瞽女(ごぜ)、じょんがら物語

滝川 魚影

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八 七年目の真実

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ななねんめのしんじつ


 タケが野口家を訪れたのは、七月十五日(旧暦)のことであった。
 明治に入ったが、まだ陰暦が使われていた。太陽暦が採用されるのは、これから三年ののちである。
 明治三年(一八七〇年)。
 七年が過ぎた、ということだった。
 思えば、早かった七年であるが、濃密に過ぎて、振り返ることすら容易ではなかった。 
 この日は、藪入りの前日。
 奥の間。
 親方のコト、隠居のセキ、目明きのヤスヨがタケを迎えた。
「ほんとうに、この七年間、大変にお世話になりまして、ありがとうございました。お陰様で、まだまだ未熟でしょうが、この日を迎えられました」
 背筋をスーッと伸ばして、タケは深々と頭を下げた。
 当たり前だが、商売柄、晴れ着がよく似合う。
 セキとコトに説明する意味もあろうが、ヤスヨが思わず口火を切った。
「今日は、すっかり芸姑さんの居住まいですねえ。きれいな藤色の着物で」
 セキとコトは頷く。
 想像は、どこまでに及ぶか分からないが、美しいことは十分に伝わる。
 模様は、御所解ごしょどきであった。
「今日は、名替えの事で、参りました」
 タケが先に本題を切り出した。
 高田瞽女は、修行七年目になると、晴れて芸名を付けられる。そのお祝いに、高田の瞽女さんが勢揃いで祝う。その日のために誂えた艶やかな着物を着て、三三九度の盃の儀式も行うというから、これは言わば、瞽女の嫁入りである。
「そう。どうしますか祝いほうは」
 儀式には、それ相応の支度金が必要になる。よって、その生家、親御の意向次第ということになるのだ。
「はい、もちろん、祝うことはやりますが、盛大なものは相応しくないと思っております。最初にお話したこともございますし」
 タケは、十年でハマを家に戻す約束のことを言っている。瞽女を一生貫き通すわけではないのだから、本格的な儀式は相応しくないと思うのであった。
「はい、それは、その家家のお考えだーすけ。分かりました」
「ただ、一つご相談があります。いつも相談事ばかりで申し訳ごいませんが」
「はい、何でしょう」
「祝いの唄の披露を、柿崎で行いたいと思うのです。これまで、ハマ、いやサトがお世話になった方々をお招きしまして。そういうことは出来ますでしょうか。大勢ではのう、こじんまりと」
「ほう、それは良い考えだ」
 そう言うと、コトは少し、考えをめぐらして、すぐに言葉を継いだ。
「そうだね、おタケさん、貴方がサトと一緒に唄披露するのはどうだらんかねえ」
 それは、青天の霹靂だった。
 野口コトという人は、本当に頭の回転が速い、とタケはつくづく思ったものである。
 こういうコトの提案があり、親子共演の名替え祝いの宴が、開かれることが決まったのであった。

 翌朝早く、母子は川船で関川を下る。
「なんだ、今朝は、言葉少なだね、帰るのが嫌なのか」
「いや、そんなことない」
「それなら、具合でも悪いのか」
「それもねえ。七年前のこと考えて」
「なんだ、思い出していたのか」
 サト(ハマ)は嘘をついた。
 本当に考えていたのは、春治のことだった。
 正月の藪入りの時は、運が悪かったのか、春治とは一度しか会えなかった。それに、その時でさえ、一言二言話を交わしただけだった。
 春治は、この年十四になる。
 いわば、思春期である。ハマの杞憂きゆうとは裏腹に、ただ春治は異性として、ハマを意識し始めたのであった。
「昨晩、親方と名替えの相談をして、特別にお許しを得たよ」
「それは、ありがとうさん」
「親方がさあ、母娘で、唄と三味線を披露すればいい、って言ってくれたよ」
「へえ、おっかさんとやるの私」
「なんだ、嫌かい」
「ううん、それはねえども、できるかなあ、て思うて」
「なんだい、できなきゃ困っろうよ、なんのために修行してきたのさ」
「そりゃそうだけど」
 そう返しながら、ハマはまた別のことを考えていた。
(春兄ちゃも聴くのかな)
 いや、来てくれないかもしれない、とハマは心配になった。そして前に、ツマ姉さんが言っていたことが、心に去来した。
「瞽女は、夫婦めおとにはなれねえ。これは決まりの事言うてるんでねえよ。例え決まりが無うても、目が見えんで、嫁が務まるかい」
 当たり前のことだった。
 しかし、ハマはしっかりと覚えていた。あの時、自分が春治に言ったことを。
 そして、例え春治が、そんなことをすっかり忘れたとしても、このまま疎遠になっていくことは、もっと恐ろしいのであった。
 また想いに沈み始めて、ハマはハッとなった。母が呼んでいた。
「ハマ、おい、どうした」
「あら、嫌だ、私ぼっとして」
「名は、決まったよて。親方と昨晩相談して」
「なんて」
「それは、まだ教えらんねえよ、お祝いの時の楽しみだ」
 夏の藪入りは、あっという間に終わった。
 ついに、春治はハマに会いに来なかった。ハマは正直、七年前に戻れば良い、と心から願った。
 高田に戻っても、しばらくはハマの心には穴が空いたようで、しばらくは稽古にも身が入らなかった。面倒見が良い、一番上のセン姉さん(三十一)がハマに珍しく発破をかけた。
「サト、音が死んでる。名をもらったからって、一人前ではでねえよ。ちゃんとやらんば」
「はい、姉さ、すみません」
 そしておよそ一月後、しいら漬漁づけりょうも終わり、名替えの祝いの日が来た。

「立浪」の大広間は、空き無く御膳が並べられていた。
 招待客は、高田野口家の親方、姉さたちのみで、あとは縁者なら誰でもござれ、という。
 それでも、せいぜい、二十ほどのこじんまりとした宴席である。
 昼九つ(十二時)丁度の開宴。
 待ちきれない客ばかりで、実際には昼前に、タケが挨拶に出た。タケの横には、主役のサト(ハマ)が座った。
 長く着られるようにと、タケがサトの晴れ着として仕立ててもらった振り袖は、あい七宝しっぽう柄である。
「本日は、大勢のお越し、ありがとうございます」
 二人は深々と頭を下げる。
「お陰様をもちまして、娘のハマも修行七年目を迎え、晴れて芸の名を頂戴することになりましたこと、これも皆様方の支えなくしてはならなかったことと、改めまして御礼を申し上げます」
 再びのお辞儀。
「高田の親方には、無理を申しまして、このように略式とさせていただきましたが、どうぞ料理に酒に、おくつろぎいただきまして、後ほど、ささやかながら、芸の名の披露と、少しの唄の披露とさせていただきます。今後とも、変わらずのご支援をどうかよろしくお願い申し上げます」
 挨拶後すぐに、熱いお吸い物が運ばれる。
 男たちには燗酒。
 料理は、旬の名残りの、鱪づくしである。
 お吸い物から始まり、お造り、焼き、天ぷら、酢入り。
 旬の終わりと言っても、朝どれの鱪料理は、格別のものであった。
 皆、宴の主意も忘れて、舌鼓を打つ。
 そして、四半刻(約三十分)過ぎた頃、披露が始まった。
 親方、姉さたちは座敷の前に勢揃いした。
「本日は高田より、サトのお師匠さん方にお越しいただきました。本当に、これまでありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます」
 親方にコト。
 一番姉さのセン。
 一番手引きのヤスヨ。
 二番姉さのタカ。
 二番手引きのハツエ。
 三番姉さのツマ。
 四番姉さのタミ。
 来ていないのは、隠居のセキ、そして三番手引きのシズエ、そして新入りのハル。
 挨拶を終え、コトだけが残る。
 いよいよ芸名の披露である。
「親方お願いいたします」
「はい、私は高田の瞽女、琴乃と申します。今日はお招きありがとう存じます。これより、サトの新しい名を披露いたします」
 横に座っていた、タケが半紙を掲げた。
 
(勝帆)

「かつほ、と読みます」
  広間内が、少しざわついた。
 「勝」は、母タケの芸名「佳つ江」から、「帆」は、一番に世話になっている「立浪」の家への敬意を表してのことだった。
 左の最前に座る辰治と、今町の弥平が真っ先に納得した声を上げる。
 そして、名の披露に続き、芸の披露である。
「それでは、勝帆より、お集まりの皆様へ名替えの芸の披露をいたします」
 親方、姉さたち、タケは中央から外れた。
 残された勝帆は、再びお辞儀をした。
「これからも、勝帆をよろしくお願い申し上げます」
 一番手引きのヤスヨが、勝帆の三味線を運んできて渡した。
「それでは、『くず子別れ』の一段目を披露いたします」


 ベーン シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン トントン トシャン シャン ン シャンシャン シャカトン シャントン シャントン シャントン トカトントカトン トカトントカトン トカトントカトン シャントン シャンシャン シャンシャン シャンシャン シャンシャン ジャントン ジャントン ジャントン
 さーればに アーよりては これに また
 いずれに愚かは 無けれども
 何新作の無きままに
 古き文句に 候えど
 ものの哀れを 尋ぬれば
 芦屋道満あしやどうまん 白狐
 変化に葛の葉 子別れを
 事細やかには めねども
 粗々誦み上げ 奉る

 ただ情けなや 葛の葉は
 夫に別れ 子に別れ
 もとの信太しだへ 帰らんと
 心の内では 思えども
 いや待てしばし 我が心
 今生こんじょう名残なごりに 今一度
 童子どうじに乳房を 含ませて
 それより信太へ 帰らんと
 保名やすなの寝つきを うかごうて
 差し足 抜き足 忍び足
 我が子の寝間にも なりぬれば
 眠りし童子を いだき上げ
 眼を覚ましゃいの 童子丸
 なんぼがんぜが 無きとても
 母の言うこと よくぞ聞け
 そちを生みなす この母を
 人間界とは 思うかえ
 人間界には あらずして
 まことは信太に 住みかなす
 再び花咲く 蘭菊の
 花の色にも 迷わせば
 千年近き 狐どえ・・・


 まだ若く高い声を、上手く抑え、それでも伸びやかに、心を込めた歌声は、まさに心を打つ熱演であった。
 一段目だけでも、四半刻弱(約二十四分)ほどもある。
 まだ聞き足りない、と拍手が涌く。
 タケが三味線を持って中央に進み出た。
「僭越ではございますが、高田の親方コト様よりのご了解をいただきまして、これより、私と勝帆とで、一曲差し上げたいと存じます」
 母娘初共演であった。
 再び、三味線の音を合わせる。広間は静まり返る。
「唄は端唄で、『夕ぐれ』」
 最初に佳つ江(タケ)が三味線を弾き出し、勝帆(ハマ)が合わせていく。

 夕ぐれに、ながめ見あかぬ隅田河
 月の風情を眞乳山まつちやま
 帆かけた船が見ゆるぞへ
 あれ鳥が鳴く、鳥の名の
 みやこに名所があるわいな

「よおっ」
 弥平が声をかけ、広間がざわめいた。
 姿を見せていない春治は、見に来なかったわけではなかった。
 いつもの障子の影、廊下から耳をそばだて、目を瞑って聴いていた。
 演じ終わると、しきりに頷き、そして笑みを浮かべた。
 真正面から聴くのが、どうも恥ずかしいのだ。その場所が春治の定位置であり、落ち着いて聴いて居られる場所なのだった。
 それに加え、この年十四になる春治には、憧れのお師匠さんと、十二になったハマの真正面で、唄を聴くなど、できはしなかった。唄が入ってこないと思うからだ。ちゃんと聴きたい焼き付けたい、と。

「良くできました、ハマ。いや勝帆」
「ありがとうさま」
「なんだ、あまり嬉しそうじゃないね」
「そんなことない。ところでおっかさん、春兄いちゃは見えるか」
「あら、見えねえども、後ろの方に居たんでねっか。さあ、親方とお姉さん方お見送りしんばね。あ、辰治さん、よろしゅうお願いします」
 そう言うと、タケは立って行き、ハマは取り残された。
 手引きの誰かも、いつもと勝手が違うかからか、すぐに来てくれなかった。
 そのほんのひと時に、ハマは、昔とは変わってしまったと感じたのだった。
 春治との距離を。
 その隔たりの感じがこの先も続いて行くのだろうと、なぜか諦めに似た思いを抱いたのだ。
 いつか、丸山組のキクが言っていた事をふと思い出した。いろいろな姉さが、別々な言葉で、同じことを繰り返し言ってきた。
(やっぱり、瞽女は夫婦にはなれない。それは決まりだからではなく、目が見えないからだ)
「さあ、カツホ姉さ、来てくんなせ」
 二番手引きのハツエだった。
 呼ばれ慣れない言い方に、一瞬戸惑ったハマであったが、手を引かれてはじめて我に返り、立ち上がった。
 そして、自分が「御瞽女おんごぜさ」になった事を改めて自覚した。
 それが例え、ハマにとっては、あと三年のことだとしても、重くのしかかった。
 そのことが、春治と自分の隔たりを象徴しているかのようだった。
 しかし、まだハマには本当のことが、まるで解っていなかった。
 その隔たり感そのものが、別の関係性の発芽であることを。
 自分だけが変わっていないと思い込んでいるハマ自身ですら、歳を重ね、多くの経験をして変わったことは否めない。長く柿崎を不在にし、記憶にすがっているせいで、独り取り残されたと思いがちなのだ。しかし、それは取り越し苦労に違いなかった。
 その証拠に、廊下の向こうから春治が、広間を出ていくハマを、輝く笑顔で見つめていた。
 その、一挙手一投足を。
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