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死の痕跡
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ベアラル様の近衛兵から、温室で王子の遺体を見つけたときのことを再び聞き取りする。
やはり記憶がはっきりしないということを口にするのだ。
ただ、今回はもう少し具体的にポイントを絞って聞いてみることにした。
「ベアラル様以外に、誰かいらっしゃった気配はなかった?」
そう尋ねると、面会室で向かい合わせに座っていた同僚の兵は、首をかしげる。
質問の意図が分からなかったのかもしれない。
そう思ってもう一度言いなおそうとしたら、
「香りがした」
と言ってくる。
「どんな香り?香水みたいなもの?」
尋ねれば同僚は首を横に振った。
「香水というよりも、スパイス、香辛料のような感じがした。ピリッと鼻の奥をつくような香りだった」
スパイス?ピリッと鼻に刺さるような香りは、以前どこかで嗅いだことがあった。
どこだっただろう?
記憶を紐解こうとすると、なぜかウィリエール様のお顔が浮かんだ。
他に思い出せることはない、と言うので、その日は面会室を後にした。
やはり記憶がはっきりしないということを口にするのだ。
ただ、今回はもう少し具体的にポイントを絞って聞いてみることにした。
「ベアラル様以外に、誰かいらっしゃった気配はなかった?」
そう尋ねると、面会室で向かい合わせに座っていた同僚の兵は、首をかしげる。
質問の意図が分からなかったのかもしれない。
そう思ってもう一度言いなおそうとしたら、
「香りがした」
と言ってくる。
「どんな香り?香水みたいなもの?」
尋ねれば同僚は首を横に振った。
「香水というよりも、スパイス、香辛料のような感じがした。ピリッと鼻の奥をつくような香りだった」
スパイス?ピリッと鼻に刺さるような香りは、以前どこかで嗅いだことがあった。
どこだっただろう?
記憶を紐解こうとすると、なぜかウィリエール様のお顔が浮かんだ。
他に思い出せることはない、と言うので、その日は面会室を後にした。
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