? 邪神様のお考えは私にはわかりませんが、私の大切なリーンベルちゃんを幸せにしようとしてくださったのですもの。それに、私は特に害を被ったと思っておりませんわ。大切な方を大切に思ってくださる方……お友達のように思っておりますわ? ……邪神様に対して、恐れ多いかしら?」
私が笑うと、邪神様は怒ることなく頷いてくださいました。
「ありがとぉぉぉ、うぅ、私も、あんたたちのこと、友達って言ってもいい?」
「もちろんですわ! では、お友達記念にパジャマパーティーでも開催いたしますか?」
「いい考えですわ!」
「さすがファルシア様!」
私の提案に、皆様賛同してくださいます。
「……私も参加していい?」
「もちろん、邪神様のためのパジャマパーティーですもの! パジャマはお持ちですか? 私でよければ準備いたしますわ!」
「……ありがとう。その、邪神っていうのもやめてもらえると助かる」
「……では、なんてお呼びいたしましょうか?」
私が問いかけると、邪神様は少し照れた様子でおっしゃいました。
「……有塩 愛華沙。アガサって呼んでほしいな」
「わかりましたわ。アガサ様……いえ、アガサ。よろしくお願いしますわ!」
私はアガサとかっちりと握手を交わし、アガサは皆様と順に握手し、受け入れられました。
「……次は負けないですわ。アガサにもファルシア様は渡しませんわ!」
「なかなかやるな。アガサ嬢、よろしく」
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