ワンナイトだって言ったのに!

KUMANOMORI(くまのもり)

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考え方の相違

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 帰り道に、横並びに歩きながら、
「本当に付き合ってくれない?」と言われて、
「いやです」
 と私は返す。

 綾川凌は顔をしかめた。

「姉たちみんな、かなり気に入っていた。こんなことは、まずない。いつもなら、根掘り葉掘り攻撃に負けて、すごすご帰るから」

「本命の彼女連れて行ったことってあります?」
 とさっき気になっていたことを聞いてみた。

「ある。重いって言われて別れてる」
 と綾川凌は言うのだった。

「ここまで戦えたのは、お前くらいだし。付き合って欲しい」

「逆です。戦ってないから、いいかんじだったんですよ」

 お姉様方に気に入られようとするから、根掘り葉掘り攻撃に負けるのだ、と思う。
 というより、負けたと思って、綾川のことが勝手に重く感じられるのだ。
 私は楽しく話が出来ればいい、気に入られようがどっちでもいいと思うから、負けも勝ちもない。

「ライトな関係だって言ってたじゃないですか」
「ライトが軽いのライトだとは言ってない。明るい、かもしれない。日の当たる関係」

「うわーダメです」
「どこがダメなんだよ。ダメなところ直すから」

「そういうところ、です!」
 と私は綾川の鼻っ柱に、人差し指を軽く当てる。綾川は目を丸くして、こちらを見る。

「は?」

「いいんです、ダメなままで。直そうとするメンタリティがもう、ダメ。そのままでいいんですよ。やめましょうよ、真面目で向上心のあるイケメンほど私に遠いものはないんですよ」

「なんで、真面目が悪いんだよ」
「ビッチでいさせてください。恋人になったらただの彼女、結婚したらただの妻。きっと、退屈して優しくなくなります」

「いや、逆じゃないか?ビッチに優しさなんか持てない。俺は逆に自分の彼女ってだけで、大切にしたいって思うけどな」

 綾川が強引に手をつないでくるので、私はぶんぶんと振る。けれど、さらに強引に指を絡めてきた。
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