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生物兵器について
何でこんなに詳しいんだろう?みんなもそうですか?
しおりを挟む田辺敏雄は、こういった中帰連関係者などの証言について、撫順戦犯管理所での「教育」によって「大日本帝国による侵略行為と自己の罪悪行為」を全面的に否定(自己批判)させられた者の証言であるとして、信憑性を疑問視している。
上田弥太郎は手記の中で、人体実験を行った時の様子を次のように描写している。
すでに紫藍色を呈して冷たくなりかかった手が入口に出された。私は嬉しさと勝利感でいっぱいだった。
「班長は、どんなに結果を期待しているだろう」と言い表すことのできない興奮を抑えて、注射器を手に取った。
注射器はぷすりと鈍い音を立てて、肘静脈に刺された。赤黒い血液が注射器の中に吸い込まれていく。3cc~5㏄、彼の顔はしだいに蒼ざめ、もううめき声さえも聞こえない。
喉がひーひーと虫の啼くような音を立てている。耐え難い屈辱と憤りの眼は、まばたきもせず私は睨んでいる。 しかし、そんなことはどうでもよいのだ。だた10㏄の血液を採りさえすれば・・・、これがいわゆる研究に携わる者の悦びでありまた天職なのだ。
人の死の苦しみも私には何ら同情するに値しない。
手早く血液を処理し、再び監房の中を覗いてみた。
彼は引きつった顔を時々ピクッピクッと痙攣させて、呼吸も次第に浅くなり、チェンストーク氏呼吸(死の前に起こる呼吸状態)に入った。同じ運命にある同房者はたまらなくなったのか流れる水を汲んで、まさに逝かんとする同胞の口に注ぎ込んでいる。ああ、何という暴虐!」
生理学的実験
731部隊では、ガス壊疽実験、凍傷実験、銃弾実験などのように、人体を極限まで破壊すると、人体はどのくらいの期間持ちこたえることができるのか、あるいはそこからどのように治療すれば回復させることができるのか、といった生理学的な研究も頻繁に行われた。こういった実験は、731部隊以外の陸軍病院などでも行われた。
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