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第17話 交流を深める
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鮮やかな花が咲き乱れる温室を眺めながら、僕と彼女はお茶を楽しむ。
僕の手が、いちご飴へと伸びたクラリスの手に当たった。
二人で同じ飴に手を伸ばしていたようだ。
恥ずかしくて、真っ赤になるクラリス。
彼女にもかわいいところが、あるじゃないか。
今日の装いは僕の色?それとも彼女自身の色を身につけただけ?
初対面が最悪だったからと、僕は彼女はこんな人だと決めつけ、拒絶していた。
だが、彼女はどうだ。
彼女にとっても暴言を吐いた僕の印象は最悪だったと思われる。
にも、関わらず、彼女は家の方針に沿い、僕に歩み寄ろうとしている。
それに今、接している彼女は、なかなかかわいらしい。
森で会った彼女とは大違いだ。
僕は、彼女の一面しか見ていなかったんだな。
いちご飴を彼女に譲ろうとすると、「私はいつでも作れますので。」と僕に手渡してくれた。
なんだか彼女の気持ちを託された気がして、ドキリっと心臓が跳ねた。
パリっとかじった飴から、いちごの果肉が口に広がり、甘酸っぱい。
これこれ、この味がまた食べたかったんだ。
クラリスは笑顔で「また来ます。今度は新作をお持ちしますね。」と帰って行った。
彼女とは、初めてまともに会話をした。
好きな本の話、勉強やレッスンのこと。彼女は刺繍と裁縫が苦手で、ダンスが好きらしい。
苦手な刺繍や裁縫も、最近は少しだけ楽しくなったと笑った彼女。
森で見た彼女は、表情が豊かで、身のこなしが軽やかだったな…
令嬢が棒を振り回し、石を投げるなんて、なかなかできることではない。
狼に囲まれ、必死だったのだろう。
あの状況で、あれだけ動けるとは、肝が座っている。
状況判断も的確だった。
まあ、森で大声をあげたのだけはいただけないが。
彼女と一緒の人生。
退屈することなく、案外楽しいかもしれないな。
僕が一人で考えに耽っていると、来客の知らせが入った。
もうそんな時間か。
僕は温室を出て、応接室へと向かう。
「パメラ嬢、待たせたな。」
笑顔で挨拶するパメラへ詫びる。
「いえ、リアム様、まだ時間前ですわ。あなたに会いたくて、早く来てしまいましたの。」
上目使いで僕の顔を覗き込む彼女。
「そうか。そう言われると嬉しいな。」僕がニコリと微笑むと、パメラもニッコリ微笑んだ。
聡明な彼女とする政治の話は興味深く、確かに楽しい。
だが、何か物足りなく感じてしまう。
彼女の笑顔は、草原に小さな花がポッと咲いたように可憐だ。
パメラが帰り、部屋へ戻った僕は考える。
何が足りない?
僕は何を求めているんだろう。
僕には僕自身の気持ちがわからなかった。
僕の手が、いちご飴へと伸びたクラリスの手に当たった。
二人で同じ飴に手を伸ばしていたようだ。
恥ずかしくて、真っ赤になるクラリス。
彼女にもかわいいところが、あるじゃないか。
今日の装いは僕の色?それとも彼女自身の色を身につけただけ?
初対面が最悪だったからと、僕は彼女はこんな人だと決めつけ、拒絶していた。
だが、彼女はどうだ。
彼女にとっても暴言を吐いた僕の印象は最悪だったと思われる。
にも、関わらず、彼女は家の方針に沿い、僕に歩み寄ろうとしている。
それに今、接している彼女は、なかなかかわいらしい。
森で会った彼女とは大違いだ。
僕は、彼女の一面しか見ていなかったんだな。
いちご飴を彼女に譲ろうとすると、「私はいつでも作れますので。」と僕に手渡してくれた。
なんだか彼女の気持ちを託された気がして、ドキリっと心臓が跳ねた。
パリっとかじった飴から、いちごの果肉が口に広がり、甘酸っぱい。
これこれ、この味がまた食べたかったんだ。
クラリスは笑顔で「また来ます。今度は新作をお持ちしますね。」と帰って行った。
彼女とは、初めてまともに会話をした。
好きな本の話、勉強やレッスンのこと。彼女は刺繍と裁縫が苦手で、ダンスが好きらしい。
苦手な刺繍や裁縫も、最近は少しだけ楽しくなったと笑った彼女。
森で見た彼女は、表情が豊かで、身のこなしが軽やかだったな…
令嬢が棒を振り回し、石を投げるなんて、なかなかできることではない。
狼に囲まれ、必死だったのだろう。
あの状況で、あれだけ動けるとは、肝が座っている。
状況判断も的確だった。
まあ、森で大声をあげたのだけはいただけないが。
彼女と一緒の人生。
退屈することなく、案外楽しいかもしれないな。
僕が一人で考えに耽っていると、来客の知らせが入った。
もうそんな時間か。
僕は温室を出て、応接室へと向かう。
「パメラ嬢、待たせたな。」
笑顔で挨拶するパメラへ詫びる。
「いえ、リアム様、まだ時間前ですわ。あなたに会いたくて、早く来てしまいましたの。」
上目使いで僕の顔を覗き込む彼女。
「そうか。そう言われると嬉しいな。」僕がニコリと微笑むと、パメラもニッコリ微笑んだ。
聡明な彼女とする政治の話は興味深く、確かに楽しい。
だが、何か物足りなく感じてしまう。
彼女の笑顔は、草原に小さな花がポッと咲いたように可憐だ。
パメラが帰り、部屋へ戻った僕は考える。
何が足りない?
僕は何を求めているんだろう。
僕には僕自身の気持ちがわからなかった。
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