ワンナイトだって言ったのに!

KUMANOMORI(くまのもり)

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神出鬼没

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「毎週熱心だよな」
 と隣から声がかかり、振り向く。綾川凌、だ。

「お疲れ様です」
 彼の会社もスポンサー企業になっていたのは知っている。ユニフォームは来ていなかったけれど、チームカラーのTシャツを来ていた。

「ホームは毎週のように来てるんだろ?」
「探りいれたんですか?」
 と聞いたら首を横に振る。

「前から、ここでよく見かけたからだよ」
 と言い、隣に座った。じっと見つめていたら、
「ちゃんと自分でチケット買って入ってるよ」
 と綾川凌は、言い訳がましく言って来た。

「昨日何人か送り込みました。綾川さん、モテますね。どうでしたか?」
「昨日はあそこには、行ってない」
 と言って、カップに山盛りのポテトを差し出してくる。

 見つめていたら、
「食ったから言うこと聞け、なんて言わないよ」
 と言うのだ。二三本もらって口にいれた。

「飲みます?」
 とビールを差し出したら、
「お前、回し飲みできるんだ?」
 と言われる。

「いやなら、いいですよ」
 と言ったら、彼はカップを受けとり一口飲み、喉を鳴らした。

 奪ったボールからのビルドアップがうまくいき、サイドに振ったボールに食いついて、シュートまでいく。相手キーパーに弾かれて、あーっと声が出た。

 隣に綾川凌がいたことを思い出して、彼の方を見る。

「どーぞ、気にせず」
 と言われた。
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