【完結】運命の人に出逢うまで

青井 海

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第6話 テニス

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熊さんこと熊田 圭吾さん(くまだ けいご)が連れてきてくれたサークルは、レベルが高かった。

コートからは、パァン、パシーンとテニスボールを打ち合う音が、小気味良く響く。
上手い人の打ち合う姿。
もう最高です!
熊さん、誘ってくれてありがとう。

このサークルの年齢層は、30代~40代。
ぱっと見た感じ、私が一番年下かな。
テニスの腕前も一番下手だ。

熊さんに打ってもらい、体が温まったところで、試合形式の練習へ参加。
手のひらを裏か表に出す『裏か表』でペアを決める中、熊さんが「雅ちゃんは俺と組むから。」と宣言。
私は下手だし、慣れないところだからかな。

みなさん上手くて、私では歯が立たない。
熊さんのフォローで、少しだけ点を取れた。残念ながらボロ負けである。
下手な私が入って、申し訳ない気持ちになりながらも、楽しかった。

練習が終わり、コートを片付けていると、
「昼ご飯、食べに行くぞ~。」と声があがる。
「雅ちゃんも一緒にどう?」と初めて練習に参加した私にも声をかけてくれる。

飲み会に繋がる縁ができるかも?
参加を伝えようと口を開いたところで、熊さんから待ったがかかる。
「すみません。用事があるので、雅ちゃんは俺が送って行きます。」

熊さん、私は初対面の人たちと一緒でも平気だよ。
確かに緊張するけど、テニスした仲だし、平気だよ。
家まで遠いし、お腹すいた。
食べて帰りたかったな。

ヨロヨロと駅へ歩いていると、熊さんが追いかけてきた。
「雅ちゃん、送ると言ったのに…」少し不機嫌な熊さん。
「お腹すいたね。ご飯食べて帰ろう。」と、熊さんに促され、駅と反対側の喫茶店へ入る。

「用事があるんですよね?時間は大丈夫ですか?」と私が確認すると、
「大丈夫。雅ちゃんに話したいことがあったんだ。とりあえず何か頼もう。」とメニュー表をペラペラめくる熊さん。

う~ん、嫌な予感。
まさか、まさかないよね?
熊さんは、ハンバーグ定食。
私は、チキン南蛮定食を選択。
鶏肉料理にハズレはないよね。
お腹すいた。早く食べたい。

定食がテーブルに並び、
「いただきます。」と手を合わせる。
食べ終わり、
「今日は練習に誘ってくれて、ありがとうございました。」とお礼を伝える。

すると、熊さんは身の上話を始めた。
関東の大学を卒業後、地元へ戻り、資格取得を目指し勉強していること。
今はテニススクールでコーチをしていること。
そして「雅ちゃん、俺と付き合って下さい。雅ちゃんが付き合ってくれたら、勉強頑張れると思うんだ。」
あ~予感が的中してしまった。

私は、熊さんのことをあまり知らない。名前と年齢しか知らなかった。
「ごめんなさい。」とお断りを入れ、帰宅。
テニス楽しかったのにな…
複雑な気持ちで眠りについた。



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