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第2章 魔塔編
【26】到着
しおりを挟む長い時間馬車に揺られて、半日ほどかけて着いたのは、広い平野にポツンと聳え立つ先が尖った塔___魔塔だった。これと同じ作りのものが各国に一つずつあるらしい。
この中では日々優秀な魔法師によって魔法研究が行われており、人々の生活を支える魔法や革新的な技術が生み出されている。
「では、我々はここで。お体にはお気をつけください。」
「ああ、ご苦労。」
馬車を降りここまで連れてきてくれた御者に別れを告げ、魔塔へ続く一本道を歩く。そして入り口付近まで行って、足を止める。
魔塔の門の前には皇宮と違い、騎士ではなくマントを纏った魔法師の男が二人、門番のように立ち塞がっていた。
二人は俺の顔を見るなり驚愕し、少し警戒される。
この目のせいだろうか。どうでもいいが。
「お名前は。」
「ゼルビュート・イーゼル。手紙はこれだ。」
「確認いたします。」
門番をする魔法師に、家に届いた招集の手紙を渡す。
その中身を確認すると、門番は焦ったように懐から魔道具を出した。あれは確か離れたところに音を届ける通信具と呼ばれる魔道具だろう。便利なものではあるが、決められた範囲内でしか声が届かないうえに操作も難しいため、魔法師の多い魔塔などでしか使われていないと聞く。
範囲の制限さえなかったらアステルといつでも話せるようになるのに、未だこの分野では目覚ましい技術革新が起こっていないことを残念に思う。
...ユノ先生なら、近いうちに完成させてくれそうだが。
魔法師は装飾のついた小物入れのようなそれに口を近づけ話しかけた。
「ゼルビュート公爵家のイーゼル様がいらっしゃいました。すぐに案内人を寄越してください。」
『はいはい。あー、じゃあシェラルクを向かわせ...あ、もう行っちゃった。』
「お願いします。」
魔道具を懐にしまった魔法師から手紙が返される。
「もうすぐ案内人が来るので、お待ちください。」
「ああ。」
魔法師の着るマントの胸元にあるバッチは階級を表していると聞いたが、それによると目の前のこの男は3級だと分かる。
魔法師の階級は全部で5階級あり、5、4級は普通の魔法師。3級以上が魔塔に所属でき、2級は国に50人ほど居て、1級ともなると片手で数えるほどだ。ちなみに公爵家で魔法学を教えてくれていたユノ先生は2級らしい。父上は3級だと言っていたが、実践経験が多く階級上げに興味のない人だから実力は底知れない。それはユノ先生にも言えることだった。
そして、1級の更に上の特別階級である“超越者”は魔塔主とその補佐官のみが有している。
つまり、国に2人。
おそらくこの魔塔のどかに居るのだろうが、そんな殿上人にこの2ヶ月でお目にかかる機会があるのかは謎だ。
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