訳あり能力者 妖能の彩華 (彩華は謎の組織からの依頼により、ドラゴン等と対決をする。)

ヨシオ ヤマモト

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3F ドラゴンの洞窟

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 F-1  亜香里 能力が伝染った模様
 F-2  大統領拘束 東南アジアで政乱 大統領拘束
 F-3  ドラゴンの洞窟 離れ島で怪獣を発見  知能有り
 F-4  白人に絡まれる 白人達と喧嘩
 F-5  再び白人達に襲われる 白人とアジア人が襲う WV関連

 
 F-1  亜香里

「あのね山雅さん、亜香里が変。能力が伝染ったかも。」
「あの子も戦闘術を習っていたんだったな?」
「うん、私より少し後輩。」
亜香里は、中学の中頃から柔闘術を習い始めた。
今日は、彩華、彩菜、祥生の三人で、お茶を飲んでいる。彩華と祥生は、来月から高校の二年生になる。
「亜香里は、まだ気付いて居ないんだね?」
「そうなのよね?  だけど、東京へ行った時、薄々感じて居たのかも。」
彩菜は、亜香里の友達でも有る事から、その気持が気になっている。
「もう少し様子を見るか?  それとも、テストをするか?」
「やっぱり、本人に確かめる。自覚をしているかも知れない。」
彩菜は、本人の感情を気にしている。
「それで東京へも、行きたかったのかも知れないね?」
「確認は彩菜に頼むわ。それが一番柔らかい。」
この件は、彩菜が確かめる事になった。伝染って居た場合、本人の感情がどう動くのか、それが難しいところだ。
次の日、彩菜は亜香里をお茶に誘った。そして直接聞いてみた。
「亜香里、最近体に異常は無い?」
「気付いてた?  ちょっと変なんだよね?  動きが軽いし。」
「やっぱり。気を悪くしないでね?  私達の能力が伝染ったのよ。」
「伝染ったって、病気なの?」
「違うわよ。その逆に、身体能力が上がっているのよ。」
彩菜は亜香里に、その状態を説明した。亜香里は首を傾げている。
そんな話をしていた時、男の声がした。顔を上げると、前に絡んだ連中が居た。
「この前は世話になったな?  今日はやられんぞ。」
「又、あんた達か、懲りない人達だね?」
「やかましい。表に出ろ。」
「お店に迷惑が掛かるね?  亜香里、外に出よう。」
彩菜は、亜香里を誘って店を出た。男達もついて出る。
「彩菜、大丈夫?  強そうな奴が居るよ。」
「大丈夫だよ。亜香里の柔闘術も通用するわよ。」
彩菜と亜香里は、柔闘術を習っている。異能が無くとも充分強い。
ましてや、保護能力が付いた時点で、身体能力が倍加している。
店の外に出た途端、男が彩菜の腕を取る。彩菜は振り外す。それでも掴みに来る。彩菜は、その腕を掴み逆手に捻る。男は痛さで後に倒れた。
「痛ってー。」
それからは、乱戦になってしまった。亜香里を殴る奴も居る。殴られた筈の亜香里は、平然としている。体もぶれ無い。痛さも感じていない。
「亜香里、柔闘術を掛けて見て。」
彩菜の声で、呆然としていた亜香里は、我に帰った。そして、殴って来た腕を取り、投げを打つ。男は簡単にぶっ飛んだ。一部始終を見ていた彩菜は、亜香里の感染を確信した。その後日、彩菜は亜香里の事を報告した。
「山雅さん、亜香里は伝染っているよ。この間の喧嘩で確信した。」
「そうか?  怒ってないかな?」
「それは無いけど、仕事を手伝うかどうかは、聞いてない。」
「今度、仕事が有ったら、誘って見ようか?」
「そうだねえ、探りを入れて見る。」
亜香里の件は、彩菜に任せる事になった。


 F-2  大統領拘束

ある時、東南アジアの某国で政乱が起こった。大統領が拘束されて居る。もし、意見の相違が有るとしても、軍を動かして迄やる事では無い。
民主主義を名乗る政府としては、正気の沙汰では無い。
祥生は、政治に介入する積りは無いのだが、大統領の拘束は行き過ぎだ。
大統領は、国民が直接選ぶので、民主主義の基本的な形だ。
「山雅さん、組織から電話がかかった。大統領の解放依頼だって。」
「すこし考えて見るけど、現地へ行く準備をしよう。」
「現場へ行かなければ、詳しい事情が分からないわね?」
「明日の朝に出られるか?  彩菜、亜香里はどうかな?」
「内諾は取ってるけど、明日の分はどうだろう?  聞いて見る。」
今度の依頼は少々難しい。軍隊の中に潜入しなければならない。初心者の亜香里が、対応出来るかどうかだ。能力が伝染って居れば、生命の心配は無いのだが、精神力が保つかどうかだ。彩菜と亜香里を組ませて、陽動に回すか等と、祥生は考えている。彩菜の話によると、亜香里は行きたい様子だ。経験を積むには良い機会なのだが、今回の現場は少々厄介だ。
「今回はドローンを使う。彩華に操縦をして貰う。」
これは、ドローンの様な形をしているので、ドローンと呼んでいるが、機能は自家用飛行車である。
「私が操縦をして、亜香里がその補助だね?」
彩華が、役割りを確かめる。
「そう言う事になる。僕と彩菜は大統領を救出する。」
「放課後、事務所に行けばいいのね?」
「それで良い。その時分に、僕も行く。」
今回は、アジア支部から行く事にした。組織にはその様に言ったが、実際には日本から瞬間転移で跳ぶ。普通の交通手段を使うと、現場まで一日掛かる事も有る。その為、市内に事務所を借りた。瞬間移動の適地が無い場合は、そこから跳ぶ。

「時間がちょっと早いが、夕食を取って置こう。いつ動けるか予測が付かない。」
「大統領の居場所は、分かっているの?」
「大体の動きは追えている。今、最終の場所を確認している。」
今、彩華や祥生は、東南アジアに来て居る。少し早いので、情報収集をしている。
「彩華、近くの広場にドローンを呼んで居るので、準備を頼む。」
彩華は妖体を送って、現地の状態を探る。その画像を祥生にも送る。
「食事が済んだら、ドローンに乗っておく。亜香里も一緒に行くわよ。」
妖視で、捕虜の居場所が特定された。平屋の一軒家だ。反乱軍の拠点は、密林の中に有った。都市部では、軍隊の展開が難しいと考えたのだろう。
皆んなが、食事を取っている時、祥生が確認をした。
「大統領と接触する迄に、作戦を悟られたら我々の負けだ。」
「そうすると、とにもかくにも、悟られずに側に行く事だね?」
「側に行ければ生命は保護出来る。だから、悟られずに行くのが最低目標になる。」
「それじゃ、瞬間移動で行けば、いいんじゃない?」
「いや、人の多い所に瞬間は危ない。まだ見張られている。」
瞬間に行って瞬間に去れば、話は簡単なのだが、見張りの死角が無ければ、実行出来ない。瞬間移動を見た人間を、一人でも逃したら、そこから破綻が生ずる。そうすると、相当広範囲に、記憶操作の必要が生じる。
しかし、祥生達の能力は、そんな広範囲を想定していない。
記憶操作の範囲は広い方だが、経験で伸びたとは言え、高々500米だ。
他保護の範囲よりは相当広いが、目視では、もっと遠く迄見られている。
無理をすれば能力がバレる。その為、出来るだけ能力は使わないでいる。
こんな能力の存在を知られれば、世界が揺れる。
「そうか、簡単には行かないのね?」
「そうだよ。アニメのヒーローの様には行かない。」
一同は、食事を済ませ、日が落ちるのを待つ。夜でも、警戒が緩む事は無いのだが、闇が増せば、少しは侵入が容易になる。
「彩華、近くへ行ったら連絡する。ドローンの音で注意を逸らせてくれ。その隙間を縫って建物に張り付く。そして床下に潜ぐるか屋根に登る。」
「成程、了解。」
闇が濃くなり、祥生達は動く。そして、百メートルの位置迄近づいた。
祥生と彩菜は、農夫の服を借り、民間人の振りをして近づいた。
しかし、ここからは、それは通用しない。周囲に居るのは、軍人ばかりで有る。闇に紛れて、小屋の陰に隠れて進む。彩華と亜香里は、ドローンで待機中だ。三十メートル迄近づいた。祥生は、彩華に電話を入れた。
「彩華、西側からドローンを飛ばしてくれ。僕は、東から建物に入る。」
「了解。直ぐに行く。」
しばらくして、ドローンの音が聞こえて来た。殆んどの人が上を見る。
「彩菜行くぞ。小屋の陰を伝って、あそこまで走り込むよ。」
皆んなが、ドローンに気を取られている隙に、二人は床下に潜り込んだ。
床下なら、壁に穴を空けるより目立ちにくい。
祥生は近くの基礎に穴を抜いた。床下を這いながら、捕虜の気配を探る。
居た。この不安定な気は、捕虜の気配だ。祥生は、妖視で部屋を見ていたが、結論を出した。
「見張りは一人だ。僕が見張りを倒す。そして捕虜をドローンに送る。」
「分かった。直ぐ帰って来るんだね?」
「彩華、ドローンを近づけてくれ。」
彩華がドローンを、瞬間だけ、捕虜の居た家に近づけた。捕虜を、ドローンに乗せた様に見せる為である。実際は、瞬間移動で運ぶ。
祥生は、捕虜と見張りの間に、瞬間で跳ぶ。そして見張りの記憶を消す。
直ぐに彩華のドローンに、捕虜を瞬間転移する。
「彩華、頼むよ。あそこで一暴れしてくる。」
祥生は、数秒で彩菜の元に戻って来た。
「これから派手に逃げるよ。わざと見つかって、ジグザグに逃げる。」
「鉄砲は大丈夫だよね?」
「弾は、当った瞬間に消滅する。当らない振りをして、密林迄逃げる。」
弾丸が当たっても火花も散らない。敵から見れば、弾は当たっていない。
「分かった、やって見る。」
「ちょっと待って。この家の電線を切る。」
祥生は、近くの電線を切断する。一瞬周囲は真っ暗になった。
「行くぞ。密林迄走るよ。」
「分かった。ジグザグに走れば良いんだね?」
「無茶苦茶に撃って来るけど、大丈夫だから。」
敵は闇雲に撃ってくる。その中を二人は走る。一般人が居るのなら、保護層で誤魔化すのだが、能力者二人だけなので、とにかく走って逃げる。
このグループの能力者なら、最低でも自保護能力が有るので、自分の命は護られている。
「もう直ぐ密林だ。もう少し奥まで走るよ。」
「そろそろ大丈夫だね?  弾が来なくなった。」
それから暫く走って、祥生は止まった。
組織の事務所では、彩華と亜香里が、大統領をロープで降ろしている。
ここには、広場は無いので、ドローンは下ろせない。
「確認をお願いします。」
ドローンから降りた亜香里が、組織の人間に話して居る。
「大丈夫です。間違い有りません。」
「ドローンを置いて来ます。直ぐ戻ります。」
彩華は、そのままドローンで消えた。そして数分後、事務所へ戻った。
しばらくして、祥生と彩菜も戻って来た。
「今回は、大統領と見張りの記憶操作だけで済んだ。ラッキーだった。」
「そんな偉い人の記憶を、消しても良いのかな?」
「瞬間移動なんか見せられ無いって。それに、記憶消去は数分だけだ。」
「そうだよね、やむを得ないか?」
これで、この作戦は終った。組織の車で、近くの駅まで送って貰う。後は、電車でアジア支部に戻る。本当のところは、瞬間移動で日本に帰る。
「彩菜、周囲に人の目は無いな?  彩華、僕達の事務所にも、人は居ないな?」
「大丈夫。」
今回は、祥生が瞬間転移を発動した。

彩華と祥生は、今日から高校二年生になる。彩菜と亜香里は中学三年だ。
その四人は、式の帰りにお茶を飲んでいる。そこで彩菜と亜香里が話している。
「この間の事件は、刺激的だったね?」
「まあね、山雅さんの仕事は、あんなのばかりだから。」
「ドローンは初めてだから、びっくりだよ。山雅さん、突然現れるし。」
「だけど、完全に情報封鎖だよ。他言は無用と言う事。」
その時、祥生が言葉を出した。
「皆んなに、念を押して置く事が有る。」
「何なの?」
「彩華が言っていた事だけど、我々の能力は、他人に知らせる訳には行かない。」
「ヒーローになるんじゃないの?」
アニメや漫画のヒーローは、初めから超能力を見せて居る。それが、世界を混乱させる設定には、なって居ない。しかし、現実になれば、どうなるか解らない。
「大人気になるのは確かだけど、次に起きるのが妬みだ。その次が政治利用だ。次が、スパイや暗殺に利用しようとする、裏世界だ。」
「映画やアニメでは、大活躍だけど。」
「あれは娯楽だから、面白く作って有る。だけど、現実は裏世界からの誘惑だ。」
「山雅さんの言いたい事は、誘惑に負けるなって言う事だね?」
「ああ、その考え方で問題は無い。その誘惑を作らせない為にも、秘密にする。」
「山雅さんは、見た目の割には用心深いね?」
「いや、見た目のままだと思うけど?」
「いやいや、絶対にそうは見えない。」


 F-3  ドラゴンの洞窟

「ドラゴンの調査か?  今時そんな物居るのかな?」
「ドラゴンって、トカゲの巨大化した物でしょう?」
彩菜と亜香里が、そんな事を話している。
「羽が有る奴と、無い奴が居るわね?」
「そうだな、ドラゴンは、空を飛んだりもするし、海にも潜る。」
彩華と祥生も、そんな風に言う。そもそもドラゴンは、物語りに出て来る怪獣である。だから、何をもってドラゴンと呼ぶのかさえ、定まっては居ない。

こんな事を話して居るが、日本でも湖に怪獣が出た事件も有った。形は違っても、ドラゴンと呼べそうな生物が、居ても不思議な事ではない。

この事件は、太平洋の孤島に、事故で上がり込んだ連中が、その話の元だった。その島の洞窟で、物語りのドラゴンに似た生物と遭遇した。
「ドラゴンに襲われた。」
「食われそうになった。」
そんな報告が有ったのでは、捨て置く訳にもいかない。結局、彩華のグループに調査が廻って来た。彩華、彩菜、亜香里、祥生の、皆んなで行く。
その島まで船で送って貰い、取り敢えず、島の周りを廻って見る。
「洞窟が三か所程有ったけど、どれが繋がっているのかな?」
「彩華、妖視で探してくれ。ドラゴンを見つけなければ始まらない。」
こんな怪しげな調査は、大抵、彩華や祥生のグループに依頼が来る。
彩華は妖視で島全体を俯瞰する。何かが、うごめいて居る洞窟が有った。皆んなで、その洞窟に向かう。
「居た。山雅さん居たよ。形は違うけど、あいつの事だよね?」
「ドラゴンと言えない事もないかな?  少し可愛いけど。」
彩華と祥生は、そのドラゴン達に近づいて見た。ドラゴンと言えない事もないのだが、そんなに恐ろしい感じでもない。巨大トカゲに羽根が有る感じである。
「少し驚かしてみようか?  本性が現われるかも知れない。」
「何体程居るかな?  彩華、妖視で覗いて。」
彩華の妖視では、大体30体余り居た。
「彩華、ちょっと痛い程度に突ついてみて。反応を見る。」
彩華は、ほんの5ミリ程、木切れを突き刺した。その瞬間、全てのドラゴンが、こちらを向いた。
「あいつ等、痛みを共有している。用心して、いっぺんに来るよ。」
彩華は、皆んなに注意を促す。そして妖力を発動する。トカゲ達は、口から何かを吐き出した。祥生が、トカゲ達と彩華の間に割り込んだ。
「用心して!これは毒かも知れない。」
祥生は、それを他保護に取り込み、消去を試みる。消えた。能力が使えるらしい。
「このドラゴンは、我々の能力が通じる様だ。」
「山雅さん、急に割り込めば危ないわよ。」
彩華が、心配そうに言う。
「咄嗟に動いていた。考える暇が無かった。」
「山雅さんが欠けたら、グループも終わりだよ。考えて行動してよね?」
再び、彩華が注意を即す。その時、彩菜も言う。
「彩華姉さんが心配だったんだよ。大人しく受け取って置きなさいよ。」
「そうそう。」
亜香里も賛同する。
「それに、山雅さんには、まだ能力が隠されている。心配は要らない。」
彩菜が再び指摘する。
そのドラゴン達が吐いた唾液は、焔こそ出なかったが、何等かの毒が含まれている。その唾液が掛った金属が、変色している。
「あの唾液は、毒を持ってる様だね?」
「普通の人達は危ないね?」
彩菜が、ドラゴンに少し近づく。
「一匹、死なない程度に攻撃して見るわ。」
彩菜は、トカゲの下顎を蹴り上げた。あまり効果は無さそうだ。尻尾を他保護範囲に取り込み、消去を図った。しかし、消去出来ない。
「山雅さん、どう言う事?  尻尾に消去を掛けたけど消えないよ。」

「ふーん、あのトカゲには知能が有る様だ。少し話して見よう。」
祥生は、意識を集中した。話をする如くに意識を保った。
「君達、意識は解るか?  解れば意識を紡いでくれ。」
暫くして、ドラゴンから意識が届いた。
「意識は通じるのか?  今迄の奴には、通じなかったが?」
今迄の人間は、相手の知能を感じられなかった。しかし、彩華や祥生達の能力は知能を感知する。その感知力に、ドラゴンの知能が引っ掛かった。
「我々は、普通人に無い能力がある。ちょっと実験をさせて貰った。お陰で意識が通じた。」
祥生は、人間側の方針を説明した。
「我々全体としては、敵意はない。しかし、時々冒険者が来る。そいつ等は冒険がしたいが為、何をやらかすか分からない。出来れば姿を隠して置いて貰いたい。」
「君の意見は解った。出来るだけ、その様に対処しよう。しかし、我々の方にも、納得出来ない奴も居る。絶対とは言えないが、努力はする。」
その日は、そんな事で帰って来たが、お互い守れるかどうか、危い感じはする。
「山雅さん、あんな事で良かったの?  危い感じなんだけど。」
彩華が心配そうに言う。祥生も、それは解っている。

「お互いの監視機関が出来る迄は、色々と有るだろうな?  しかし、我々が監視機関の代わりは出来ない。それだけに固定されてしまう。」
「本当だね?  私達だけでは、どうにも、ならないよねぇ。」
「それに、権力も法律も無い状況では、どうしようも無い。」


 F-4  白人達に絡まれる

「ヨシオ、まだアメリカへ来ているな?」
パーティの後、ホテルに帰る途中、又、白人達に摑まった。
外国人が、アメリカで活躍しているのが、余程気にくわないらしい。
「仕方が無いだろう、そのアメリカ人に頼まれたんだから。」
「それでも来るな! 目障りだ。」
「日本にも、随分アメリカ人が来ているが?」
「うるさい。」
理屈では、こちらに理が有る。前に居た奴が、胸ぐらを掴みに来る。祥生は手を弾く。今度は顔を殴って来た。祥生は、その手を捻りながら足払いを掛けた。その男は宙に浮いた。
その時、後に居た大柄の白人が、祥生の前に現れた。
「こんな子供に、何を手こずっている。」
「パーソン、頼む。懲らしめてくれ。」
祥生は、彩華の方を向き、ささやき掛けた。
「彩華行けるか?  やって見てくれ。」
「こいつは、相当強そうだよ。いけるかな?」
後ろで見ていた彩華が、前に出てくる。
「馬鹿にしやがって?  踏み潰すぞ。」
それを彩華は、指を折って招いている。そいつは、ますます怒った。
そいつは、いきなり回し蹴りを掛けて来る。それは彩華の予測の内だ。
彩華は、その足を腕ではねた。次は飛び蹴りだ。
「エーイ。鬱陶しい。」
彩華は、脚を蹴り上げる。パーソンは、バランスを崩し肩から落ちる。
パーソンは、慌てて起き上がる。
「くっそー!」
今度は鋭いジャブが来る。彩華は、それを手の平で止めた。
そして、腕を掴み、背負いを掛けた。パーソンは宙に浮く。
パーソンは、彩華に異様を感じた。どうにも勝てる気がしない。
「いや、負けた。東洋の少女、君は凄いな。何故、試合に出て来ない?」
「いや、これは武術だよ。殺し合いの技だよ。スポーツでは無い。」
とは言うものの、彩華や祥生は自分から仕掛けない。仕掛ける隙は幾らも有るが、相手の攻撃を待つ。
「そーか、そっちの方か?  それにしては衝撃が少ないが?」
「いつもの癖でね。大怪我をしない様に、手加減してしまうんだよ。」
「分かった。君達から手を引く。」

「山雅さん、あいつら、本当に手を引くかな?」
彩華が心配そうに、そんな事を言う。
「最後の奴は、僕等の力が解るから大丈夫だが、他の奴は分らん。」
「そうだよね?  鬱陶しい話だね。」
「あいつ等は、嗅ぎ回っている奴等とは別口だな?」
「二つも有るのかな? ほかには無いよね?」


 F-5  白人とアジア人 が襲う

今日は、彩華が一人で帰っている。そんな時、又外人達に道を塞がれた。
今回は、白人とアジア系の、混成部隊だ。
「何ですか、あなた達は?」
「まぁ、訳有って、お前に寝て貰う。」
「誰に頼まれたの? ご苦労さんな事だね?」
本当の事を指摘されて、男達は怒った。
「生意気な小娘だ。WVの提案を受入れ、、、、、」
「こら! 」
後の奴が、その言葉を慌てて止めた。
彩華も最近、WVと言う言葉を良く耳にする。確か雑務処理の会社だ。
「まだ、何か言う事が有るの?」
「うるせい。ソニアンやれ。殺しても構わん。」
「ほう、素人にしては、思い切った言葉だね?」
と彩華が言う。
「まあ、上層部の考えだ。辛抱しろよ。」
「あんた達は、  前の奴より柄が悪いね?  殺しまで請け負うの?」
ソニアンは、彩華の前に立つ。
「まぁ、勘弁しろ。痛いのは一瞬だ。」
そう言いながら、ソニアンは、右足で蹴り掛かる。彩華の左手が止める。
次は飛び蹴りが襲う。
「そんな攻撃は、幾らやっても無駄だよ。私の術の内だよ。」
妖力を使えば簡単なのだが、この程度の戦闘なら、その必要は無い。
「くそがっ。」
「天翔流奥義翔武!」
彩華は奥義を唱えた。
その時、彩華の身体は右に動く。後に異様を感じたのだ。
その跡にナイフが流れる。斜め後からも悪意が襲う。彩華は前に躱す。
「えっーい。」
彩華は横に流れるナイフを、蹴り上げる。
まだ、悪意が有る。彩華の身体が浮く。その跡に銃弾が流れる。
「どうしたんだ、全然当たらん。ナイフも刺さらん。」
「断念ながら、私の術は破れないよ。今回は諦めて貰うよ。」
襲った奴等は、呆然として、声にもならない。

彩華は、古武術の訓練もしている。祥生の訓練に参加しているのだ。その古武術から、何かを貰った。感応力が格段に上った。その武術は、忍者にも通ずる武術らしく、かなりの謎がひそむ。
忍者と言う言葉が、実際に有ったのかは解らないが、そんな特殊集団は有った模様だ。元々は、祥生が祖父から習った武術なのだが、今は彩華や彩菜達とも、一緒に訓練をしている。お蔭で、彼女達にも何かが伝った。
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