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オルボワール
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バランの操縦していた飛行機は無事ヒースロー空港に着陸した。
軽傷の怪我人はでたが、大惨事にはならなかった。
「神よ。感謝します」
バランが神に感謝を捧げていると、苦し気な顔つきをしたCAのジュヌビエーヴ・サガンが操縦席に入って来た。
「どうした?」
「日本人の乗客がふたり、亡くなっています」
バランの顔が歪む。
「おお!神よ」
⭐
ヒースロー空港に着いた芳江は、同じ方向に向かう達磨のような後ろ姿の中年男に気が付く。
「一緒に住んで居なくても連絡はいくものね。でも、すぐ来るとは意外だわ」
芳江は早足になり絹子の夫を追い抜いた。
絹子の夫、哲也とは、結婚式以来会っていない。哲也は芳江のことなど覚えていないだろう。
教えられた部屋に行き、芳江は絹子と孝介に対面した。
ふたりが並んで寝かされている枕元には、遺影のような一枚の写真が飾られている。
孝介が、まるで絹子を守るように覆い被さっている。
ふたりは抱き合っているようにも見えた。
「お二人は、怪我ひとつありませんでした。けども、お二人共、着陸後にCAが声を掛けても答えません。亡くなっていました。原因は心不全としか言いようがありません」
航空会社の人の説明をフランス人通訳がたどたどしく日本語で伝える。
気が付くと絹子の夫が食い入るように写真を視ていた。
「いい気味」
芳江は小さく呟く。
「絹子、この写真で貴女が心から愛されていたことがよくわかるよ。心おきなく天に召されなさい。孝介さんと何時までも幸せに」
もう、芳江の目に涙はなかった。
軽傷の怪我人はでたが、大惨事にはならなかった。
「神よ。感謝します」
バランが神に感謝を捧げていると、苦し気な顔つきをしたCAのジュヌビエーヴ・サガンが操縦席に入って来た。
「どうした?」
「日本人の乗客がふたり、亡くなっています」
バランの顔が歪む。
「おお!神よ」
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ヒースロー空港に着いた芳江は、同じ方向に向かう達磨のような後ろ姿の中年男に気が付く。
「一緒に住んで居なくても連絡はいくものね。でも、すぐ来るとは意外だわ」
芳江は早足になり絹子の夫を追い抜いた。
絹子の夫、哲也とは、結婚式以来会っていない。哲也は芳江のことなど覚えていないだろう。
教えられた部屋に行き、芳江は絹子と孝介に対面した。
ふたりが並んで寝かされている枕元には、遺影のような一枚の写真が飾られている。
孝介が、まるで絹子を守るように覆い被さっている。
ふたりは抱き合っているようにも見えた。
「お二人は、怪我ひとつありませんでした。けども、お二人共、着陸後にCAが声を掛けても答えません。亡くなっていました。原因は心不全としか言いようがありません」
航空会社の人の説明をフランス人通訳がたどたどしく日本語で伝える。
気が付くと絹子の夫が食い入るように写真を視ていた。
「いい気味」
芳江は小さく呟く。
「絹子、この写真で貴女が心から愛されていたことがよくわかるよ。心おきなく天に召されなさい。孝介さんと何時までも幸せに」
もう、芳江の目に涙はなかった。
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