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救出
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「ユンコから離れろっ!!」
バンッと結子が閉じ込められていた部屋の扉が開かれ、複数の人間がなだれ込む勢いで入ってくる。
その中の一人が結子とそれを襲う形のウィルの姿を見て吼えた。
結子ははじめその声が誰のものであるか、いつもの調子との違いに分からなかった。
だが、近くに立ったその人を見て彼だとわかった。
ゴッ。鈍い音がして結子に圧し掛かっていたウィルの影が消えた。
鬼の形相でウィルを睨むルイ。二人が火花でも散らすように睨みあっている。
「俺を殴るか、弟君。理性も働いていない様子だな」
赤くはれ上がった頬など微塵も気にしない様子のウィルがフッとルイの姿を見て嫌な笑みを浮かべた。ルイがぐっと唇を噛んだ。
「貴方の行いは許されるものではない」
せめてもの反撃なのかルイがウィルに言葉を返す。
「王たる俺の行動に制限などあるものか。お前ごときが俺に指図できる立場だとでも言うのか?」
低く唸る獣のようにウィルがルイに威嚇とも取れる言葉を吐く。
…王?オウ?おおー、お、おうさまーー!!
にらみ合う緊迫した二人とは別次元に存在するなんとも緊張感のない心の声が二人の近くで上がる。
もちろん、結子である。残念な子…。
王子でも第一王子とかだと思ったけど予想より身分高かった、と一人空気感が違う感想を結子は言葉にせず内心で吐露する。すでに王位を継いでいらっしゃったよ。
だけど、これで確実に分かった、と結子は頷いた。
ウィルを見て心で指差す。貴方は攻略対象。しかも攻略メイン!!一番チョロインな赤髪君だね!攻略しなくてもいつも直ぐ好感度あげてくれる男性キャラである。
今、結子の心の声が本人以外誰にも聞こえないのは救いである。
「脅すおつもりか?既にその玉座より引き釣り降ろされた愚かな前王が。もう誰も貴方には従わないでしょう。俺にも効かない。わが国の国宝である神木の伐採、その罪過にその傷を癒すために参られた聖女への冒涜。…貴方はこの国家への敵だ。この男をもう一度牢にぶち込めっ」
いつになく荒い口調でルイが自分の後ろにいた兵に命令を下す。部屋の中に押し入った複数の兵が顔をお互いに見合わせてから意を決した様子でルイの指示に従うべく前王?に近づく。
それに今度はその兵を追い払うようにウィルが兵に一喝した。__我に触れるな、と。
王者然とした男の喝に兵は萎縮し足を止めてしまった。
それにウィルが薄笑いを浮かべてルイを見た。
「俺が前王だと?寝言を言うな。まだ次の王の選定もされていないのだろう?俺は少しばかりのおいたに自分から暫く牢で休息していただけの話だ。王位を誰かに譲り渡す気などない。王は今もって俺だ。青二才がっ。自分が王に成り代わるつもりか?本性を出したな、この狡猾ものめ!」
男の怒号に部屋が揺れたように感じた。実際はそんなことはないだろうかそれほどの迫力があり、場は王だと言うウィルの圧倒的な圧力に支配された。
これが王者の纏うオーラと言うものだろう。人を否応なく従えさせる。
ビリビリとした電気ショックでも受けたように静まり返った室内でルイだけが依然燃える視線をウィルに向けていた。まさに獅子と竜の戦いのように二人の気迫の間には何人も割り込めない。
「…あなたは自分の行いがどれほど罪深いか理解できないご様子ですね。俺は貴方を殺したいですよ。確かにまだ次の王は選ばれてはいません。まだこの短時間では無理だ。だが、貴方は奢らない事です。諸侯はすでに貴方から離れ、動いています。貴方が再び牢に押し込められている間に王不在で次代の王の選定は粛々と行われる予定です。…貴方にそれを覆させることはさせません。大人しく今度こそは断頭台もしくは幽閉地に送られるまで牢でお休みください。裸の王よ」
誰もウィルを拘束しないのでルイ自らが縄をウィルに掛けていく。周囲はそれを黙って見ていた。
王自身は大人しくそれを受けていると言うわけでもないが悪態をついて、多勢に無勢で形勢が悪いと諦めたのか顔をそらして結子を一瞥した。
「ふん、偉い息巻きようだ。こんな見るからに平凡な女に懸想したか。見る目のない」
ウィルが捨て台詞で結子に言い捨てる。結子自身はウィルの迫力に言われたことを気にする余裕もなかったがルイは違ったらしく、もう一度晴れ上がったウィルの頬を殴りつけた。
「彼女は聖女だ。罪人が落とせるお方ではない。口を慎め」
口の中が切れたのか血の混じった唾をウィルが室内関係なく吐き捨てる。
縛り上げられたウィルが複数の塀の男達に囲まれて連行され部屋を出て行く。
部屋に残ったのは暴行される一歩手前のような格好の結子と
今までに見たこともないほど気を高ぶらせたルイだけだった。
静かに最後の一人も出て行き、扉こそ開いていたがしんと静まった部屋に二人だけが取り残された。
※ここまでが1,2共通ルート
共通ルート終了でここから先は分岐していきます。
「ユンコから離れろっ!!」
バンッと結子が閉じ込められていた部屋の扉が開かれ、複数の人間がなだれ込む勢いで入ってくる。
その中の一人が結子とそれを襲う形のウィルの姿を見て吼えた。
結子ははじめその声が誰のものであるか、いつもの調子との違いに分からなかった。
だが、近くに立ったその人を見て彼だとわかった。
ゴッ。鈍い音がして結子に圧し掛かっていたウィルの影が消えた。
鬼の形相でウィルを睨むルイ。二人が火花でも散らすように睨みあっている。
「俺を殴るか、弟君。理性も働いていない様子だな」
赤くはれ上がった頬など微塵も気にしない様子のウィルがフッとルイの姿を見て嫌な笑みを浮かべた。ルイがぐっと唇を噛んだ。
「貴方の行いは許されるものではない」
せめてもの反撃なのかルイがウィルに言葉を返す。
「王たる俺の行動に制限などあるものか。お前ごときが俺に指図できる立場だとでも言うのか?」
低く唸る獣のようにウィルがルイに威嚇とも取れる言葉を吐く。
…王?オウ?おおー、お、おうさまーー!!
にらみ合う緊迫した二人とは別次元に存在するなんとも緊張感のない心の声が二人の近くで上がる。
もちろん、結子である。残念な子…。
王子でも第一王子とかだと思ったけど予想より身分高かった、と一人空気感が違う感想を結子は言葉にせず内心で吐露する。すでに王位を継いでいらっしゃったよ。
だけど、これで確実に分かった、と結子は頷いた。
ウィルを見て心で指差す。貴方は攻略対象。しかも攻略メイン!!一番チョロインな赤髪君だね!攻略しなくてもいつも直ぐ好感度あげてくれる男性キャラである。
今、結子の心の声が本人以外誰にも聞こえないのは救いである。
「脅すおつもりか?既にその玉座より引き釣り降ろされた愚かな前王が。もう誰も貴方には従わないでしょう。俺にも効かない。わが国の国宝である神木の伐採、その罪過にその傷を癒すために参られた聖女への冒涜。…貴方はこの国家への敵だ。この男をもう一度牢にぶち込めっ」
いつになく荒い口調でルイが自分の後ろにいた兵に命令を下す。部屋の中に押し入った複数の兵が顔をお互いに見合わせてから意を決した様子でルイの指示に従うべく前王?に近づく。
それに今度はその兵を追い払うようにウィルが兵に一喝した。__我に触れるな、と。
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それにウィルが薄笑いを浮かべてルイを見た。
「俺が前王だと?寝言を言うな。まだ次の王の選定もされていないのだろう?俺は少しばかりのおいたに自分から暫く牢で休息していただけの話だ。王位を誰かに譲り渡す気などない。王は今もって俺だ。青二才がっ。自分が王に成り代わるつもりか?本性を出したな、この狡猾ものめ!」
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