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エピローグ
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しおりを挟む内定をもらって、オレは現在の家からほど近い支社での勤務が決まった。
トマトが飛び回り、オレは目を覚ます。時計を見れば9時台だ。休日なのでのんびりと過ごしていたら、トマトの放鳥の時間になっていた。ベッドサイドを見れば、トマトとそして兄貴に似た人形の粘土細工を飾られている。
藤堂さんはどこかに出かけているようだった。
旅立ちのフラグを立てていたはずが、オレはこうして藤堂さんと暮らしている。インターン先でアプローチを受けたことを告げたり、同級生から卒業に際して告白されたりと近況を藤堂さんに逐一報告していたら、
「志望先から内定をもらったら一緒に暮らそう」
と言われた。
「別に、浮気しないけどな。全部断ってるし」
と言ったら、
「そうじゃなくて、毎日黎の匂い嗅いで眠りたいから」
と異様な返しが来て驚いた。
藤堂さんは、自分で蓋をしているだけで割と貪欲だ。出来るだけそばにいたいし、本来はべたべたするのが好きなのだ、と最近分かった。
でも、自分自身は着替えやシャワーが必須というところは面白い。
オレは兄貴の形をした粘土細工を指で触ってみる。
「見守ってて、兄ちゃん」
と言ったら、ちょうど玄関のドアが開く音がした。
オレは藤堂さんを出迎えるために、ベッドから立ちあがる。
おしまい
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