36 の世

鏡子 (きょうこ)

文字の大きさ
上 下
121 / 183
記憶の確かめ

記憶の蘇り

しおりを挟む
『前世からの誘い』より

『眠る女』鏡の真実
  2011/02/17 16:57


私の書くストーリーは、センチメンタルな過去世の話に終わらせてはいけなかった。 
私には、どうしても想い出さなくてはならない言葉があった。 

『眠る女』の鏡が塗りつぶされた真相を想い出して 
私の記憶は、さらに蘇る。

私が想い出したのは 
《レオナルド・ダ・ヴィンチの再来》という言葉

実は『眠る女』は、フェルメール作品において、高い評価を得ていない。 

ある美術評論家は、こんな風に酷評していた。 

『眠る女』に描かれある黒い鏡は試行錯誤の現れであると… 


あの部分に黒い鏡が置かれてしまったことで、絵に対するイメージが全く異なるものとなった。 
フェルメールは、空間に奥行きを持たせる…いわゆる遠近法の工夫を二つ施した。 
一つは、【半開きにしたドア】
もう一つは【奥に置かれた、透明で精密な鏡】

全ては計算されたテクニックだった。 

あの位置に 
あの場所に 
鏡を置くと 
遠近感が数十倍に膨れ上がる。

絵画の奥行きは、より広がりを見せる。 

それくらい 
あの鏡は、重要だった。 

その鏡を 
あえて… 
黒くした。 

せっかく半開きにしたドアを描き空間に奥行きを持たせる工夫をしたのに 黒い鏡があることで 奥行きが狭められてしまった。 

しかし 画家には 
娘の来世に託した 
ある切実な願い
そのほうが
大切だった。 

娘の生まれ変わりは
きっと、黒い鏡の真実を、想い出すに違いないと思った。

そして同時に 
レオナルド・ダ・ヴィンチの再来という言葉も想い出すであろう、そう予言した。 

そしてフェルメールは、ある有名な絵画の謎を解く鍵となる絵を 

2枚描いた。 
『ギターを弾く女』

そして 
『手紙を書く女と召使い』 
フェルメールは亡くなる直前、3枚の絵を手元に残していたと、美術史にある。 

それは 
『絵画芸術』と 謎解きの鍵となる、先ほどの2枚。 

フェルメールは、現実としてレオナルド・ダ・ヴィンチの生まれ変わりだった。 

絵画を紐解いていくと 
『モナ・リザ』へと誘われる。 

フェルメールは、たった10歳しか生きられなかった娘の来世に 
モナ・リザの謎解きを託したのだった。
しおりを挟む

処理中です...