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重くしないでください
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「最近のワンナイトは?」
「綾川さん」
「それより前」
「今月はアプリであった32歳会社員、フリーのカメラマン36歳、その前はフリーター25歳、道案内したフランス国籍の20歳エンジニアですね。もっと知りたければ、スケジュール見ましょうか?ちゃんと書いとかないと、もしもの時誰の子か不明になるので」
と言ったら、綾川は眉根を寄せる。自分で聞いたくせにぃーと言いたくなった。言わないけど。
「誰の子って、お前」
「避妊はしてます。そもそも生理痛対策でピル飲んでるんで、バッチリ。ゴムは時々忘れちゃうので、クリニックの先生に勧められて毎月検査してます。もうお得意様です」
と言ったら、口元を歪め、ジトっと睨みつけられた。
「露骨すぎるんだよ、お前は」
「幻想抱きすぎじゃないですか?」
「かなり嫉妬してる。自分自身に驚いた」
「気の迷いですよ、嫉妬はするだけ無駄です。やめましょ、重くするの」
私は綾川の薄い唇をなぞってみる。不機嫌に眉根を寄せるけれど、キスをしようとしたら受けられた。
「ワンナイトなんて、したことないし」
「だから、やなんですよー。正統派の人は。世界線は交わり得ないんです」
「そういうフレンドになるつもりはない」
「こっちも、リピーターさんはいらないんですよ」
「ワンナイトから本命になる可能性は?」
「占い師にでも聞いてください」
軽口を叩きあいながら、何度か身体を重ねた。
悪くない。
しつこくないし、身勝手でもない。ちゃんとフィードバックをもらって、丁寧な付き合いをしてきたんだろうな、と想像する。
ただ、付き合いたくはない。私が浮気する恐怖、それを詰られる恐怖、束縛される恐怖を思うと、まともな相手ほど怖いのだ。
その世界線は混ぜたら危険だ!
「綾川さん」
「それより前」
「今月はアプリであった32歳会社員、フリーのカメラマン36歳、その前はフリーター25歳、道案内したフランス国籍の20歳エンジニアですね。もっと知りたければ、スケジュール見ましょうか?ちゃんと書いとかないと、もしもの時誰の子か不明になるので」
と言ったら、綾川は眉根を寄せる。自分で聞いたくせにぃーと言いたくなった。言わないけど。
「誰の子って、お前」
「避妊はしてます。そもそも生理痛対策でピル飲んでるんで、バッチリ。ゴムは時々忘れちゃうので、クリニックの先生に勧められて毎月検査してます。もうお得意様です」
と言ったら、口元を歪め、ジトっと睨みつけられた。
「露骨すぎるんだよ、お前は」
「幻想抱きすぎじゃないですか?」
「かなり嫉妬してる。自分自身に驚いた」
「気の迷いですよ、嫉妬はするだけ無駄です。やめましょ、重くするの」
私は綾川の薄い唇をなぞってみる。不機嫌に眉根を寄せるけれど、キスをしようとしたら受けられた。
「ワンナイトなんて、したことないし」
「だから、やなんですよー。正統派の人は。世界線は交わり得ないんです」
「そういうフレンドになるつもりはない」
「こっちも、リピーターさんはいらないんですよ」
「ワンナイトから本命になる可能性は?」
「占い師にでも聞いてください」
軽口を叩きあいながら、何度か身体を重ねた。
悪くない。
しつこくないし、身勝手でもない。ちゃんとフィードバックをもらって、丁寧な付き合いをしてきたんだろうな、と想像する。
ただ、付き合いたくはない。私が浮気する恐怖、それを詰られる恐怖、束縛される恐怖を思うと、まともな相手ほど怖いのだ。
その世界線は混ぜたら危険だ!
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