【完結】私は彼女になりたい

青井 海

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第13話 どうだった?

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「ところで、桃井家はどうだった? 両親は?私がいつもと違うことに気づいてくれた?」

そうだ、そうだよね。
両親のことが気にかかるよね。
力なく首を振る私。
「あっ、でもお母さんと呼んで、怪しまれたかな。」

「そう?でも呼び方が違うと気づいただけでしょ?やっぱりね。」
彼女は悲しそうな顔をした。

「丹後家は変わりない?」

「弟くんが怪しんでる。私、家事をしたことないから。できないことばかり。」

「そう。桃井家にはお手伝いさんがいるもんね。びっくりした。雛子ちゃんはすごいお嬢様なんだもん。しかも婚約者がいるなんて…」

「伊集院さんに会ったんだ。彼、顔はいいのに、中身が酷いでしょ。」

自虐的な笑いを見せる彼女。

「ホント酷い親だよね。全部わかった上で、彼を私の婚約者にするなんて。私はモノじゃない。私にも感情があるのに。」

「雛子ちゃんは抵抗しなかったの?」

「尊さん、私にとっては優しいお兄ちゃんだったの。婚約してから、彼は変わってしまって…ババが私の話を聞いてくれると思う?あの家での私は、両親の言いなり。まるで意思を持たない人形よ。私はずっとアヤメさんが羨ましかった。いつも凛として、しっかりと自分を持っていて。」

「私だって、雛子ちゃんが羨ましかった。雛子ちゃんになりたいと考えたこともあったんだから。」

「どう? 実際 雛子になってみて。地獄でしょ?今は元に戻りたくて仕方がないんじゃかい?」
彼女は寂しそうに笑う。

「私は人に囲まれて、チヤホヤされて、でもそれは私の望む姿じゃない。みんな私が何か主張すると、それを否定する。私は、私は自分の意思を主張してはいけないの?ずっとアヤメさんになりたかった。そして今は私がアヤメだわ。」

彼女は感情が込み上げてきたかのように、鼻をすすり、無言で涙を流す。

自分の顔が泣いている。
それは何とも言えない気持ちで。
自分の顔に、雛子ちゃんの泣き顔が被る。

「甘えて自分勝手なことばかり言わないで。私にだって、私にも夢があるんだから。私は幼い頃からずっとずっと努力してきたの。私を、私の体を、返してよ。どうしても試験前には元に戻りたいの。明くんに手出しするのもやめて!」

「アヤメさんにも夢が?私の夢はとっくに破れたわ。ううん、今の姿なら叶うかも。」

「えっ、どういうこと?」

「私はモデルになりたかった。今は小さいほうだけど、小学生までは周りの子たちより背が高かったのよ。私ならモデルになれると信じてた。私だって幼いながらに努力したわ。怪我しないように、日焼けしないように、いろいろなことを我慢した。それなのに…中学生になると背の伸びが緩やかに。どんどん抜かれていったわ。身長は自分ではどうしようもないの。それに、たとえ容姿に恵まれたとしても、雛子ではモデルになれないでしょうね。雛子は高校卒業と同時に結婚するらしいもの。」












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