セフレですがなにか?

KUMANOMORI(くまのもり)

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ねじくれて

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 姉の家を出て家に帰れば、待ち構えていたかのように矢弦から連絡が来た。
「今から行ってもいい?」
 いつもよりも遅い時間だったし、女性と連れ立っていたのを見ていたこともあって、気乗りしない。

 返事をしないでいたら、
「帰るの遅いじゃん、デートだった?」
 と言ってくる。姉の家に行って姪っ子と遊んでた。それだけの隠し立てすることもないことなのに、矢弦が女性と連れ立っていたのを見ていたから、妙な意地が出てくる。

「だったら、なに?」
 喧嘩腰で返してみてから、後悔した。矢弦は私に取り入る必要もないはずだ。相手にされなくて、結局いじけるのは私自身のはずだ。
「やける」
 そう返って来て、目を疑う。
 そんなリップサービス出来るようになったんだ。

「矢弦こそ」
 デートじゃないの、と続けて打とうとしたら、インターフォンが鳴る。ドアスコープを覗くまでもない。
「おかえり」
 と言って中に入って来る。

「た、ただいま」
 とつられて返事をしたら、
「毎日会えんの、嬉しい」
 と言ってきた。ほろほろと解けそうな弱い部分に、直撃するのだ。
「ご飯はもう食べてきたでしょ?」
「え?食ってない」
「え」
「営業先行ってて、さっき帰って来たとこ」
「そ、そうなんだ」
 帰りに見かけたのは、仕事関係の人だったのかな、と思ってホッとする自分に驚く。
 ホッとしてどうするんだろ?

 結局、矢弦は代わり映えしないけど、これ、と言って昨夜に続きチャーシューを持ってきていた。私は姉から持たせてもらった肉団子と卵焼きをおすそ分けする。
「これ誰かの手作り?」
 と聞かれて、姉のところに行ったと白状した。

「なんだ、デートじゃないんだ」
 と言われたけれど、斉木ってお姉さんいたんだな、と言う口調は妙に浮かれている。
「お姉ちゃんは高校の頃はもうこっち出てきてたし。矢弦とは接点なかったかもね」
「なんか、斉木のこと知れるの嬉しい」

 素直すぎる言葉に、私は淀みや後ろ暗い部分をわざと見つけてしまいそうになる。
 ご飯を食べて何気ない話をしていた。それだけなのに、何だか安心するし、人間としてまともな生活をしてる感覚になる。

 食べ終わって、飲み終わるとそわそわっと仄かな期待が湧いてくるのだ。
 高校時代は矢弦と一緒にご飯を食べたことは、そんなにない。同性の友達とそれぞれご飯を食べてから、休み時間になると自然と一緒にいる。

 はまっている動画の話とか、漫画とかアプリゲームとか、どうでもいい話をするだけ。でも、毎日矢弦と話をすることをモチベーションに、学校に通っていた。
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