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第11章 タイトルの罠、魔法にかけられて
ジョルジョ・ヴァザーリの罠
しおりを挟む現在、モナ・リザと呼ばれている絵画は、ダ・ヴィンチが亡くなってから約50年くらいの間は『ヴェールを被ったフィレンツェの婦人』というタイトルだった。
微笑みをたたえた、 その婦人が、モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)と言われるようになったのは、ジョルジョ・ヴァザーリが、『ルネッサンス芸術家列伝』にて、「ダ・ヴィンチは、ジョコンダ婦人を描いた」と具体的に人名を明記したから、他ならない。
タイトルを変更したのは、当時の権力者なのか?美術家なのか?何百年も経っている今となっては、真相は、明らかになっていないが、確実に言えることは、歴史そのものは、間違いだということである。
モナ・リザの案件だけではない。
ジョルジョ・ヴァザーリが、本に記載した内容には、物語的な要素が強く、史実として読み解くには、非常に誤りが多い。
しかしながら、美術関係者の多くは、その偽りだらけの文章のなかに、何らかの真実が隠されているのではないか?と、奮闘して研究してきたのだと推測している。
美術関係者が書かれたダ・ヴィンチ関連の本を読む度、ジョルジョ・ヴァザーリの名前は、必ずといっていいほど出てくる。
ヴァザーリは、こう述べているとか、ヴァザーリは、このような解釈をしただとか、ヴァザーリは、こう明言しただとか…正直、私は、彼の話には、うんざりなのに、美術関係者は、未だ、彼の話を少なからず信用しているところが恐ろしいと思った。
事実、ダ・ヴィンチは18世紀頃のヨーロッパにおいて、グロテスクな人間の代名詞のような見方をされていたのだ。
ジョルジョ・ヴァザーリの書いた書物が、ダ・ヴィンチの人格評価にどれほどの悪影響を与えたことか、今を生きる我々は知るすべもないであろう。
今は、色々な研究がされており、ジョルジョ・ヴァザーリの書いた書物は、半分は創作的、物語的な伝記であることが証明されている。
それが解っていながらもなお、美術関係者は、未だジョルジョ・ヴァザーリにこだわり続けている。
ことダ・ヴィンチに関しては、芸術面では最高の賛辞を現すも、まるで、性格破綻者のような扱いで書かれたヴァザーリの数々の記述を、個人的に、私は赦せない。
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