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二つの死闘
第百八十話 おしおき
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僕が館に入るといきなり大きな子どもの声で叫ばれてしまった。
「あー! パパ、どこ行ってたの!」
「え……」
一瞬視界に入らなかったので誰かと思ったけど、なんだナオコか、例のあの方だと思ってておっかなびっくりで扉を開けたんだけど、まあ、とりあえず命の危険は避けられたようだ。
「ナオコ、こんばんは、今日は遅くまで起きてるね」
「何がこんばんわなの、パパ。今日私と一緒に遊ぶって言ってたでしょ」
「あれ、そうだったかな」
「すっとぼけても、ダメ! 嘘つき! 嫌い!」
「ごめん、ごめんよ、ちょっと用事があったんだ」
「まったく。ママにパパの居場所を聞いても、さあどうかなとか言ってニコニコしながら、そそくさと立ち去るし、全くこんな夜まで帰ってこないなんてひどいよ!」
やばい! 絶対キレてるぞあの方が! 早く命乞いか、葬式の用意をしないと。僕が言い訳の言葉を考えてるけど、何を言ったらいいかわからない。どう答えても殺される未来しか浮かばない。しまった、夕方には帰るべきだった!
ふと気が付くとナオコがじっとこちらを眺めていた。な、何だ……。するとナオコがブスっとした顔で声をかけてきた。
「で、誰と行ってたの?」
「だ、誰って何のことだい」
「とぼけても無駄! パパ現地語しゃべれないでしょ、戦闘があった感じしないし、どうやってこんな遅くまで時間つぶしてたの、絶対だれか一緒にいたでしょ」
「えっーと、適当にそこら辺をぶらついて……」
「──なるほど、ごまかすということは女だな」
こいつ! 絶対、5歳児ぐらいの幼女じゃないだろ。端々に感じていたけど、年齢絶対かなりいってる。幼児の考える想像力を超えてるぞ。
「で、だから誰なの?」
「えっとルミコはどこかなー」
「寝てるよ、で、誰?」
「えっと……」
僕が答えを出さないでいると、ナオコは僕の体のにおいを、かぎ取り始めた。そして一言。
「……クラリーナだな」
「──違う! 彼女とは何もなかった、信じてくれ、本当だ!」
僕が動揺してメリッサのために用意したセリフをナオコに対して言ってしまった。驚いた顔をしてすぐさま瞳に涙を浮かべるナオコだった。
「うわーん!!」
そしていきなり泣きながら僕から走り去ろうとしていた。
「ま、待て! ナオコ」
だがナオコは途中、騒いでいるのを聞きつけたのか、ミーナの腹に顔をぶつけ、そのままうずくまり抱きしめた。
「ど、どしたの、ナオコ」
「ミーナ聞いてよ、パパ浮気したんだって!」
「最低―」
「最低だよ!」
ミーナがジト目でこちらを見つめている、違うってば、何もしてない、何もしてないから!
「ねえ聞いて、ミーナ、しかも相手クラリーだって!」
「はっ? メリッサさん勝ち目ないじゃん、なんで?」
「知らない、どうせパパはボンクラだから、ママ以外好きになる女の人なんていないと思ってたけど、最近妙に色気づいて、女が寄ってくるし、適当に口説いてるし、しかも、クラリーだよ、クラリー!
スタイル抜群だし、顔もきれいすぎるし、性格もいい! ママと大反対だよ!」
おい、僕のことをディスられるのは仕方ないけど、メリッサまで下げてないか。一応良い女だぞ、性格がきついのと、言葉が男言葉なだけで。料理だってうまいし、可愛いし、口だけで面倒見いいし。
「パパは、絶対最後までいってるよ、これ!」
「あーあ、性欲か、童貞のくせにね」
「童貞卒業しちゃったよ、パパが! もはや淫欲と、色情と、女の裸しか興味がないんだ。童貞のおっさんのくせに!」
「うわっ、きっついわー」
いやいやいや、最近頑張ってるぞ僕、加齢臭するとか、息が臭いとか、言われたことないぞ、いや、言ってこないだけかな……。ちょっと口に手を当てて鼻に息を吹きかけるが自分の口臭なんて全然わからない。と、年なのかな……。
「あーあクラリーがかわいそう、パパみたいな淫獣に襲われたんだ! じゃあなきゃ、クラリーなんて上玉が相手にするはずない! エッチな体を十分に堪能して味わったんだ。汚らしい、よだれを垂らしながら、服をびりびりに破いて、性欲のおもむくままにされたんだ!
そりゃあもう、ひどくトラウマになって、もはや男なんて大っ嫌い、信じられないわ! ってなるに決まってるよー」
「最悪だなあそれ、聖騎士なんでしょクラリーナ、確か処女だって決まりがあったはずだけど」
「処女!? さいって────!」
「さいっってぇ────!」
「いやいや、だから違うって」
「……ミーナ行こう、最低の淫獣浮気野郎をほっといて」
「そうだね、浮気がうつる」
「ちょっと待って違うぞ! 話を聞け、ナオコ、ミーナ!」
二人はすたすたと早足で立ち去ってしまった。明日絶対噂になるぞこれ、若干、築き上げつつあった僕の大人の男のイメージが……。
僕は恐る恐る、自分とメリッサの寝室を開けた、だが、中は真っ暗で何も見えない、明かりを手探りで調べながらろうそくを見つけようとすると、いきなり明かりがともり、メリッサが目の前に現れた、彼女は剣をもって切っ先を僕ののどに突き付けていた。
「随分と遅かったじゃないか」
そう笑顔で剣を輝かせながら、殺気を放っている。まずい! 最初っから怒りMAXモードだ、や、殺られる……! メリッサがゆっくり、ねっとりと低いハスキーボイスで尋問が始まる。
「どうだったか、クラリーナとのデートは、楽しかっただろ?」
「そ、それなりかな」
「まさか、こんな夜まで一緒にいるとは思わなかったぞ、信じた私がばかだったな」
「ち、違う、劇を見てたら時間を忘れていただけだ! 浮気とかメリッサを忘れていたとかそういうのじゃない!」
「ほう……どこの劇場だ?」
「え、エンディオン劇場だよ」
「それは楽しかっただろうな、あそこには売春施設もあるし、なんならベッドルームがあって、クラリーナとしけこむことができるからな」
「違う! 誤解だ、ほんとに劇を見ていただけだ、彼女は仲のいい友達なんだ」
「友達ねえ……」
そう言うとメリッサは僕の体のにおいや、服装の乱れをチェックした。頼む、ここは通させてくれ、神様、助けてくれ!
彼女の取り調べが終わると、メリッサはため息をついた。
「──なんだシロか、せっかく日ごろの恨みを込めて、切り刻んでやろうと思ったが残念だな」
よかったセーフだ! セーフ! 危なかった、もしクラリーナを何かの間違いで抱きしめてたりしてたら僕は八つ裂きにされてた。危ない、危ない。
「だろ、僕が浮気なんてするわけがないじゃないか、信用がないな、僕は一途なのに」
「調子に乗るな!」
その刹那メリッサは僕の足を引っかけて、ベッドに押し倒す! そして彼女は、僕の上に馬乗りになり、剣をかざしながら、サディスティックに笑みを浮かべた。
「佑月、お前には、二度浮気されたからな、一度は日向直子、二度目はクラリーナ、そろそろお仕置きが必要だな」
「何言ってるんだ! 僕は何もしてないじゃないか!」
「嘘つけ、お前心の浮気をしてただろうが」
「へっ……!?」
「気づかないと思っていたのか、随分と私を見くびってくれたものだな、こう見えても私は女だぞ」
「いや、どうみても、女です、素敵な女性です、大切な妻です!」
「そうか、なら、お前の体でたっぷりと、私の女の魅力を刻んでやらないとな──」
「ひいぃ!」
そしてメリッサは僕の鼻をつまみ無理やりキスをしてきた。この恐怖と濃密な夜中でたっぷりと幼な妻に調教されてしまったのであった。
「あー! パパ、どこ行ってたの!」
「え……」
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ふと気が付くとナオコがじっとこちらを眺めていた。な、何だ……。するとナオコがブスっとした顔で声をかけてきた。
「で、誰と行ってたの?」
「だ、誰って何のことだい」
「とぼけても無駄! パパ現地語しゃべれないでしょ、戦闘があった感じしないし、どうやってこんな遅くまで時間つぶしてたの、絶対だれか一緒にいたでしょ」
「えっーと、適当にそこら辺をぶらついて……」
「──なるほど、ごまかすということは女だな」
こいつ! 絶対、5歳児ぐらいの幼女じゃないだろ。端々に感じていたけど、年齢絶対かなりいってる。幼児の考える想像力を超えてるぞ。
「で、だから誰なの?」
「えっとルミコはどこかなー」
「寝てるよ、で、誰?」
「えっと……」
僕が答えを出さないでいると、ナオコは僕の体のにおいを、かぎ取り始めた。そして一言。
「……クラリーナだな」
「──違う! 彼女とは何もなかった、信じてくれ、本当だ!」
僕が動揺してメリッサのために用意したセリフをナオコに対して言ってしまった。驚いた顔をしてすぐさま瞳に涙を浮かべるナオコだった。
「うわーん!!」
そしていきなり泣きながら僕から走り去ろうとしていた。
「ま、待て! ナオコ」
だがナオコは途中、騒いでいるのを聞きつけたのか、ミーナの腹に顔をぶつけ、そのままうずくまり抱きしめた。
「ど、どしたの、ナオコ」
「ミーナ聞いてよ、パパ浮気したんだって!」
「最低―」
「最低だよ!」
ミーナがジト目でこちらを見つめている、違うってば、何もしてない、何もしてないから!
「ねえ聞いて、ミーナ、しかも相手クラリーだって!」
「はっ? メリッサさん勝ち目ないじゃん、なんで?」
「知らない、どうせパパはボンクラだから、ママ以外好きになる女の人なんていないと思ってたけど、最近妙に色気づいて、女が寄ってくるし、適当に口説いてるし、しかも、クラリーだよ、クラリー!
スタイル抜群だし、顔もきれいすぎるし、性格もいい! ママと大反対だよ!」
おい、僕のことをディスられるのは仕方ないけど、メリッサまで下げてないか。一応良い女だぞ、性格がきついのと、言葉が男言葉なだけで。料理だってうまいし、可愛いし、口だけで面倒見いいし。
「パパは、絶対最後までいってるよ、これ!」
「あーあ、性欲か、童貞のくせにね」
「童貞卒業しちゃったよ、パパが! もはや淫欲と、色情と、女の裸しか興味がないんだ。童貞のおっさんのくせに!」
「うわっ、きっついわー」
いやいやいや、最近頑張ってるぞ僕、加齢臭するとか、息が臭いとか、言われたことないぞ、いや、言ってこないだけかな……。ちょっと口に手を当てて鼻に息を吹きかけるが自分の口臭なんて全然わからない。と、年なのかな……。
「あーあクラリーがかわいそう、パパみたいな淫獣に襲われたんだ! じゃあなきゃ、クラリーなんて上玉が相手にするはずない! エッチな体を十分に堪能して味わったんだ。汚らしい、よだれを垂らしながら、服をびりびりに破いて、性欲のおもむくままにされたんだ!
そりゃあもう、ひどくトラウマになって、もはや男なんて大っ嫌い、信じられないわ! ってなるに決まってるよー」
「最悪だなあそれ、聖騎士なんでしょクラリーナ、確か処女だって決まりがあったはずだけど」
「処女!? さいって────!」
「さいっってぇ────!」
「いやいや、だから違うって」
「……ミーナ行こう、最低の淫獣浮気野郎をほっといて」
「そうだね、浮気がうつる」
「ちょっと待って違うぞ! 話を聞け、ナオコ、ミーナ!」
二人はすたすたと早足で立ち去ってしまった。明日絶対噂になるぞこれ、若干、築き上げつつあった僕の大人の男のイメージが……。
僕は恐る恐る、自分とメリッサの寝室を開けた、だが、中は真っ暗で何も見えない、明かりを手探りで調べながらろうそくを見つけようとすると、いきなり明かりがともり、メリッサが目の前に現れた、彼女は剣をもって切っ先を僕ののどに突き付けていた。
「随分と遅かったじゃないか」
そう笑顔で剣を輝かせながら、殺気を放っている。まずい! 最初っから怒りMAXモードだ、や、殺られる……! メリッサがゆっくり、ねっとりと低いハスキーボイスで尋問が始まる。
「どうだったか、クラリーナとのデートは、楽しかっただろ?」
「そ、それなりかな」
「まさか、こんな夜まで一緒にいるとは思わなかったぞ、信じた私がばかだったな」
「ち、違う、劇を見てたら時間を忘れていただけだ! 浮気とかメリッサを忘れていたとかそういうのじゃない!」
「ほう……どこの劇場だ?」
「え、エンディオン劇場だよ」
「それは楽しかっただろうな、あそこには売春施設もあるし、なんならベッドルームがあって、クラリーナとしけこむことができるからな」
「違う! 誤解だ、ほんとに劇を見ていただけだ、彼女は仲のいい友達なんだ」
「友達ねえ……」
そう言うとメリッサは僕の体のにおいや、服装の乱れをチェックした。頼む、ここは通させてくれ、神様、助けてくれ!
彼女の取り調べが終わると、メリッサはため息をついた。
「──なんだシロか、せっかく日ごろの恨みを込めて、切り刻んでやろうと思ったが残念だな」
よかったセーフだ! セーフ! 危なかった、もしクラリーナを何かの間違いで抱きしめてたりしてたら僕は八つ裂きにされてた。危ない、危ない。
「だろ、僕が浮気なんてするわけがないじゃないか、信用がないな、僕は一途なのに」
「調子に乗るな!」
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「何言ってるんだ! 僕は何もしてないじゃないか!」
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「へっ……!?」
「気づかないと思っていたのか、随分と私を見くびってくれたものだな、こう見えても私は女だぞ」
「いや、どうみても、女です、素敵な女性です、大切な妻です!」
「そうか、なら、お前の体でたっぷりと、私の女の魅力を刻んでやらないとな──」
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