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赤ちゃんの記憶
I先生に送ったFAX 3
しおりを挟むその冷たさに、自分は生きているのだなと安心して眠りに着いた事もあります。
ある時は、こういう会話をしました。「私、寝るばかりで、つまらない。」お手伝いの天使は、答えました。「今は、しっかりと寝なさい。そのうち、嫌でも苦労するから。」私は、人間とはコミュニケーション出来なかったけど、傍らに、いつもお手伝いの天使がいてくれるので、満ち足りた気持ちでいました。
目が、うすぼんやりしか見えていなかった頃の記憶です。私の楽しみは、光の世界を楽しむ事です。丁度、私の頭上に四角い形の蛍光灯がありました。私は、目を全開に開けます。そして半分に開けます。さらに、薄めをします。私は、その都度違う光の変化が楽しくてなりません。私は、くる日もくる日も、蛍光灯を、眺めていた事を記憶しています。
光の世界、それ以外にも楽しみがあります。掛け布団の端に唇をくっつける事です。くすぐったいような、なんだか気持ちの良い感覚です。す~っと線を引くように唇をずらします。とても気持ちが良いのですが、母が来たら、布団を首の下くらいに下げられました。唇に布団が届かない時は、しょうがないので、また蛍光灯を見る事にします。そうしていくと、だんだん眠くなりました。
ある日突然、自分の名前は「ちえ」である事を知ります。何度も何度も「ちえ」と呼びかけられていたからです。
「あ~今度の名前は、ちえなんだな。なんだか違う感じがするな~。昔の名前は何だったかな?思い出したい。でも、思い出せない。」そう思った記憶もあります。
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