訳あり能力者 妖能の彩華 (彩華は謎の組織からの依頼により、ドラゴン等と対決をする。)

ヨシオ ヤマモト

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3E 謎の三角海域

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 E-1  亜香里の喧嘩 幼馴染と喧嘩
 E-2  原発停止とミサイル 地震  ミサイル消滅
 E-3  謎の三角海域 バミューダトライアングル
 E-4  ビル崩壊 東京でビル解体中の事故
 E-5  プログラムと闘争 プログラム講習  再びアメリカへ  米主義と闘争

 
 E-1  亜香里の喧嘩

正月も明けた一月のある日、彩菜と亜香里は街に出ている。
買い物も済み、二人は駅前の喫茶店に寄った。
「彩菜、山雅さん達は、元気にされてる?」
「気になるの?  あの人は元気だよ。だけど、あの人は、お姉ちゃんのだからね?」
「そんな意味じゃ無いよ。雰囲気に、何か違和感を感じるんだよ?」
「悪い人では無いよ。」
「それは、分かってるんだけど。」
「あの人は、気にするだけ無駄だよ。まだまだ隠し玉が有りそうだよ。」
「えっ、そうなの?  あんなに大人しそうな人なのに?」
「そう。考えるだけ無駄。」
二人は、その店を出て駅の方に歩いている。書店に寄る積りであった。
その時、駅の方から来た、数人の男達とすれ違った。
その中の一人が、亜香里に話しかけた。
「亜香里、 亜香里だろう?」
「えーと、誰だったっけ?」
「幼馴染を忘れたか?  隣に住んで居た康夫だよ。」
「小さい頃だからね、良くは覚えて居ない。」
「俺は覚えて居る。こっちへ来てくれ、話がある。」
「こっちへ来てくれるかな?  その方が話しやすいし。」
「駄目なんだよ、今は抜けられない。」
「じゃ、私も止めて置く。行こう彩菜。」
彩菜と亜香里は、駅の方に向かう。今度は、別の男が彩菜達の前に回る。
「来いと言ってるだろうが、お前も来い。」
「お兄さん達、私にも興味が有るの?  惚れられたかな?」
「煩い、一緒に来い。」
男が、そう言いながら、彩菜の肩を掴んだ。
「あんたこそ、煩いわね?  あんたには関係無いでしょうが?」
彩菜は、その男の手を取り、体に巻き込み足を刈る。男は宙に舞う。
「ぐっうー。」
当然、他の男は怒った。彩菜の顔を殴る奴も居る。彩菜は平気な顔をして、その男も投げ飛ばす。
「ぎゃっ。」
彩菜はついでに、近くの奴の足を刈る。
「うっつー。」
男達は流石に怯んだ。倒れた奴を引き起こし、路地裏に消えた。
「あの子も、消えちゃったわね?」
「奴等の仲間だった様ね?  それにしても、彩菜ちゃん凄い。」
「お姉ちゃんや山雅さんに、随分鍛えられてるからね?」
彩菜と亜香里は、改めて本屋に向う。

本当のところは、彩菜は殴られても、衝撃を感じない。彩華の能力が伝染っている。殴られたり投げられたりした時、身体が瞬間静止する。その瞬間の衝撃も無かった事になる。それは、基礎的機能の一部だ。


 E-2  原発停止とミサイル
 
今日は、秘密の組織から、彩華に電話が入った。
祥生は忙しいので、受け付けは彩華が担当している。
そこで、組織の仕事は彩華が受ける。それを、妹の彩菜が手伝う。
「彩華です。何か有りましたか?」
「さる国の原発実験炉で、冷却水の停止事故です。」
「最近、原発の事故が重なっていますが、偶然なんでしようか?」
「古い原子炉が、多くなりましたからね?」
実験炉、研究炉を含めた原子炉は、既に五十年超の物も多い。
さる電力会社の事故の様に、地震による事故も有る。
「今度の事故も、地震が原因の様です。制御系の電源が停止したので、予備電源に切り変えられたのですが、予備電源が起動しませんでした。本来は、外部からの電気を使うのですが、それも地震で断線していて、使えませんでした。」
「そんな話しを、以前に聞いた事が有りましたね?」
「予備電源は、定期的にテストはされて居たのですが、それも地震の影響を受けた様です。」
「それで、我々の仕事は何ですか?」
そこは実験炉でも有り、同じ建物内に研究施設が設置されている。事故当時、たまたま、その研究施設に、幾人かの研究員が居た。
「地震による建物の崩壊で、研究者が逃げられなくなりました。」
「そのぐらいの事でしたら、窓からでも、逃げられそうに思いますが?」
その外側にも施設が有り、直接には外へ出られなかった。その施設も崩壊しかけて居り、通れなくなっている。
「唯一の通リ道は廊下です。そこは放射能が強くて出られません。」
「重機で建物を壊せば、出られるんじゃ無いでしょうか?」
「建物自体かなり壊れて居て、今にも崩れそうで、重機は使えません。」
「分かりました。すぐ用意します。」
彩菜も祥生も行けると言う事で、三人で行く。
今回は、アジア支部から行く事にした。放射能が有るのなら、愚図々々して居れない。もちろん、そんな支部は無いのだが、瞬間移動で跳ぶ。
「この間から誰かに窺われている。そんな気配が有るから、用心して。」
「瞬間移動の時は、気をつけなくっちゃね?」
「一応、妖視で広い部分を見ているが、今迄は大丈夫と思う。」
「分かった。全体的に用心をした方が良さそうだね?」
その場所は、中東圏の軍事国家で有った。本来は、そんな所へは行きたくも無いのだが、一般の研究者が被害にあっている。現地に着いた二人は、そこの担当者と話している。
「その部屋自体は、放射能は無いんですね?」
「あまり入っていない。お陰で強行策は、やらないで済んでいる。」
平面図を見ると、壁を三箇所抜けば、比較的安全に外部に出られる。
しかし、建物の被害が大きく、無理に壁を壊せば、建物自体が崩壊する。
「彩華、この現場は瞬間移動が使えない。人目を避けられる所が無い。」
「山雅さんと私で、代る代るに支えるしか無いわね?」
「僕達が中に居れば、天井は落ちないけど、後で天井が落ちる。」
彩華は、その場の担当者に告げた。
「私達は、特殊機能服を着用して居ますので、放射能を相当防げます。
今から二人で入ります。研究者は三人でしたね?」
「君達で大丈夫なのか?」
「私達は、特殊機能服を着けているので大丈夫です。」
「彩菜、誰も入らないように気をつけてよ。一般人には命取りだよ。」
「分かってる。」
二人は、大急ぎで部屋を見て回った。やっぱり、あの壁を抜くしかない。
研究室に着いた二人は、彼等に告げた。
「今から、部屋を出ます。放射能の少ない部屋を、二つ通りますので。」
研究者に平面図を見せて、納得をさせた。
本当は、彩華や祥生の保護範囲に居れば、放射線は届かないのだが、これは説明する訳にはいかない。彩華と祥生は、研究者三人を伴って、部屋の壁に近づく。
「穴を空けるから、彩華は其処に居てよ。」
祥生は、小声で彩華に囁いた。
「了解。」
穴を空ける時には、彩華か祥生が必ず部屋に残る。どちらかが部屋に居れば、天井は崩れない。穴を空けた瞬間に、壁を抜いた者が、そのまま隣の部屋に行き、その部屋を支える。
彩華や祥生は、半径10米迄の範囲なら、物質を消去する事も、支える事も出来る。それが基礎能力で有る。幽能力なら20米、妖能力なら40米になるが、その特殊能力は、普通は使わない。
「山雅さん急いでよ。部屋が危ない。」
「よし空いた、こちらへ抜けて。ギリギリ間に合ったな?」
そして、次の部屋の壁は、彩華が抜く。
「穴が空いたよ。こちらへ来て。」
その時、前に居た部屋の天井が崩れた。ドーンと音がした。
「彩華そこに居てよ。外部との壁を抜く。よし、外へ走れ。やばい。」
今居た部屋が、崩れる音がしている。
「間に合った。ギリギリだったね?」
本当のところは、穴を空けた時点で崩れ掛けて居た。しかし、彩華か祥生が部屋に居た為、天井は落ちないで居た。彼等が部屋を出た端から、部屋は崩れた。他の人から見れば、ギリギリ間に合った様に見えている。
穴を空ける時に使った、小さな道具に、疑問の声が有ったのだが、組織の特殊装置だと誤魔化している。

その頃、何処かの国の軍事組織で、議論をしている。
「あの国の原子炉は危ない。プルトニウムが蓄積している。これ以上増えると、原子爆弾に利用される。」
「今の内に潰すしか無いか?」
「やれ!  躊躇している隙は無い。」
これは、彩華達が居る国に、敵対している国での話である。
「山雅さん、北の方から、大きな物体が発射された。ミサイルと思う。」
「どっちに向いている。害意は感じられるか?」
「敵意が、真っ直ぐ向って来て居たけど、今は消えている。」
「それなら、既にミサイルは消滅している。」
この件は、彩華や祥生のグループに向けられた物では無く、この国の原子炉に向けられた敵意だ。しかし、たまたま、彩華や祥生達が居た為、その防御機能が働き、ミサイルが消滅した。
この現象は、何処にも証拠も無く、ミサイルが一個、失われただけに終わった。その国の科学者は、敵国の原子炉で、プルトニウムが蓄積されるのを、危険だと感じていた。そこで、原子炉自体を壊す作戦が立てられた。
やっと、その実行が行われたのだが、何故か失敗してしまった。
その原子炉が、回復不能と言う情報は、その軍部には届いて居なかった。
結局、その作戦は無駄に終わった。
「将軍、ミサイルの報告が届きません。」
「失敗したと言うのか?」
「その様です。しかし、ミサイルの行き先は、報告が有りません。」
ここは、ミサイルを撃った国の軍司令部だ。ミサイルは発射されたが、行方不明になってしまった。
「ミサイルの行き先ぐらい、監視をして置け。」
「レーダーに写っていましたが、この防空圏内で、突然消えました。」
「あの国に、そんな技術が有ったのか?」
その国の軍部には、原子炉事故の情報は伝わって居なかった。その国は、原子炉を狙ったのだが、そんな事をしなくても、原子炉は壊れていた。


 E-3  謎の三角海域

ある日の事、例の組織からの電話だ。今は、組織からの電話は、彩華が受ける。
「山雅さん、又、妙な事件だよ。」
「今度は何だ?」
「謎の三角海域で、船が一隻、行方不明になった。」
今度の事件は、所謂、バミューダトライアングルでの事件だ。乗員だけ居なくなったとか、飛行機が行方不明になったとか、謎の多い海域だが、現在は、その事件の殆どが、解明されたと言われている。ただ、事件自体が怪しいものも多い。
「あの海域は、ハリケーン等も多くて、昔の船なら、遭難も多かった。」
「今回のは現代の船だよ。レーダーも有る。それが遭難したから問題になった。」
「それを解明するとなると、かなりの難題だね?」
「今回は、南米支部から行く事になる。南米からなら大分近い。」

今回の三角海域とは、フロリダ半島の先、プエルトリコ、バミューダ諸島の三点を結んだ三角海域だ。所謂バミューダトライアングルである。
「天候が穏やかなら、小型船でも小型飛行機でも、廻れそうだけどね?」
「比較的穏やかそうだから、小型船を廻して貰おう。」
彩華、彩菜、祥生の三人は、組織の小型船で、トライアングルの、中央付近に行ってみた。
「ちょっと止まって。」
彩菜の言葉で、船は止まった。
「あの浅瀬に沈んでいるのは、探している船じゃない?」
沈んで居る船は比較的新しい。依頼の船に間違いはない。
「山雅さん、ちょっと来て。」
彩華が、隅の席に祥生を呼ぶ。
「山雅さん、海の方から意識を感じない?」
「本当だね、微かに人間の意識を感じる。」
その意識は微小だが、人間の意識には違いない。
「妖視で見たんだけど、海底から、数十メートル下に居るよ。」
「洞窟でも有るのか?」
「洞窟では、水が満ちてるよ。何かの建造物だね?  形が真っ直ぐや直角だよ。」
これは、科学的にも大問題である。  こんな場所に、人工物が有るなんて聞いた事が無い。それも、海の底から、まだ数十メートルもの深さだ。
「人間の意識が有るのは、生きている証拠だ。あそこには空気が有る。」
「私が行ってみる。あの人達が生きてるのなら、私も大丈夫な筈。」
彩菜が、そんな風に言う。彩菜は、中々行動的な性格である。
そこには、空気を貯蔵する装置が有る。それが自動で動いている。気圧の調整装置も有る様だ。そんな装置まで有るなんて、何とも胡散臭い話になっている。いつの時代に造られた物だろうか? 第一、空気は何処から補充しているのだ
「彩菜、人目の無い所に頼む。危ない様なら、瞬間に戻ってきて。」
「分かった。注意する。」
彩華と祥生の身体で、彩菜が消える所を隠すが、どうせ船員の意識消去が必要になる。

この惑星に、人類史も無い時代、太陽系に、何処からか外惑星が紛れ込んだ。このままでは、何処かの惑星に衝突する。
「侵入した惑星は、分解するしか無い、将来、あの大惑星に衝突する。」
「あの勢いで衝突すれば、この惑星も危ないぞ。」
そんな事になれば、この太陽系が危ない。希少な知性体の芽も消える。
それやこれやで、迷い込んだ惑星は、破壊される事になった。

「この三角地域は沈下している。これ以上は保たない。エネルギーを使い過ぎた。」
「下手をしたら、横の二つの大陸にまで、大損壊をもたらすぞ。」
この地域は、三角の頂点三つと、中央点との四ケ所から、エネルギーを放射している。その地域に掛かる負担も大きい。
「後はアトラ大陸とムーン大陸に任せろ。その二つの大陸なら、沈んでも被害が少ない。」
「アトラ大陸とムーン大陸の 技術者達は、機動船に戻れ。」
「最後の力場を起動させるぞ。三角地域内は解除、アトラの基点とムーンの基点は、最大力場稼働。」

その措置の結果、アトラ大陸とムーン大陸、そして三角地域は、それぞれの大洋に沈んだ。そして、侵入した惑星は、無数の小惑星に分解した。
この惑星の地軸も変わった。移住していた他星人達も、何処かへ消えた。

「その構造物は別の謎としても、船の乗員が無事だったのは、非常に幸運だった。」
船の沈んだ下の地下構造物に、幾らかのエネルギーが残って居た。
その構造物は、移動式AI で、常に補修工事が進められていた。
それで空気の補充もされている。そのエネルギーの異常稼働で、船が沈められたが、その乗員達は生きていた。乗員達は、自動で地下の部屋に転送されたのだ。技術的な瞬間転移だ。この技術の謎は、後の歴史に任せる。
「彩華、その乗員を、妖能で、この船に戻してくれ。部屋を用意した。」
「そうすると、後で、記憶消去が要るわね?」
彩華は、地下に転移をされた船員達を、瞬間移動で船に運んだ。
「彩菜が地下に行ったのも、記憶操作で、誤魔化さなければならない。」
「船の乗員も記憶消去が必要だし、報告書も誤魔化す必要が有るわね?」
今回は、かなり面倒な事になった。あれやこれやと、誤魔化さなければならない。普通の人間に、理解される様な話に、する必要が有るのだ。


 E-4  ビル崩壊

「山雅さん、緊急事態だよ。組織から連絡が来た。東京の真ん中だよ。」
彩華の話によると、古いビルの解体に失敗した。そのビルは斜めに傾いて、止まっている。その上、点検に入った技術者が、再崩壊で、地下に閉じ込められた。
原因は、少しずつ壊していた壁が、大きく崩れ過ぎた。それを調査に入った技術者が、再崩壊で閉じ込められた。そのビルは六階建てで、そんなに大きくは無いのだが、とにかく古い。今はビルが斜めになった状態だ。
ビルは不安定な状態で、重機の振動も怖い。周囲の避難は終わって居るが、それ以上進められない状況である。
「鬱陶しい状況だ。中に人が居る限り、強引には進められない訳か?」
「そうだね、彩菜も必要かな?」
「近いから、一緒に連れて行こう。」
彩華は、彩菜に電話を入れた。
「彩菜、行けるかな?  東京なんだけど。」
「ちょっと、調整して見る。折り返し電話をする。」
しばらくして、彩菜から返事が来た。
「亜香里を連れて行っても、いいかな?」
彩菜も行けるようだが、亜香里も一緒に行きたいと言う。場所が比較的近いので、祥生は、亜香里の同行に許可を出した。出来れば、夕方の新幹線に乗りたいと言う事で、皆んな、急いで用意をしている。
「間に合ったな?  あっちのホームだ。急ごう。」
「ギリギリだったね?  早く助けないと、中の人は不安だろうね?」
「難しい状況だ。夜の内に片付けば良いんだが、ちょっと無理かな?」
「頑張って見るしか無いね?」
亜香里が居るので、余り詳しい話は出来ない。取り敢えず着いてからだ。
新幹線に乗り、三時間で東京に着いた。後はタクシーで20分程の所だ。
「やっと着いた。あのビルだね?  どうする?」
「それとなく様子を探ろう。彩菜、亜香里さんとで頼む。」
「了解。亜香里、付き合って。通りがかりの振りをして、様子を探る。」
彩菜が聞いて来たところでは、調査員が残されているので、それ以上の爆破も出来ないし、重機も使えない。人の手では、工事人自体が危ない。
「彩華、ちょっと来てくれるか?」
亜香里には、まだ言えないので、彩華を近くへ呼んだ。
「彩華、何処に居るか探ってくれ。」
「えーっとね、あそこの下辺りかな?  三人固まってる。」
「彩菜、ここは危ない。又二人で、外の様子を見て来てくれるか?」
「わかった。亜香里行こう。この辺りは危ない。」
「誰も居ないな?  彩華、ここ迄瞬間転移を行う。三人を運んでくれ。」
彩華が、三人を移動する間、祥生は、その辺りの空間を維持している。
祥生が、そこに居る限り、ビルが崩れる事は無い。彩華は三人を安全圏に出し、記憶を若干消去した。祥生は、その辺りを、コンクリートの残骸で覆った。
「良く出られましたね?  危ないところでした。」
「良くは覚えて居ないのですが、何か音がして、気がつくと、ここに居ました。」
「私が来た時、何か音がしたんですが?」
彩華は、消した記憶を適当に誤魔化している。
「よし終わった。皆んな消えるぞ。」
「助けられたの?」
「私達が、外を警戒している内に、終わったようね?」
彩菜が、亜香里に説明している。皆んなは、そのまま外に出た。
皆が集まったところで、祥生が提案をする。
「久し振りの東京だ。東京タワーでも見ながら、食事にするか?」
「そうだね、お腹がすいたね?」
皆んなは、繁華街に出て、レストランを探す。


 E-5  プログラムと闘争

一月の或日、ジョーから連絡が来た。今度の日曜に放送が有ると言う 。
テレビの公開会場での談話会だった。教育省から一人と、後は一般人五人である。

「今から談話会を始めます。まず、出演者を紹介致します。教育省のジョンソンさん、プログラム塾のジョーさん、出版会社からミランダさん、その他に抽選に当たられたマイクさん、同じく吉田さん、同じくカンターさん、合計六人の方をお呼びしています。今日は、プログラム教育の問題について、意見をお願い致します。」
「教育省のジョンソンです。今迄は学校にお任せしていましたが、プログラムに付いては、教育省としましても、少し力を入れたいと考えて居ります。」
「それでは、それらの教科書を、指定すると言う事ですか?」
「いえ、そこ迄は出来ません。教科書副本の推奨に留めます。」
「その候補は決まっていますか?」
「一冊は決まりそうですが、後二冊ぐらいは推奨したいと思っています。」
「その一冊は、どんな本ですか?」
「まだ決まって居ないので、公表出来ません。変わる可能性も有ります。」
「私も噂は聞いています。著者は日本人らしいと言う話でしたね?」
「私は、日本人の書いた本を、塾で使っていますが、非常に解りやすいので、重宝しています。初歩は解りやすくないと、教えるのに苦労します。」
「何故日本人なんですか?  アメリカ人の書いた本も有るでしょう?」
「まだ決まって居ないので、何とも言えませんが、何処の人が書こうと、初歩の人達が、理解出来る本を選ぶべきでしょう?  その自由がアメリカの強みです。」
「それには私も賛成です。アメリカは自由の国です。それによって、世界に先駆けて、成長して来ました。」
「私も読んでみます。読まなくては、批判も出来ませんので。」
色々と意見が有ったが、取り敢えず読んで見る、と言う意見が多かった。

彩華と祥生は、アメリカに来ている。解説書の採用が増え、講習の頻度が増えた。夕方に、ミドルスクールの講習も終わり、今晩は暇がある。次の学校へは、明日の朝から動く。
「暇だねえ、街のカフェにでも行きたいけど、危険かな?」
「そう毎度毎度、騒ぎに巻き込まれるとは、思えないんだけど?」
「覚悟して、出て見ようか?」
今日は、街のカフェ迄無事に着いた。お茶を飲んで、そのカフェを出た。
ウインドウを眺めながら、街を歩いて居ると、変な男達に絡まれた。

「おい、山香ヨシオだな?  まだアメリカへ来ているな?  日本へ帰れ。」
「大きなお世話。契約先に呼ばれたら、来ない訳にはいかないんだよ。」
やはり、何処かから、祥生たちの行動が漏れている。そうでないと、こんな所で、こいつ等と遭遇する筈が無い。
「俺達にも俺達の立場がある。お前達を見逃せられん。帰らないなら覚悟しろ。」
前に居た黒人が、彩華に飛び蹴りを掛けた。それを彩華は腕で止める。
次は後ろからの回し蹴りだ。それは、祥生の足が止める。
その時、彩華が横に動いた。その空いた位置にナイフが流れた。
「天翔流奥義翔武!」
「天翔流奥義翔武!」
彩華と祥生が、奥義を唱える。態々唱えずとも、奥義は自動で起動はしている。ただ、その奥義には、何か怪しい動きが有る。そこで、武術奥義を強調する。
少し遅れて、祥生が、左に動く。祥生の脇を弾がかすめる。
「彩華、拳銃に撃たれても、傷は付かない。逃げる振りだけで良い。」
祥生が彩華に囁やいた。彩華は、それにうなずく。
それからは、ナイフに銃に、回し蹴り、飛び蹴り等、攻撃の嵐だが、彩華と祥生に届いたものは無い。本当は、銃の弾が当たった可能性は有るのだが、弾は身体に触れた時点で消滅する。二人には、自保護能力が基本としてついている。それが有る限りは、銃ぐらいでは傷もつかない。
「おまえ等は何なんだ、あの攻撃から、何故逃げられる?」
「古い歴史の国には色々と有るんだよ。君達に、この術は破れないよ。」
「歴史から言えば、我々の先祖の方が古いだろうが?」
「我々の国は、文字で残って居ないだけで、神話の時代が長いんだよ。それに、君達の国々は、人種の混ざり合いが激しく、体質や精神の変換が早いので、失われた術が多い。」
「そんな話を誰が信じるか?」
「別に、信じなくていいよ。」
男達は、気に入らない様子だが、攻撃が届かないので、とまどっている。
彩華と祥生は、男達を残して、その場を離れた。
「ホテルへ帰ろうか?  やる気が失せたね?」
「帰って、もう一杯お茶を飲もう。」
後は、ホテルのカフェで時間を過ごした。
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