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死の痕跡
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次はラルズス様の近辺を探ってみる。
王子が好んで出かけていた図書館に向かえば、司書が沈痛な面持ちで話しかけてきた。
ラルズス様が通っていらっしゃらなくなったことが、ひたすらに悲しいのだと言う。ラルズス様がよく座っていたという読書机を聞き、調べてみる。
机の脚の部分に赤黒い痕が転々と残っているのを見つけた。血の塊?爪の先でこそいでみて、懐のビンの中に収める。
血液の持ち主を調べる方法はあるのだろうか?
思いついたのは、ウィリエール様だ。ビンの中に残った血の塊をウィリエール様の元へ持っていく。
君主にお願いすることではないと思う。けれど、他に方法を思いつかない私は、ウィリエール様にお願いするしかない。
「ウィリエール様、この血液の塊の持ち主が知りたいのですが」
「僕が食べればすぐに分かるよ」
朗らかに言って鉄格子を消して、ビンを手にした。ビンを逆さにして口を大きく開けて、血の塊をごくりと飲み込んでしまう。
「ラルズスお兄様だね。辛みと苦味がある」
想像通りの回答が来て、一安心する。図書館に血痕が残っていたとなれば、ラルズス様は怪我をしていたのか。あるいは、亡くなったのは図書館だったのかもしれない、と推測できる。
「図書館で血痕が見つかったのです。ラルズス様はそこで怪我をされたのかもしれません」
「なるほどね。使い魔の契約にも血液が必要なんだよ。魔力を持たない普通の人は、血液を魔力の代わりに差し出すんだ。だから、ラルズスお兄様は使い魔に関係しているかもしれないね」
「ラルズス様が使い魔と契約なさったのでしょうか?そして、ランドルフ様やリドムンド様を狙っていた?ラルズス様の雰囲気からは考えにくいですが」
「犠牲になったっていう可能性もあるよ」
犠牲に。
つまり生贄として捧げられた可能性だ。
王子が好んで出かけていた図書館に向かえば、司書が沈痛な面持ちで話しかけてきた。
ラルズス様が通っていらっしゃらなくなったことが、ひたすらに悲しいのだと言う。ラルズス様がよく座っていたという読書机を聞き、調べてみる。
机の脚の部分に赤黒い痕が転々と残っているのを見つけた。血の塊?爪の先でこそいでみて、懐のビンの中に収める。
血液の持ち主を調べる方法はあるのだろうか?
思いついたのは、ウィリエール様だ。ビンの中に残った血の塊をウィリエール様の元へ持っていく。
君主にお願いすることではないと思う。けれど、他に方法を思いつかない私は、ウィリエール様にお願いするしかない。
「ウィリエール様、この血液の塊の持ち主が知りたいのですが」
「僕が食べればすぐに分かるよ」
朗らかに言って鉄格子を消して、ビンを手にした。ビンを逆さにして口を大きく開けて、血の塊をごくりと飲み込んでしまう。
「ラルズスお兄様だね。辛みと苦味がある」
想像通りの回答が来て、一安心する。図書館に血痕が残っていたとなれば、ラルズス様は怪我をしていたのか。あるいは、亡くなったのは図書館だったのかもしれない、と推測できる。
「図書館で血痕が見つかったのです。ラルズス様はそこで怪我をされたのかもしれません」
「なるほどね。使い魔の契約にも血液が必要なんだよ。魔力を持たない普通の人は、血液を魔力の代わりに差し出すんだ。だから、ラルズスお兄様は使い魔に関係しているかもしれないね」
「ラルズス様が使い魔と契約なさったのでしょうか?そして、ランドルフ様やリドムンド様を狙っていた?ラルズス様の雰囲気からは考えにくいですが」
「犠牲になったっていう可能性もあるよ」
犠牲に。
つまり生贄として捧げられた可能性だ。
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