貴方の側にずっと

麻実

文字の大きさ
上 下
2 / 20

梅雨の晴れ間に

しおりを挟む
「デートなんて何年、ううん何十年振りかしら」

土方くんとのデートで着る服を買いたくて、バスと電車を乗り継いで町田に出る。
絹子の住んでいる処は駅もない。
まともな買い物をする時は、大抵、横浜か町田に足を向ける。

デパートで見付けた
ベージュ地にオレンジの花柄のワンピースは小柄で細身の絹子にジャストサイズ。
「お似合いですよ」

店員さんの言葉も満更お世辞に聞こえない。
滅多に友達と会わないので、いつも近くの大型スーパーで、身体に合わない服で済ましている絹子は気分が上がる。
バックも新調して買い物を終えると、遅い昼食を取るために、裏通りの喫茶店に入った。
流行りのコーヒーチェーンは注文の仕方も難しくて苦手である。
ウェイトレスが水を持ってきた。

「カプチーノとサンドイッチお願いします」

ほっとして
座り心地よいソファに深く腰掛けると、自然と三ヶ月程前の出来事が頭に浮かんだ。

しおりを挟む

処理中です...