ワンナイトだって言ったのに!

KUMANOMORI(くまのもり)

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暇つぶし

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「雨が止むまで、しましょ」
 と言ったら、綾川は目を丸くした。

「暇だし、雨だし。やりませんでした?学生の頃、耐久」
「スポーツ一筋で、そんなただれた学生生活送ってねぇよ」

「すみませんね、ただれてて」
「やろうよ、最高回数塗り替える」
 と言って抱き寄せられた。

「無理だと思いますよ、凄い早い人がちらほらいたから。早ければ回数稼げるので、更新は難しいと思います」
 と指折り数える。

「数えるなよ」
 とツッコミを受けた。

「綾川さんは、こっちの反応を気にしてくれるから。早くないですよね?」
 と言ったら、綾川凌は少し恥ずかしそうに唇をゆがめた。

「いや、言うなよ、そういうの」
「フィニッシュの時間をずらしてくれるサービス精神は、いいと思います。いいかんじですよ、綾川さんは」

「遊んで来たんだ?」
 綾川が少し落胆したような口調になるので、はぁ、と私はため息がもれた。最初に言ったのに、ワンナイトなんですって、ビッチなんですって言ったのに。いつもこういう流れになる。

「それ聞いてどうするんです?前に、性欲処理なんだろっていってましたよね?」
「台本共有してるかもな。俺ならそうならないって」

「いいから、しましょ。今この日、この時間が幸せならいいじゃないですか」
 私は綾川の首に顔を寄せて、キスをした。


 好きで好きでたまらなかった人と、付き合ったとたんにうまくいかなくなる理由は、大体は身体の相性と会える頻度だ。
 好きならば、そんなのは決定的なことじゃない、と言い聞かせても、結果として別れて来ている。こっちがしたいのに、相手がしたくないのは辛い。逆もしかりだ。

 だから、もう、好きだとか付き合うだとか面倒なことは考えずに、出来るときに、機会が出来た相手とすればいいと思っている。

 きっと共感はされないけれど。少なくとも綾川はきっと共感しないだろうけれど。ビッチでいたいのだ。
 勝手にさせて欲しい。
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