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なぜ、虐げてはいけないのですか?
これは、わたくしの獄中記。きっと明日が人生最後の日となるでしょう。
わたくしは、第一王子殿下の婚約者でした。王国の筆頭公爵家の唯一の娘で、母は帝国の姫君ですもの。当然ですわよね。
元平民の妾の子である男爵令嬢が、恐れ多くも殿下に声をかけたのは、春の日でした。
婚約者で公爵令嬢たるわたくしでさえ、殿下と二人で面会するには複雑な手続きが必要ですわ。当然です。この国のトップである王族たるお方ですもの。それくらいの警備がなくては、恐ろしいですわ。
男爵令嬢……いえ、この際、あの女狐と呼びましょう。あの女狐は偶然を装って、殿下にぶつかるという不敬を働きました。その場で切り捨てられて当然のことです。しかし、殿下のご慈悲で生かされることとなったのです。それ以降、あの女狐は殿下の周りをうろうろするようになりました。
「あの子は友人なんだ。初めて自分の意思で見つけた友人だ」
そう言う殿下にはがっかりいたしました。王族たる殿下の周りの人間が取捨選択されるのは当然のこと。まだ判断能力が未熟なわたくしたちが独力で陰謀を見抜けるでしょうか? わたくしは、殿下にそのように奏上いたしました。婚約者として誤りを指摘することは当然ですもの。
徐々に、あの女狐と殿下の距離は近づき、それに従ってわたくしを遠ざけるようになりました。なんと愚かな行動でしょう。あのお方の後ろ盾を我が公爵家が担っているからこそ、次期国王と有力視されているのに。そう丁寧に説明いたしましたが、煩わしそうにおっしゃるばかり。側近の方々も同様でした。陛下にこの旨をお伝えし注意を促したところ、静観するとのことでした。ええ、殿下だけではなく第二王子第三王子と次期国王の候補はおりますもの。使えなくなったら切り捨てる、それが施政者として当然のことでしょう。しかし、あのお方を切り捨てることのできないわたくしは、何度も何度も申し上げました。
そして、わたくしのご友人たちとご一緒に身分差を弁えるようにとあの女狐にも教えて差し上げましたわ。
そうしたら、あの女狐、なんと言ったと思います?
「学園では、友達をたくさん作るべきです! だって、今しかできないことじゃないですか!」
それは平民の学校で推奨されていることであって、我々貴族の学校では、貴族社会の縮図を学ぶべきとされています。派閥を作ったり、牽制をしたり、もちろん、友人関係も築きますが、親や親族の意向に沿って交友を深めます。派閥を跨いだ友人ももちろんおりますが、どの情報をどこまで渡していいか、わたくしたち子どものミスが親や親族にまで影響を及ぼす可能性があります。慎重にならざるを得ないでしょう。近隣諸国からの留学生もお迎えすることもありますし。
そうこうしているうちに、殿下とあの女狐は紳士と淑女としてあるまじき距離に発展いたしました。共に街に繰り出し、平民たちの言う、でえとなるものをしたり、二人で密会する光景は学園内で頻繁に見られたのです。
でえと先では、自分たちがお店に並んでいると平民たちが逃げてしまうため、さくさくと買い物ができると、あの女狐は自分のメイドに自慢していたようです。
婚約者として、これをたしなめないわけにはいきませんでした。殿下にご忠告しても、側近の方々に進言しても聞き入れられません。ただただ、わかっている、と言われるだけです。
……たしかに、わたくしはきつい顔立ちをしており、あの女狐は女性らしく愛らしい顔立ちをしています。それならば、と、わたくしの派閥の中でもとびきり愛らしいご令嬢を殿下に紹介いたしました。彼女は伯爵令嬢です。側妃として立つのにふさわしい身分ですから。そうご提案したところ、殿下はこうおっしゃいました。
「君は! 何もわかっていない! 顔じゃないんだよ……。君も、もっと広い知見を持つべきだよ!」
僭越ながら、近隣諸国の言語は習得し、様々な文化の存在は認識しております。その上で、我が国の文化を守ることの重要性を意識して、学びを続けております。殿下のご公務を少しでも担うために、皇帝学まで習得済みです。正直なところ、知見はわたくしのほうが殿下よりも広く持っていると、評されることが多いです。しかし、殿下がそうおっしゃるのです。隣国の知人との文通を増やし、知見を広めるために平民の生活も学ぶようにいたしました。
しかし、平民の生活こそ身分社会を重視して、貴族を尊重するように過ごしているように見受けられました。確かに、我が国では身分の高い者の言うことは絶対です。わたくしも身分を使った殿下の指示には逆らえませんし、それこそ命すら捧げることもあります。
ですから、わたくしはあの女狐に身分を使ってしっかりと教えて差し上げたのです。身分差を弁えることの大切さを。
「ひどい! なんでこんなことをするんですか!」
「貴族社会に生きていて、まだ爵位の違いを理解していないのかしら? 残念な頭をお持ちのようね? わたくしの言葉がわかるかしら?」
「あの子に極悪非道な振る舞いをした君を、王妃にはできない。彼女のような人と一生を遂げたいとおもっている。だから、君との婚約破棄し、君にはあの子を虐げた罪で牢に入ってもらうよ」
「……それは、第一王子殿下としての命でしょうか?」
「……そうだ」
「王族のおっしゃることですから、もちろんお受けいたします」
わたくしは、殿下の命をしっかりと承りました。国王陛下夫妻は外交で隣国にいらっしゃいました。国王代理としての権限もお持ちの殿下に逆らうことなど、この身分社会で不可能でしょう?
「……あの子の命を狙う、そこまで酷いことをしておきながら、君は不満そうだね。なぜだ?」
「……僭越ながら、今からの発言は不問としていただけますでしょうか?」
「もちろん、誓おう」
そうおっしゃった殿下に安心し、わたくしは答えました。
「そもそも、身分制度は絶対でございます。爵位の上の者の指示には従わなくてはなりません。今、公爵令嬢のわたくしが、王族でいらっしゃる殿下に従っているように」
「あぁ、そうだね」
「彼女はわたくしに逆らいました。つまり、身分制度に歯向かった彼女こそ、悪でございます」
「それは!」
「ですので、わたくしも不服ながらも殿下の処分を受け入れるしかないのです。……王族とは、身分を持つとはそういうものなのです。殿下」
「……君は変わらないね。衛兵、彼女を牢に連れて行け」
そうしてわたくしは貴族牢に入れられました。公爵令嬢なので、平民からしたら立派な部屋なのでしょう。何を思ったのか、殿下は「彼女が怯えると困るから、処刑しよう」と言い始め、皆が従うしかない状況になっております。そして、明日。わたくしは処刑されることとなるのです。
「やぁ、こんばんは。僕の可愛い従妹よ」
「まぁ! おにいさま!」
そんなわたくしの牢に、訪問客がいらっしゃいました。最後に従兄妹のおにいさまにお会いできて、わたくしは幸せですわ。
「第一王子が暴走したんだって? 叔母上から連絡がきたよ」
「まぁ、お母様から!? 心配させて申し訳ございませんわ」
「いやいや、いいんだよ。かわいい従妹の顔を見たかったし、ね?」
そうウインクなさったおにいさまは、相変わらず浮き名を流しておいでなのかしら?
「君もあの第一王子も、いや、この国の者は誰も知らなかっただろうけどね、君には帝国の皇位継承権があるんだ」
「わたくしに、ですか?」
思わずきょとんとしてしまいます。
「叔母上に頼まれて、父上が書いた書類だよ。ほら、ごらん?」
そう言って差し出された紙を見ると、確かに書いてありました。
「皇位継承権第十位……本当ですわ」
「今回の国王陛下夫妻の訪問で、正式にこの国は我が国の属国となったよ。近隣諸国がきな臭いから、小さいこの国は選択せざるを得なかったよね。……この意味、わかるね?」
「……わたくしは殿下よりも高い身分にある、ということですか?」
「ご明察! と、いうことは、どうなる?」
「わたくしの罪はなくなるのですね」
「ま、そもそも国王夫妻が在国していたら起こりえなかったことだろうし、彼が問えるような罪なんてないけどね」
そう言った従兄弟のおにいさまは牢獄の鍵を開け、わたくしの手を引っ張った。
「感謝するなら、隣国まで走った君の大切な人にね?」
そうウインクしたおにいさまが横に動くと、後ろからわたくしの乳兄弟であるルランが現れました。
「ルラン!」
「お嬢様!」
わたくしたちは手を取り合って喜んだのでした。
わたくしは、第一王子殿下の婚約者でした。王国の筆頭公爵家の唯一の娘で、母は帝国の姫君ですもの。当然ですわよね。
元平民の妾の子である男爵令嬢が、恐れ多くも殿下に声をかけたのは、春の日でした。
婚約者で公爵令嬢たるわたくしでさえ、殿下と二人で面会するには複雑な手続きが必要ですわ。当然です。この国のトップである王族たるお方ですもの。それくらいの警備がなくては、恐ろしいですわ。
男爵令嬢……いえ、この際、あの女狐と呼びましょう。あの女狐は偶然を装って、殿下にぶつかるという不敬を働きました。その場で切り捨てられて当然のことです。しかし、殿下のご慈悲で生かされることとなったのです。それ以降、あの女狐は殿下の周りをうろうろするようになりました。
「あの子は友人なんだ。初めて自分の意思で見つけた友人だ」
そう言う殿下にはがっかりいたしました。王族たる殿下の周りの人間が取捨選択されるのは当然のこと。まだ判断能力が未熟なわたくしたちが独力で陰謀を見抜けるでしょうか? わたくしは、殿下にそのように奏上いたしました。婚約者として誤りを指摘することは当然ですもの。
徐々に、あの女狐と殿下の距離は近づき、それに従ってわたくしを遠ざけるようになりました。なんと愚かな行動でしょう。あのお方の後ろ盾を我が公爵家が担っているからこそ、次期国王と有力視されているのに。そう丁寧に説明いたしましたが、煩わしそうにおっしゃるばかり。側近の方々も同様でした。陛下にこの旨をお伝えし注意を促したところ、静観するとのことでした。ええ、殿下だけではなく第二王子第三王子と次期国王の候補はおりますもの。使えなくなったら切り捨てる、それが施政者として当然のことでしょう。しかし、あのお方を切り捨てることのできないわたくしは、何度も何度も申し上げました。
そして、わたくしのご友人たちとご一緒に身分差を弁えるようにとあの女狐にも教えて差し上げましたわ。
そうしたら、あの女狐、なんと言ったと思います?
「学園では、友達をたくさん作るべきです! だって、今しかできないことじゃないですか!」
それは平民の学校で推奨されていることであって、我々貴族の学校では、貴族社会の縮図を学ぶべきとされています。派閥を作ったり、牽制をしたり、もちろん、友人関係も築きますが、親や親族の意向に沿って交友を深めます。派閥を跨いだ友人ももちろんおりますが、どの情報をどこまで渡していいか、わたくしたち子どものミスが親や親族にまで影響を及ぼす可能性があります。慎重にならざるを得ないでしょう。近隣諸国からの留学生もお迎えすることもありますし。
そうこうしているうちに、殿下とあの女狐は紳士と淑女としてあるまじき距離に発展いたしました。共に街に繰り出し、平民たちの言う、でえとなるものをしたり、二人で密会する光景は学園内で頻繁に見られたのです。
でえと先では、自分たちがお店に並んでいると平民たちが逃げてしまうため、さくさくと買い物ができると、あの女狐は自分のメイドに自慢していたようです。
婚約者として、これをたしなめないわけにはいきませんでした。殿下にご忠告しても、側近の方々に進言しても聞き入れられません。ただただ、わかっている、と言われるだけです。
……たしかに、わたくしはきつい顔立ちをしており、あの女狐は女性らしく愛らしい顔立ちをしています。それならば、と、わたくしの派閥の中でもとびきり愛らしいご令嬢を殿下に紹介いたしました。彼女は伯爵令嬢です。側妃として立つのにふさわしい身分ですから。そうご提案したところ、殿下はこうおっしゃいました。
「君は! 何もわかっていない! 顔じゃないんだよ……。君も、もっと広い知見を持つべきだよ!」
僭越ながら、近隣諸国の言語は習得し、様々な文化の存在は認識しております。その上で、我が国の文化を守ることの重要性を意識して、学びを続けております。殿下のご公務を少しでも担うために、皇帝学まで習得済みです。正直なところ、知見はわたくしのほうが殿下よりも広く持っていると、評されることが多いです。しかし、殿下がそうおっしゃるのです。隣国の知人との文通を増やし、知見を広めるために平民の生活も学ぶようにいたしました。
しかし、平民の生活こそ身分社会を重視して、貴族を尊重するように過ごしているように見受けられました。確かに、我が国では身分の高い者の言うことは絶対です。わたくしも身分を使った殿下の指示には逆らえませんし、それこそ命すら捧げることもあります。
ですから、わたくしはあの女狐に身分を使ってしっかりと教えて差し上げたのです。身分差を弁えることの大切さを。
「ひどい! なんでこんなことをするんですか!」
「貴族社会に生きていて、まだ爵位の違いを理解していないのかしら? 残念な頭をお持ちのようね? わたくしの言葉がわかるかしら?」
「あの子に極悪非道な振る舞いをした君を、王妃にはできない。彼女のような人と一生を遂げたいとおもっている。だから、君との婚約破棄し、君にはあの子を虐げた罪で牢に入ってもらうよ」
「……それは、第一王子殿下としての命でしょうか?」
「……そうだ」
「王族のおっしゃることですから、もちろんお受けいたします」
わたくしは、殿下の命をしっかりと承りました。国王陛下夫妻は外交で隣国にいらっしゃいました。国王代理としての権限もお持ちの殿下に逆らうことなど、この身分社会で不可能でしょう?
「……あの子の命を狙う、そこまで酷いことをしておきながら、君は不満そうだね。なぜだ?」
「……僭越ながら、今からの発言は不問としていただけますでしょうか?」
「もちろん、誓おう」
そうおっしゃった殿下に安心し、わたくしは答えました。
「そもそも、身分制度は絶対でございます。爵位の上の者の指示には従わなくてはなりません。今、公爵令嬢のわたくしが、王族でいらっしゃる殿下に従っているように」
「あぁ、そうだね」
「彼女はわたくしに逆らいました。つまり、身分制度に歯向かった彼女こそ、悪でございます」
「それは!」
「ですので、わたくしも不服ながらも殿下の処分を受け入れるしかないのです。……王族とは、身分を持つとはそういうものなのです。殿下」
「……君は変わらないね。衛兵、彼女を牢に連れて行け」
そうしてわたくしは貴族牢に入れられました。公爵令嬢なので、平民からしたら立派な部屋なのでしょう。何を思ったのか、殿下は「彼女が怯えると困るから、処刑しよう」と言い始め、皆が従うしかない状況になっております。そして、明日。わたくしは処刑されることとなるのです。
「やぁ、こんばんは。僕の可愛い従妹よ」
「まぁ! おにいさま!」
そんなわたくしの牢に、訪問客がいらっしゃいました。最後に従兄妹のおにいさまにお会いできて、わたくしは幸せですわ。
「第一王子が暴走したんだって? 叔母上から連絡がきたよ」
「まぁ、お母様から!? 心配させて申し訳ございませんわ」
「いやいや、いいんだよ。かわいい従妹の顔を見たかったし、ね?」
そうウインクなさったおにいさまは、相変わらず浮き名を流しておいでなのかしら?
「君もあの第一王子も、いや、この国の者は誰も知らなかっただろうけどね、君には帝国の皇位継承権があるんだ」
「わたくしに、ですか?」
思わずきょとんとしてしまいます。
「叔母上に頼まれて、父上が書いた書類だよ。ほら、ごらん?」
そう言って差し出された紙を見ると、確かに書いてありました。
「皇位継承権第十位……本当ですわ」
「今回の国王陛下夫妻の訪問で、正式にこの国は我が国の属国となったよ。近隣諸国がきな臭いから、小さいこの国は選択せざるを得なかったよね。……この意味、わかるね?」
「……わたくしは殿下よりも高い身分にある、ということですか?」
「ご明察! と、いうことは、どうなる?」
「わたくしの罪はなくなるのですね」
「ま、そもそも国王夫妻が在国していたら起こりえなかったことだろうし、彼が問えるような罪なんてないけどね」
そう言った従兄弟のおにいさまは牢獄の鍵を開け、わたくしの手を引っ張った。
「感謝するなら、隣国まで走った君の大切な人にね?」
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