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砂城の愛
第四十五話 神話
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日が差し、緑が生い茂る森の中、動物たちが驚き慌てふためく。けたたましい銃声が空気を打ち破ったからだ。僕は伏せ撃ちの体勢でスナイパーライフルで狙撃の練習をしていた。
目視で伏せ撃ち、約250mの距離から的を撃って、木を削って作った的に近づく。みたところ、10発中8発命中、真ん中からは外れてはいたが僕は満悦した。
メキメキと銃の腕が上がっているのがわかると、自分の力に驚くと共に自信がわいてくる。今度特殊部隊に就職しようかな、この世界にあればの話しだが、バカな冗談を考えながら、自分が力をつけていっていることで充足感に浸っていた。
ああ、スコープがあれば遠距離スナイプができるのだが、僕には光学機器が作れない。まあ、できないことを残念がっても仕方ない。
「よくあんなちっこい的に当てるな、すごいじゃないか」
遠くにいたメリッサが食事の用意をしながら大声で僕を褒め称えてくれた、僕は的のところにいるのでそこから300mほどの距離からメリッサは大声を出したようだ、僕は彼女に向かって手を振る。
「ありがとう、メリッサ!」
僕は大声を出そうとするが腹から声が出ない、メリッサには声が届かなかったのか食事の用意を続けていた、よくあんな距離から的が見えるな。
メリッサの視力はいくつぐらいだろうか、聞いてもたぶんわからないというだろうな、視力検査のする神様なんて聞いたことがない。
夜、食事の支度が終え僕はメリッサの愛情手料理に舌鼓を打つ。朝、狩った鹿のような生き物の肉をソテーにし、木皿に盛り付けてあった。口に運ぶと独特の食感と歯ごたえがあり、野性的な肉汁にあふれていておいしい。
特にスパイスがきいている。フリューナグの街で香辛料をたくさん買っていたから味付けが実に旨い。メリッサの影なる努力に感謝せざるを得ない、こんな手料理が食べられる僕はなんて幸せ者なんだ。なんだか少し優越感を感じた。
「次はどんなところに行くんだい?」
何気なしに尋ねるとメリッサは冷静に言った。
「うん、ベリカという町に行くつもりだあそこは古い教会があって資料も置いてあるだろう」
「教会団の内部を調べるっていってたけどそういうことかい?」
「そうだ、私が知っている教会団とはかなりかけ離れている。たしかな違和感があった。調べる必要がある」
「そうか任せるよ」
僕たちの夕食が終わり眠気が誘う、星空の元、二人寝転んで一つの毛布で抱きしめ合いながら、数ミリの距離で見つめ合う、透き通った白い肌、潤んだ碧い瞳、そして細い絹の糸のような柔らかな髪の毛、その髪の毛を触りながら見つめ合う、心臓の鼓動がどんどん高鳴っていく。
これから何をしてあげようか、想像を膨らませると少し興奮してくる。メリッサは見つめたまま、黙っていた。
「どうしたんだい、お姫様」
僕はたまらず冗談めかして尋ねた、そんなに見つめられると心臓が張り裂けそうだ。
「お前カッコいいなって思って、こうやって抱きしめられると守られてる感じがする、胸が熱くなって幸せだなあって」
可愛い。僕の体が一気に紅潮しそうな勢いだ、心臓が激しく動く、やばいこのまま襲いかかりたい、この娘と一つになりたい。
「今日は何もしないまま寝ような」
「へっ!?」
僕は情けない声が出てしまった。
「このまま少年少女みたいに見つめたまま眠りたい。ダメか?」
別に急ぐ必要ないから別にいいけど、とてもいいムードなんで拍子抜けがして残念な気がしてならない。──でも。
「いいよ」
そう言って僕はメリッサにキスをする。お姫様は大事に扱わないとな、彼女にも心の準備というものがある。彼女は僕の寝顔を見つめながら寝たいからといったので僕が先に眠りについた、小さい体のメリッサ、柔らかな身体は抱き心地がよくすぐにぐっすり眠れた。
数日歩いた後ベリカという町についた。古びた家々がならび、藁ぶき屋根まである、人々は色彩の少ない服を着ており、遠くの方にいかにも中世の城が見える、僕が想像していた中世の街そのものだ。
「地図によるとこの道をまっすぐ行けば、古びた教会に行けるらしい」
メリッサはフリューナグの街で買った地図を見ながら指を指す、僕はそれに続いてゆっくりとこの街を眺めながら歩いていた。
しばらく歩くと低い丘の上に古びた大きい教会が見えた、フリューナグの教会よりも大きく建築技術が違っているのか不思議な形をしていた。なんと言ったら良いのだろう、なんだか丸みのある屋根でイスラムのモスクを思い出す。
僕たちは教会の大きな扉を開いた、ギイッと錆びた古い鉄がこすれる音がして徐々に押し開ける。
中に入ってみるとステンドグラスで描かれた色取り取りの美しい絵が描かれており僕はその美しさに見とれていた。……しかし、メリッサはみるみる青ざめていった。驚きを隠せないようだ。
「どうしたんだ? メリッサ」
その様子を見て尋ねると、メリッサは少し震えながら、
「違う……私の知ってる神話と違う……神から与えられた歴史が書き換えられている。おかしい、この絵はおかしい……!」
と言った。メリッサが立ちすくんでいるとこの教会の神父が現れた、年をおいており、群青色をした厳格な服を着ていた。僕たち日本人がすぐに思い浮かびそうな神父像の風体で男の老人が現れた。
「これは珍しい、外人の方がこんなとこを訪れるとは」
老神父は、僕にはわからない言葉で話しかける。
「神父殿、私は教会団で布教活動をしているメリッサと申します。よろしければこの教会の歴史をお教え願えないでしょうか」
「よろしいですよ。長い話になりますがよろしいですか?」
「是非お願いいたします」
メリッサは僕に対して肘で突っつついた。
「奥で話を聞いてくるから外で待っててくれ、迷子になるなよ」
「わかったよ」
そう言われて僕は一人教会を出る、辛気臭い話を通訳して聞かされたらどうしようかと思っていたが、対してメリッサはよく気が回るな。外でブラブラしていたほうが楽だ。
何気なしに教会の建っている丘をまっすぐ奥に進む、1キロぐらいいったところ古びた館があった。子どもたちが陽気に遊んでいる、ここは孤児院か何かだろうか。
僕がそれを眺めていると金髪の美しい女性がこちらにやってきた、歳は20代だろう大きい蒼い目をしており、鼻筋がすっと通っていて笑顔がとても似合い、見る者を惹きつける華やかな美しさがあった。
「あら、あなたも異世界から来たのね、こんにちは」
──女性は僕にもわかる言葉で話しかけてきた、僕は一気に血の気が引いた…
目視で伏せ撃ち、約250mの距離から的を撃って、木を削って作った的に近づく。みたところ、10発中8発命中、真ん中からは外れてはいたが僕は満悦した。
メキメキと銃の腕が上がっているのがわかると、自分の力に驚くと共に自信がわいてくる。今度特殊部隊に就職しようかな、この世界にあればの話しだが、バカな冗談を考えながら、自分が力をつけていっていることで充足感に浸っていた。
ああ、スコープがあれば遠距離スナイプができるのだが、僕には光学機器が作れない。まあ、できないことを残念がっても仕方ない。
「よくあんなちっこい的に当てるな、すごいじゃないか」
遠くにいたメリッサが食事の用意をしながら大声で僕を褒め称えてくれた、僕は的のところにいるのでそこから300mほどの距離からメリッサは大声を出したようだ、僕は彼女に向かって手を振る。
「ありがとう、メリッサ!」
僕は大声を出そうとするが腹から声が出ない、メリッサには声が届かなかったのか食事の用意を続けていた、よくあんな距離から的が見えるな。
メリッサの視力はいくつぐらいだろうか、聞いてもたぶんわからないというだろうな、視力検査のする神様なんて聞いたことがない。
夜、食事の支度が終え僕はメリッサの愛情手料理に舌鼓を打つ。朝、狩った鹿のような生き物の肉をソテーにし、木皿に盛り付けてあった。口に運ぶと独特の食感と歯ごたえがあり、野性的な肉汁にあふれていておいしい。
特にスパイスがきいている。フリューナグの街で香辛料をたくさん買っていたから味付けが実に旨い。メリッサの影なる努力に感謝せざるを得ない、こんな手料理が食べられる僕はなんて幸せ者なんだ。なんだか少し優越感を感じた。
「次はどんなところに行くんだい?」
何気なしに尋ねるとメリッサは冷静に言った。
「うん、ベリカという町に行くつもりだあそこは古い教会があって資料も置いてあるだろう」
「教会団の内部を調べるっていってたけどそういうことかい?」
「そうだ、私が知っている教会団とはかなりかけ離れている。たしかな違和感があった。調べる必要がある」
「そうか任せるよ」
僕たちの夕食が終わり眠気が誘う、星空の元、二人寝転んで一つの毛布で抱きしめ合いながら、数ミリの距離で見つめ合う、透き通った白い肌、潤んだ碧い瞳、そして細い絹の糸のような柔らかな髪の毛、その髪の毛を触りながら見つめ合う、心臓の鼓動がどんどん高鳴っていく。
これから何をしてあげようか、想像を膨らませると少し興奮してくる。メリッサは見つめたまま、黙っていた。
「どうしたんだい、お姫様」
僕はたまらず冗談めかして尋ねた、そんなに見つめられると心臓が張り裂けそうだ。
「お前カッコいいなって思って、こうやって抱きしめられると守られてる感じがする、胸が熱くなって幸せだなあって」
可愛い。僕の体が一気に紅潮しそうな勢いだ、心臓が激しく動く、やばいこのまま襲いかかりたい、この娘と一つになりたい。
「今日は何もしないまま寝ような」
「へっ!?」
僕は情けない声が出てしまった。
「このまま少年少女みたいに見つめたまま眠りたい。ダメか?」
別に急ぐ必要ないから別にいいけど、とてもいいムードなんで拍子抜けがして残念な気がしてならない。──でも。
「いいよ」
そう言って僕はメリッサにキスをする。お姫様は大事に扱わないとな、彼女にも心の準備というものがある。彼女は僕の寝顔を見つめながら寝たいからといったので僕が先に眠りについた、小さい体のメリッサ、柔らかな身体は抱き心地がよくすぐにぐっすり眠れた。
数日歩いた後ベリカという町についた。古びた家々がならび、藁ぶき屋根まである、人々は色彩の少ない服を着ており、遠くの方にいかにも中世の城が見える、僕が想像していた中世の街そのものだ。
「地図によるとこの道をまっすぐ行けば、古びた教会に行けるらしい」
メリッサはフリューナグの街で買った地図を見ながら指を指す、僕はそれに続いてゆっくりとこの街を眺めながら歩いていた。
しばらく歩くと低い丘の上に古びた大きい教会が見えた、フリューナグの教会よりも大きく建築技術が違っているのか不思議な形をしていた。なんと言ったら良いのだろう、なんだか丸みのある屋根でイスラムのモスクを思い出す。
僕たちは教会の大きな扉を開いた、ギイッと錆びた古い鉄がこすれる音がして徐々に押し開ける。
中に入ってみるとステンドグラスで描かれた色取り取りの美しい絵が描かれており僕はその美しさに見とれていた。……しかし、メリッサはみるみる青ざめていった。驚きを隠せないようだ。
「どうしたんだ? メリッサ」
その様子を見て尋ねると、メリッサは少し震えながら、
「違う……私の知ってる神話と違う……神から与えられた歴史が書き換えられている。おかしい、この絵はおかしい……!」
と言った。メリッサが立ちすくんでいるとこの教会の神父が現れた、年をおいており、群青色をした厳格な服を着ていた。僕たち日本人がすぐに思い浮かびそうな神父像の風体で男の老人が現れた。
「これは珍しい、外人の方がこんなとこを訪れるとは」
老神父は、僕にはわからない言葉で話しかける。
「神父殿、私は教会団で布教活動をしているメリッサと申します。よろしければこの教会の歴史をお教え願えないでしょうか」
「よろしいですよ。長い話になりますがよろしいですか?」
「是非お願いいたします」
メリッサは僕に対して肘で突っつついた。
「奥で話を聞いてくるから外で待っててくれ、迷子になるなよ」
「わかったよ」
そう言われて僕は一人教会を出る、辛気臭い話を通訳して聞かされたらどうしようかと思っていたが、対してメリッサはよく気が回るな。外でブラブラしていたほうが楽だ。
何気なしに教会の建っている丘をまっすぐ奥に進む、1キロぐらいいったところ古びた館があった。子どもたちが陽気に遊んでいる、ここは孤児院か何かだろうか。
僕がそれを眺めていると金髪の美しい女性がこちらにやってきた、歳は20代だろう大きい蒼い目をしており、鼻筋がすっと通っていて笑顔がとても似合い、見る者を惹きつける華やかな美しさがあった。
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