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第20話 新たな人生
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盆休みに入り、父方、母方、それぞれの実家へ向かう。
父の実家の仏壇に置かれたご先祖様の写真。
その中に、あの老婆の姿が。
えっ、なぜ?
『青芝見神社』で、私を止めた老婆。
老婆は私のご先祖様ということ?
父に確認すると、老婆は私にとって曾祖母にあたるトキエさんだと教えてくれた。
彼女が私を守ってくれたのだ。
仏壇に手を合わせる。
トキエさんのおかげで、私たちは無事に元の姿に戻れた。
ただ、あの悪いモノと闘った時についた手のひらのキズ バツ印は、今でも残っている。
同じように、雛子の手のひらにも。
私は『雛子になりたい』と神社で願ってはいない。
だが、トキエさんが止めてくれなければ…
『雛子のようになりたい』ならばよかったのかな…そして自分で目指すのならば。
手のひらのバツ印は、そんな自分への戒めのようだ。
あの日々を決して忘れないように。
自分で自分の人生を切り開いていく。
*
盆休み後半
自宅へ戻った私。
今日は明くんとのデートである。
毎日一緒に帰るだけの互いの異性避けのような付き合いは、雛子と入れ替わった後、急激に変化した。
神社で倒れたところを明くんに助けてもらって以来、彼は私のことが心配で仕方がないらしい。
いつもの帰り道。
公園へ誘われ、二人でベンチに座ると、
「僕もそろそろ次のステップに進みたい。」と言われた。
僕も?僕もってどういうこと?
私はそんなこと言っていない。
まさか雛子が…
そう思い当たった時には、明くんの顔が近づき、唇にフニャッと温かく柔らかい感触。
明くんの睫毛長いな~。
キレイな顔だな~。
観察していると、
「アヤメ、目をつぶってくれない?」と優しく、それでいて恥ずかしそうにお願いされた。
そうでした。
目をつぶるべきでしたね。
私が目をつぶると、何度か唇が降りてきた。
ぴたりとおでこを寄せ合い、笑い合う。
二人とも何だか恥ずかしいのだ。
照れてしまうのだ。
明くんとは、何事もなく、彼の卒業を機に別れるのだと思っていたのに。
彼と遊園地でデートなんてね。
明くんと二人で遊具をまわっていると、
「アヤメ~」
雛子が如月先輩の腕を引っ張りやってくる。
「如月先輩、こんにちは。」
「アヤメちゃん、こんにちは。明も。」
「おうっ」
雛子と私が入れ替わった時に、私が鬱陶しかった取り巻きを蹴散らした。
そして騒動の後、雛子は如月先輩へアピールを開始したのである。
後で聞いた話だが、如月先輩は小動物系のかわいらしい女の子が好みらしい。
取り巻きもいなくなり、自分だけを見て、一生懸命アピールしてくる雛子に、少なからず好印象を持ち始めたようだ。
付き合ってはいないらしい。
それでも今日は彼女の誘いにのったようだ。
明くんと二人でデートだったのに。
さては雛子、謀ったな。
如月先輩をダブルデートと連れ出したんじゃない?
ニコニコと嬉しそうな雛子を見ていると、まぁいいか。
遊園地なら二人きりになる場面もあるだろうし、賑やかなのもいいかな。
父の実家の仏壇に置かれたご先祖様の写真。
その中に、あの老婆の姿が。
えっ、なぜ?
『青芝見神社』で、私を止めた老婆。
老婆は私のご先祖様ということ?
父に確認すると、老婆は私にとって曾祖母にあたるトキエさんだと教えてくれた。
彼女が私を守ってくれたのだ。
仏壇に手を合わせる。
トキエさんのおかげで、私たちは無事に元の姿に戻れた。
ただ、あの悪いモノと闘った時についた手のひらのキズ バツ印は、今でも残っている。
同じように、雛子の手のひらにも。
私は『雛子になりたい』と神社で願ってはいない。
だが、トキエさんが止めてくれなければ…
『雛子のようになりたい』ならばよかったのかな…そして自分で目指すのならば。
手のひらのバツ印は、そんな自分への戒めのようだ。
あの日々を決して忘れないように。
自分で自分の人生を切り開いていく。
*
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自宅へ戻った私。
今日は明くんとのデートである。
毎日一緒に帰るだけの互いの異性避けのような付き合いは、雛子と入れ替わった後、急激に変化した。
神社で倒れたところを明くんに助けてもらって以来、彼は私のことが心配で仕方がないらしい。
いつもの帰り道。
公園へ誘われ、二人でベンチに座ると、
「僕もそろそろ次のステップに進みたい。」と言われた。
僕も?僕もってどういうこと?
私はそんなこと言っていない。
まさか雛子が…
そう思い当たった時には、明くんの顔が近づき、唇にフニャッと温かく柔らかい感触。
明くんの睫毛長いな~。
キレイな顔だな~。
観察していると、
「アヤメ、目をつぶってくれない?」と優しく、それでいて恥ずかしそうにお願いされた。
そうでした。
目をつぶるべきでしたね。
私が目をつぶると、何度か唇が降りてきた。
ぴたりとおでこを寄せ合い、笑い合う。
二人とも何だか恥ずかしいのだ。
照れてしまうのだ。
明くんとは、何事もなく、彼の卒業を機に別れるのだと思っていたのに。
彼と遊園地でデートなんてね。
明くんと二人で遊具をまわっていると、
「アヤメ~」
雛子が如月先輩の腕を引っ張りやってくる。
「如月先輩、こんにちは。」
「アヤメちゃん、こんにちは。明も。」
「おうっ」
雛子と私が入れ替わった時に、私が鬱陶しかった取り巻きを蹴散らした。
そして騒動の後、雛子は如月先輩へアピールを開始したのである。
後で聞いた話だが、如月先輩は小動物系のかわいらしい女の子が好みらしい。
取り巻きもいなくなり、自分だけを見て、一生懸命アピールしてくる雛子に、少なからず好印象を持ち始めたようだ。
付き合ってはいないらしい。
それでも今日は彼女の誘いにのったようだ。
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さては雛子、謀ったな。
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