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二つの死闘
第百七十八話 クラリーナとデート
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和やかな雰囲気のもと女性とデート、昔僕が望んでいたものだ。メリッサとのデートとは違い彼女は素のまま女性的な魅力を放つ、そうクラリーナは。僕なんかが比べるなんて失礼極まりないが、メリッサは女性的であろうと演技をしつつだから、楽しいけど、少し僕にはこそばゆくて恥ずかしい部分があった。
だがクラリーナは違う、元から大人の分別のつく女性でありながらも、それでいて僕が考える女性の表現力を持っていた。彼女は魅力的だ、僕が足を踏み外さないよう心にとめながらもその背徳感と彼女の心からの美しさに僕に太陽が降り注いだようだった。
「あっ佑月さんこっちですよ、見てください」
見ると氷を売っている店のようだった、今は夏なのか日差しが刺すように熱く、アイスクリームなど売ってないこの世界ではありがたい物であった。クラリーナは微笑みながら、僕に進めてきた。
「氷屋さんは、暑い日にはいいですねちょっと食べていきましょう」
そう言って彼女は氷を頼んだ、木のボウルの中に入った氷たちを僕たち二人は分け合って、頬張る。
「あっ、甘い」
僕が思わず声を上げた、見た目普通の氷だったから味があったことに驚いた。
「ええそうですよ、氷に砂糖シロップを加えて甘くするのがこのマハロブ流です、いいでしょう? 甘いのは正義です」
そう言って彼女が頬張る姿を見て僕は氷を口から出しそうなほど笑ってしまった。
「ちょっとなんです、私の顔を見て笑うなんて、失礼ですよ、もう!」
「だってクラリーナ、君、リスみたいに頬を膨らませて食べているから、何か可愛くてね、思わず、ごめんね」
「可愛い……。ちょっと、奥さんがいる身で、女性を口説くなんてひどい人ですね、ダメですよそういうの、もう……」
そう言いつつ彼女は頬を染めて髪の毛を弄りながらも、嬉しそうに微笑んでいた。それがさらに可愛らしくて、僕の頬が緩んでしまった。もちろん彼女にやんわりと怒られたけど、それが、傍から見ればバカップルみたいでなんだか楽しかったんだ。
「あっ、そう言えばランチの時間ですね、なじみの店があるんです一緒に行きましょう」
クラリーナはそう言いながら、僕の手を握って、嬉しそうに、聖歌を口ずさみながら時々僕の方を振り返って、微笑みかける。なんか可愛らしく思えて、メリッサに心の中でごめんよと呟きながら、彼女の気分に合わせた。ただ歩いているだけで何だかワクワクしてきたんだ。
しょうがないだろ、僕だって男なんだよ……。
ちょっとこじゃれた雰囲気のある、レストランと言っていいのだろうか、こっちの世界の名称はわからないが、とりあえず恋人たちが過ごすようなゆったりとした雰囲気で採光を取り入れた、美しい店を案内してくれた。
さすがクラリーナだ上流階級というだけあって、男一人では入りにくい場所へ案内してくれた。中に入るとチェロやヴァイオリンのようなもので音楽を演奏していて、ロマンティックな雰囲気を醸し出している。
給仕の男がやって来て、席へと案内してくれた。窓際のこの時代珍しく濁りガラスで美しい、外の景色が見える場所だ。そこへ若い女性が注文を取りに来たようだった。
「ハーイ、クラリーナ元気? 今日は恋人と一緒なのね、おめでとう貴女にも春が来たのね」
「ちょっとソフィア、不謹慎なこと言わないでくれる? わたしは聖騎士なのよ、それくらい配慮してよ、もう」
僕は驚いた、というのも給仕の女性の言葉が理解できたためだ。僕はちょっとわけがわからなかったので、彼女に聞いてみた。
「今、僕にも言葉が理解できたけどどういうことなんだい?」
「ああ、貴方たぶん佑月さんって言うんでしょ、クラリーナから聞いてる、私の名前はソフィアよろしくね、クラリーナのヴァルキュリアだから貴方にも言葉が通じたのね、まあ、そういうこと」
「ええ⁉ いや初めまして僕は佑月だけど、ヴァルキュリアが働いているの⁉」
「良いじゃない別に、戦うだけが能じゃない、私ねこの店のオーナーで店を切り盛りしてる、まあ、クラリーナは一人で戦えるほど強いし、私暇だから、店を開いたの。さあ、注文は何かしら?」
「えっと……」
そこにクラリーナが気を利かせて中に割って入ってきた。
「ああ、彼には肉料理を頼むわ、私はいつもの甘いソースの魚系でお願い」
「オッケー、最高の料理をチョイスしてあげる、ごゆっくりー、恋人様方」
「もう、ソフィアやめてよ、ホント、デリカシーがない人ですね、まったく……」
そういつつもまんざらでもない感じで、楽しそうに僕に世間話をかけてくれた。
「どうです、マハロブの暮らしは、私はこの街で育ちましたが、身内びいきというかこの街が私好きなんです。都会的な雰囲気を残しつつも、どこか牧歌的でゆったりした、街の風景、ええ、素敵だと思います」
「うん、僕もそう思うよ、食べ物は美味しいし、珍しいねこの世界では、街並みも美しいし、僕の世界の都会のような、せかせかしたかんじもしないし、生き急いでいない、街づくりがしっかりしているんだろうね」
「貴方の世界はよくわかりませんが、この街は教会団きってのアーティストたちが都市計画に基づいて設計した街で、私この街を誇りに思っております、別におかしいことではないですよね」
「おかしくないよ、十分誇るべきだ、僕もこの街が好きだよ」
「ありがとうございます。佑月さんに言われると何だか照れちゃいますね、とても嬉しいです」
そう言って彼女は嫋やかに微笑んだ。素敵な笑顔だ、窓から差し込む太陽の日差しに朱い髪が煌めいて、彼女の白い肌が眩く輝きながら、柔らかな母のような微笑み、彫刻家が見たら迷わず彼女の彫刻を掘ったであろう。それほどの造形美と、観る者の感情を揺さぶる愛おしさが彼女からあふれていた。
こりゃ人気が出るはずだ。男の僕は参ってしまう、妻がいなけりゃこの笑顔でノックアウトだ。
「どうされました? 私の顔をじっと見て」
「うん、クラリーナ、君は綺麗だなって、ホントそう思うよ」
「ちょ、ちょっとまってください、そんなこと真面目な顔して言われたらドキッとするじゃないですか、もうやめてくださいよ、もう……。ひどい人です、妻と子どもがいる身で、私を口説くなんて、もう、私の心のいき場所がないじゃないですか……」
そう言って顔を赤くして髪の毛を弄り始めた、ホントに可愛らしいな、女性的な魅力であふれている。これほど男性が好みそうな女性は珍しいなあ。その素敵な女性と一緒に食事を待っている時間が、何だか誇らしくて僕に自信を与えてくれた。
しばらく僕たちが歓談をしているとソフィアが食事を運んできてくれた。
「ハーイお待たせ、恋人様たち、お熱いのもいいけど、まったりと食事も楽しんでね、夜にも体力が必要でしょ?」
「ちょっとまってください! ちがいます、もう、バカ……」
そういいつつ、彼女は顔を赤くしながら上品に食事を始める。食事のマナーなど知らない僕は気後れがしたが、彼女は別に僕の事を観察することなく静かに食べていた、ゆったりとした音楽に満ち溢れながら、暖かいおいしい食事。この肉料理はソースがとてもうま味があって肉の料理を引き立てていた、とても上品な味。
僕はなんだかこのロマンティックな雰囲気に酔ってしまっていた。
静々と食事を終えると彼女は神への祈りをささげていた。この世界の流儀なのかな、真似しようかと思ったけど、本当の教徒である彼女が不審に思うかもしれないからやめた、その神聖な祈り方が美しく爽やかであった。
なんだかこっちまでありがたい気分になってくるなあ。それを見てソフィアが食器を下げにやって来た。
「どう食事は?」
「いつも通りですよ、とてもおいしかったです、ここの料理は甘くておいしいです」
「クラリーナじゃなくて、男性の方、佑月さん、どう、ここの料理の味は、貴方の舌に合ったかしら」
「僕が食べた中で二番目に美味しい食事だったよ、一番は僕の妻の手料理だ」
「意外と愛妻家なんだ、あーあ、悪い人、でもありがとう、うれしい」
そう言って茶髪のセミロングの髪をさらりとかき上げて、食器をかたづけていく。それが終わった後、オレンジ色の温かいティーをカップに入れて持ってきてくれた。ああ、胃が落ち着くなあ。
そう思っていたらいきなり興奮した様子でクラリーナが僕に尋ねてきた。
「素晴らしいです。愛する女性を讃えること、本人が見ていないところで、それができる。美しい愛情表現です、私感動しました。やっぱりメリッサさんの事を愛しているんですね」
「そりゃもちろんだよ、そうじゃないと結婚なんてしないよ」
「そうですか、私も行きたかったなあ結婚式、いいなあ私もウェディングドレス着たい」
「そういう人今までいなかったのかい?」
「何言ってるんですか、私聖騎士ですよ、そんなひと作っちゃ駄目じゃないですか。付き合うなんてありえないです」
「でも今僕とデートしてるじゃないか」
「それは……、その……、もう、変なこと言わないでください! その、私どうしたらいいかわからないじゃないですか……」
そう言ってあと頬を染めながら、上目づかいで僕の顔を見だした。そ、その表情止めてくれ、なんか男心をくすぐる。ふう、深呼吸、僕は妻と子どもがいる、妻と子どもがいる……。よし落ち着いてきた。
「腹も落ち着いたころですし、そろそろいきましょうか?」
突然さっぱり爽やかに彼女は言いだした、クラリーナの良いところだ、変に引きずらない、僕も頭の切り替えができて男としてありがたい。もちろん僕は「そうだね、行こう」と答えた。その会計の時だ、彼女は金持ちだから食事代はクラリーナの持ち分で僕の財布にありがたかった。僕は「すまないね、ありがとう」と言った。
僕の周りの女性は割とはっきりと自立した人が多いな、エイミア以外。
その時ソフィアがこっそりとクラリーナにチケットを渡した、不思議そうに彼女は見てソフィアに尋ねる。
「なんですこれ?」
「エミレス通りにある貸し切りコテージのチケットだよ、いい雰囲気みたいだよそこ」
「どういう意味です?」
「だからさあ、佑月さんを押し倒しちゃいなよ、既成事実つくっちゃえばこっちのもんだって、大丈夫、大丈夫、子ども出来たら勝ちだから、困ったときはベッドに押し倒して素股でドンよ!」
「何言ってるんですか! 馬鹿なこと言わないでください! 貴女を軽蔑します、もう!」
「はーい、はーいごゆっくり」
いや全部聴こえているんだけどなあ、僕まで体が熱くなってきたじゃないか。もちろんクラリーナの顔は真っ赤だ。なんか変な雰囲気でレストランを後にしてまだまだデートは続いていく。
だがクラリーナは違う、元から大人の分別のつく女性でありながらも、それでいて僕が考える女性の表現力を持っていた。彼女は魅力的だ、僕が足を踏み外さないよう心にとめながらもその背徳感と彼女の心からの美しさに僕に太陽が降り注いだようだった。
「あっ佑月さんこっちですよ、見てください」
見ると氷を売っている店のようだった、今は夏なのか日差しが刺すように熱く、アイスクリームなど売ってないこの世界ではありがたい物であった。クラリーナは微笑みながら、僕に進めてきた。
「氷屋さんは、暑い日にはいいですねちょっと食べていきましょう」
そう言って彼女は氷を頼んだ、木のボウルの中に入った氷たちを僕たち二人は分け合って、頬張る。
「あっ、甘い」
僕が思わず声を上げた、見た目普通の氷だったから味があったことに驚いた。
「ええそうですよ、氷に砂糖シロップを加えて甘くするのがこのマハロブ流です、いいでしょう? 甘いのは正義です」
そう言って彼女が頬張る姿を見て僕は氷を口から出しそうなほど笑ってしまった。
「ちょっとなんです、私の顔を見て笑うなんて、失礼ですよ、もう!」
「だってクラリーナ、君、リスみたいに頬を膨らませて食べているから、何か可愛くてね、思わず、ごめんね」
「可愛い……。ちょっと、奥さんがいる身で、女性を口説くなんてひどい人ですね、ダメですよそういうの、もう……」
そう言いつつ彼女は頬を染めて髪の毛を弄りながらも、嬉しそうに微笑んでいた。それがさらに可愛らしくて、僕の頬が緩んでしまった。もちろん彼女にやんわりと怒られたけど、それが、傍から見ればバカップルみたいでなんだか楽しかったんだ。
「あっ、そう言えばランチの時間ですね、なじみの店があるんです一緒に行きましょう」
クラリーナはそう言いながら、僕の手を握って、嬉しそうに、聖歌を口ずさみながら時々僕の方を振り返って、微笑みかける。なんか可愛らしく思えて、メリッサに心の中でごめんよと呟きながら、彼女の気分に合わせた。ただ歩いているだけで何だかワクワクしてきたんだ。
しょうがないだろ、僕だって男なんだよ……。
ちょっとこじゃれた雰囲気のある、レストランと言っていいのだろうか、こっちの世界の名称はわからないが、とりあえず恋人たちが過ごすようなゆったりとした雰囲気で採光を取り入れた、美しい店を案内してくれた。
さすがクラリーナだ上流階級というだけあって、男一人では入りにくい場所へ案内してくれた。中に入るとチェロやヴァイオリンのようなもので音楽を演奏していて、ロマンティックな雰囲気を醸し出している。
給仕の男がやって来て、席へと案内してくれた。窓際のこの時代珍しく濁りガラスで美しい、外の景色が見える場所だ。そこへ若い女性が注文を取りに来たようだった。
「ハーイ、クラリーナ元気? 今日は恋人と一緒なのね、おめでとう貴女にも春が来たのね」
「ちょっとソフィア、不謹慎なこと言わないでくれる? わたしは聖騎士なのよ、それくらい配慮してよ、もう」
僕は驚いた、というのも給仕の女性の言葉が理解できたためだ。僕はちょっとわけがわからなかったので、彼女に聞いてみた。
「今、僕にも言葉が理解できたけどどういうことなんだい?」
「ああ、貴方たぶん佑月さんって言うんでしょ、クラリーナから聞いてる、私の名前はソフィアよろしくね、クラリーナのヴァルキュリアだから貴方にも言葉が通じたのね、まあ、そういうこと」
「ええ⁉ いや初めまして僕は佑月だけど、ヴァルキュリアが働いているの⁉」
「良いじゃない別に、戦うだけが能じゃない、私ねこの店のオーナーで店を切り盛りしてる、まあ、クラリーナは一人で戦えるほど強いし、私暇だから、店を開いたの。さあ、注文は何かしら?」
「えっと……」
そこにクラリーナが気を利かせて中に割って入ってきた。
「ああ、彼には肉料理を頼むわ、私はいつもの甘いソースの魚系でお願い」
「オッケー、最高の料理をチョイスしてあげる、ごゆっくりー、恋人様方」
「もう、ソフィアやめてよ、ホント、デリカシーがない人ですね、まったく……」
そういつつもまんざらでもない感じで、楽しそうに僕に世間話をかけてくれた。
「どうです、マハロブの暮らしは、私はこの街で育ちましたが、身内びいきというかこの街が私好きなんです。都会的な雰囲気を残しつつも、どこか牧歌的でゆったりした、街の風景、ええ、素敵だと思います」
「うん、僕もそう思うよ、食べ物は美味しいし、珍しいねこの世界では、街並みも美しいし、僕の世界の都会のような、せかせかしたかんじもしないし、生き急いでいない、街づくりがしっかりしているんだろうね」
「貴方の世界はよくわかりませんが、この街は教会団きってのアーティストたちが都市計画に基づいて設計した街で、私この街を誇りに思っております、別におかしいことではないですよね」
「おかしくないよ、十分誇るべきだ、僕もこの街が好きだよ」
「ありがとうございます。佑月さんに言われると何だか照れちゃいますね、とても嬉しいです」
そう言って彼女は嫋やかに微笑んだ。素敵な笑顔だ、窓から差し込む太陽の日差しに朱い髪が煌めいて、彼女の白い肌が眩く輝きながら、柔らかな母のような微笑み、彫刻家が見たら迷わず彼女の彫刻を掘ったであろう。それほどの造形美と、観る者の感情を揺さぶる愛おしさが彼女からあふれていた。
こりゃ人気が出るはずだ。男の僕は参ってしまう、妻がいなけりゃこの笑顔でノックアウトだ。
「どうされました? 私の顔をじっと見て」
「うん、クラリーナ、君は綺麗だなって、ホントそう思うよ」
「ちょ、ちょっとまってください、そんなこと真面目な顔して言われたらドキッとするじゃないですか、もうやめてくださいよ、もう……。ひどい人です、妻と子どもがいる身で、私を口説くなんて、もう、私の心のいき場所がないじゃないですか……」
そう言って顔を赤くして髪の毛を弄り始めた、ホントに可愛らしいな、女性的な魅力であふれている。これほど男性が好みそうな女性は珍しいなあ。その素敵な女性と一緒に食事を待っている時間が、何だか誇らしくて僕に自信を与えてくれた。
しばらく僕たちが歓談をしているとソフィアが食事を運んできてくれた。
「ハーイお待たせ、恋人様たち、お熱いのもいいけど、まったりと食事も楽しんでね、夜にも体力が必要でしょ?」
「ちょっとまってください! ちがいます、もう、バカ……」
そういいつつ、彼女は顔を赤くしながら上品に食事を始める。食事のマナーなど知らない僕は気後れがしたが、彼女は別に僕の事を観察することなく静かに食べていた、ゆったりとした音楽に満ち溢れながら、暖かいおいしい食事。この肉料理はソースがとてもうま味があって肉の料理を引き立てていた、とても上品な味。
僕はなんだかこのロマンティックな雰囲気に酔ってしまっていた。
静々と食事を終えると彼女は神への祈りをささげていた。この世界の流儀なのかな、真似しようかと思ったけど、本当の教徒である彼女が不審に思うかもしれないからやめた、その神聖な祈り方が美しく爽やかであった。
なんだかこっちまでありがたい気分になってくるなあ。それを見てソフィアが食器を下げにやって来た。
「どう食事は?」
「いつも通りですよ、とてもおいしかったです、ここの料理は甘くておいしいです」
「クラリーナじゃなくて、男性の方、佑月さん、どう、ここの料理の味は、貴方の舌に合ったかしら」
「僕が食べた中で二番目に美味しい食事だったよ、一番は僕の妻の手料理だ」
「意外と愛妻家なんだ、あーあ、悪い人、でもありがとう、うれしい」
そう言って茶髪のセミロングの髪をさらりとかき上げて、食器をかたづけていく。それが終わった後、オレンジ色の温かいティーをカップに入れて持ってきてくれた。ああ、胃が落ち着くなあ。
そう思っていたらいきなり興奮した様子でクラリーナが僕に尋ねてきた。
「素晴らしいです。愛する女性を讃えること、本人が見ていないところで、それができる。美しい愛情表現です、私感動しました。やっぱりメリッサさんの事を愛しているんですね」
「そりゃもちろんだよ、そうじゃないと結婚なんてしないよ」
「そうですか、私も行きたかったなあ結婚式、いいなあ私もウェディングドレス着たい」
「そういう人今までいなかったのかい?」
「何言ってるんですか、私聖騎士ですよ、そんなひと作っちゃ駄目じゃないですか。付き合うなんてありえないです」
「でも今僕とデートしてるじゃないか」
「それは……、その……、もう、変なこと言わないでください! その、私どうしたらいいかわからないじゃないですか……」
そう言ってあと頬を染めながら、上目づかいで僕の顔を見だした。そ、その表情止めてくれ、なんか男心をくすぐる。ふう、深呼吸、僕は妻と子どもがいる、妻と子どもがいる……。よし落ち着いてきた。
「腹も落ち着いたころですし、そろそろいきましょうか?」
突然さっぱり爽やかに彼女は言いだした、クラリーナの良いところだ、変に引きずらない、僕も頭の切り替えができて男としてありがたい。もちろん僕は「そうだね、行こう」と答えた。その会計の時だ、彼女は金持ちだから食事代はクラリーナの持ち分で僕の財布にありがたかった。僕は「すまないね、ありがとう」と言った。
僕の周りの女性は割とはっきりと自立した人が多いな、エイミア以外。
その時ソフィアがこっそりとクラリーナにチケットを渡した、不思議そうに彼女は見てソフィアに尋ねる。
「なんですこれ?」
「エミレス通りにある貸し切りコテージのチケットだよ、いい雰囲気みたいだよそこ」
「どういう意味です?」
「だからさあ、佑月さんを押し倒しちゃいなよ、既成事実つくっちゃえばこっちのもんだって、大丈夫、大丈夫、子ども出来たら勝ちだから、困ったときはベッドに押し倒して素股でドンよ!」
「何言ってるんですか! 馬鹿なこと言わないでください! 貴女を軽蔑します、もう!」
「はーい、はーいごゆっくり」
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