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初カレとサレ彼女

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 元カレは一緒にファミレスでご飯を食べて、私の口元のケチャップを拭ってから頭を撫でてきた。
「大切にしたいんだよなぁ、うらのことは」

 そう言った翌日に、こちらに背を向けて私の友達に腰を打ち付けているとは思わない。
 チャイムを押さなかった私が悪い?行くって連絡をしなかった私が悪いのかな。

 ベッド上の彼の後ろ姿を見る。

 筋肉のついた肩甲骨から臀部までのラインは眩しいほどで、隙だらけの状況が悲しい。私が来るなんてこれっぽちも想像してないはずだ。

「かける先輩?」
 名前を呼んだら、彼はとっても間抜けな声をあげて、振り返る。

「えっ?うら!?」
 彼の何も身につけていない後ろ姿を見たことはなかった。彼の影から顔を出した裸の女の子を見たら、知らない男女がアダルトなコンテンツとしてそこに存在しているように思えた。

「ごめん、帰るね」
 言って逃げ出したけれど、彼が追ってくるわけがない。裸だったし、多分「途中」だったから。

「ごめんね、誘われちゃって。でも遊びだし」
 その後、学校で会った友達は可愛い笑顔で軽やかに言った。彼は私と付き合っているんだけど、そもそも知っていたよね?と思っていても言えなかった。
 彼もまた、何食わぬ顔で放課後に学校まで迎えに来る。


「今日うらの初めてをもらってもいい?」
 一人暮らしの部屋でにこやかに言って来たので、私は全身で拒絶する。前の日に肌のぶつかる音と軋み音を立てていたベッドが目に入り、背を向けて走り抜けた。


 モテ男の来る者拒まず、去るもの追わずの姿勢は見事だ。その後彼からは連絡が来ず、追われることもなく自然消滅した。
 知ってたよ。モテ男はモテ女と付き合うべきだし、ビジュアルやもろもろのスペックの釣り合いは大切だって。
 だとするならさ。

「最初から、釣り合わないって言っといてよ~っ!好きとか言わないでよ!」

 ダイニングで頭を抱えていたら、
「うら、最後だから鍵かけといて」
 姉が去り際にそう放り込んでくる。私はいつの間にかダイニングにぽつねんと残されていた。

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