37 / 86
37
しおりを挟む
「ちょっと待てよ……。俺の服売れるんじゃね?」
村の人、通りですれ違った人、大体みんな同じような服装だった。冒険者は金属や布製の防具を身につけていたが、依頼が終わるとやはり同じような服に着替えていた。富裕層の服装は分からないが、珍しい衣服は興味をそそるに違いない。
(作戦タイムだ。今日のプランを練り直そう。)
寝具、衣服、桶、サボンを購入予定であったが、何店舗か古着屋と衣装屋に寄り、その後桶とサボン等の日用品を購入することにした。寝具は冒険者用の野営用の物があるかもしれないと考え、明日以降にする。
「うーん、どうやって売り込もうか。競い合わせで価格を吊り上げるのがいいかなー?」
テレビドラマで見た営業の人は、別の店舗ではいくらだったので、それ以上で売りたい。という話術を用いて交渉していた。胡座をかいて腕を組み、脳漿を絞るように試行錯誤する。
「よし、行き当たりばったり作戦に決定しよう!時間が勿体ない!」
今までの時間は何だったのか、パワー系の思考に辿り着いてしまったヨールではあるが、導入部は考えていた。
一度に肌着とパンツと靴下の3つを売り込むのではなく、今日は肌着一点に絞る。
店に入ったらまずは店主に同じ物を探している旨を伝える。店主の目の色が変わる、入手経緯や素材の詳細、作り方など聞かれる事になるだろう、そこから臨機応変に対応し、買い取り価格を導き出す作戦だ。肌着を小さく折り畳み、ポケットにしまって準備完了だ。
カラーン カラーン
鐘の音が響き渡る。昨日は気づかなかったが正午に一度お昼を知らせる時報が鳴るようだ。
「もうこんな時間!? 急がないと!!」
早速部屋を出る。筋肉店主に遭遇したので、今日の夕飯を予約し、古着屋と衣装屋の場所を聞いた。大通り沿いに何店舗かあるみたいなので、とりあえずはそっち方面に向かう事にした。
「お腹すいたな……。」
1時間半程歩くと大通りに出た。香ばしい匂いに誘われ、屋台で串焼きを2本購入した。銀貨1枚とお手頃だ。
(うん、うまい!)
串焼きは、塩でシンプルに味付けされていたが、炭火で焼いた香ばしい匂いが鼻を抜けて、空腹なヨールには大満足な一品だった。営業トークを考えるのに夢中だったため無言で貪った。
お腹を満たしたヨールは1軒目の古着屋に到着した。決戦の時だ!
(スゥー、ハァー……。さて、大事なのは落ち着くことだ。氷のような営業マンを演じるんだ。クールで、そして冷静な。よし、いくぜ!!)
ポケットから肌着を手に取り、満を辞して店に乗り込む。
村の人、通りですれ違った人、大体みんな同じような服装だった。冒険者は金属や布製の防具を身につけていたが、依頼が終わるとやはり同じような服に着替えていた。富裕層の服装は分からないが、珍しい衣服は興味をそそるに違いない。
(作戦タイムだ。今日のプランを練り直そう。)
寝具、衣服、桶、サボンを購入予定であったが、何店舗か古着屋と衣装屋に寄り、その後桶とサボン等の日用品を購入することにした。寝具は冒険者用の野営用の物があるかもしれないと考え、明日以降にする。
「うーん、どうやって売り込もうか。競い合わせで価格を吊り上げるのがいいかなー?」
テレビドラマで見た営業の人は、別の店舗ではいくらだったので、それ以上で売りたい。という話術を用いて交渉していた。胡座をかいて腕を組み、脳漿を絞るように試行錯誤する。
「よし、行き当たりばったり作戦に決定しよう!時間が勿体ない!」
今までの時間は何だったのか、パワー系の思考に辿り着いてしまったヨールではあるが、導入部は考えていた。
一度に肌着とパンツと靴下の3つを売り込むのではなく、今日は肌着一点に絞る。
店に入ったらまずは店主に同じ物を探している旨を伝える。店主の目の色が変わる、入手経緯や素材の詳細、作り方など聞かれる事になるだろう、そこから臨機応変に対応し、買い取り価格を導き出す作戦だ。肌着を小さく折り畳み、ポケットにしまって準備完了だ。
カラーン カラーン
鐘の音が響き渡る。昨日は気づかなかったが正午に一度お昼を知らせる時報が鳴るようだ。
「もうこんな時間!? 急がないと!!」
早速部屋を出る。筋肉店主に遭遇したので、今日の夕飯を予約し、古着屋と衣装屋の場所を聞いた。大通り沿いに何店舗かあるみたいなので、とりあえずはそっち方面に向かう事にした。
「お腹すいたな……。」
1時間半程歩くと大通りに出た。香ばしい匂いに誘われ、屋台で串焼きを2本購入した。銀貨1枚とお手頃だ。
(うん、うまい!)
串焼きは、塩でシンプルに味付けされていたが、炭火で焼いた香ばしい匂いが鼻を抜けて、空腹なヨールには大満足な一品だった。営業トークを考えるのに夢中だったため無言で貪った。
お腹を満たしたヨールは1軒目の古着屋に到着した。決戦の時だ!
(スゥー、ハァー……。さて、大事なのは落ち着くことだ。氷のような営業マンを演じるんだ。クールで、そして冷静な。よし、いくぜ!!)
ポケットから肌着を手に取り、満を辞して店に乗り込む。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。
心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。
「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。
「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる