訳あり能力者 妖能の彩華 (彩華は謎の組織からの依頼により、ドラゴン等と対決をする。)

ヨシオ ヤマモト

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 K-1  由加里と雅 不良に絡まれる
 K-2  エニソン 戦闘 
 K-3  パーティ エミリアと会う
 K-4  旅客機片翼火災 帰りの旅客機火災  ハワイの手前
 K-5  由加里と雅に再び絡み
 K-6  YAグループを取込み図る 雑務処理会社 WV


 K-1  由加里と雅

今日は正月、全部のメンバーで、お茶を飲んでいる。今から初詣をする。
「久し振りに、ゆっくりした気分だね?」
「正月ぐらいは息を抜かないと、気分が保たないよ。」
「雪が降らなくて良かった。去年の暮から雪だったからね?」
「スキー場は喜んでいるよ。この辺りは、久し振りの雪だから。」
そんな話をしている時、横の通路を、数人の少年と二人の少女が通った。
彼等は彩華の奥の席に座った。二人の少女は、かなり怯えて居る様子だ。
「あれ、由香里と雅じゃない、亜香里、知ってるでしょう?」
彩菜が亜香里に尋ねた。
「本当だ、着物で印象が違った。由加里達に間違い無い。」
彩菜と亜香里は、その方を窺っている。
「ちょっと雰囲気が違う。普通の様子じゃない。ちょっと行って見る。」
彩菜は席を立って、奥の席に向かった。亜香里も、それに付いて行く。
「由香里じゃない?  それと雅だよね?」
「うるさい、向こうへ行け。お前等は関係無いだろうが?」
「友達に会ったら、挨拶をするものだよ。少し黙ってて。」
「何を?  もう良いだろう。去れ。」
「まだ話もしてないわよ。あんた達は、あの子の何?」
男達は、彩菜の理屈に負けている。
「うるさい、向こうへ行け。オレ達の事は放って置け。」
「あんた達は放って置くけど、その子達は貰って行くわよ。」
亜香里が二人の側に寄り、手を引いている。やっと二人が立ち上がった。
「何を勝手な事を言ってやがる?  お前達だけで行け。」
「あんたは、何の権利が有って、あの子達を仕切っているのよ?」
「うるさい。お前等だけ出ていけ。」
亜香里が二人に小声で言う。
「困って居るなら助けるわよ。あの先輩達は頼りになるわよ。」
その時、彩華が言った。
「亜香里、二人を連れてきて。店の外へ出る。」
「由香里、大丈夫。私も先輩に助けられた。」
「何を勝手に喋ってやがる。お前達も承知せんぞ。」
彩菜と亜香里は、二人を店の外に連れ出した。彩華や祥生も店を出る。
男達も、やむを得ず付いて出て来た。
「どう、落とし前を付けるんだ。」
「落とし前も何も、二人を連れて行くだけだよ。」
「それで済むと思っとるんか?」
「思ってるよ。この子達に話を聞いてから、先の事は決めるよ。」
その時、祥生が初めて喋った。
「僕達と一緒に行くか?」
「お願いします。御一緒させて下さい。」
「分かった。そこの君達、この子達は貰って行くよ。」
「なにをっ。」
男の一人が、祥生に殴りかかる。それを彩華が止めた。
「あんた達の相手は、私がするわよ。」
前の男が、彩華に向かう。彩華は、男の出足を払った。男は宙に浮く。
「げっー」
一人の男が彩菜に向かう。彩菜は腕を取られたが、その腕を逆手に捻り足を刈る。男は背中から地に落ちる。
「ぐっー。」
亜香里の首を締めて居た奴も、亜香里の背負いで放られる。
「ぎやっ。」
結局のところ、祥生は、動画を撮っていただけだ。
男達は高校生の様だが、中学生の女の子に倒され、路地の奥に消えた。
その日の初詣も終り、皆んなは駅に向かっている。助けた由香里と雅も同行した。


 K-2  エニソン

今、彩華と祥生はニューヨークに居る。PP出版のパーティが有るのだ。
祥生としては、パーティ等には、出たくも無いのだが、これも処世の義理で有る。パーティには、祥生のパートナーとして、彩華も出席する。
「山雅さん、ホテルの外で食事をしようか?」
「それは構わないけど、又喧嘩になるよ。」
「毎度の事だから、もう慣れっこだよ。」
「それは、彩華のせいだって。」
二人は、ふざけ合いながら、ホテルを出る。
彩華も祥生も、日本に居る時とは容姿が違う。テレビに出る時も同様だ。
「あそこのレストランで良いか?」
「あそこでいいわ。」
「しかし、この程度の変装でバレないかな?」
「疑いを持たれればバレるだろうけど、普通に見れば他人だよ。」
「正体がバレない様、精々頑張ろう。」
「その対策から言っても、仕事の時には気を付けないとね?」
「そうだな、瞬間移動なんか、一番怪しそうだからな?」

食事も終り、二人はレストランを出る。それを窺っている奴が居た。
二人が、ホテルの方に歩いていた時、横の路地から声がした。
「ちょっと待て、そこの日本人。」
その路地を見ると、十人近くの男達が居た。
「何だ、君達は?」
「この前の事、パーソンは納得したらしいが、俺達は納得していない。」
「ああ、この前の奴等か?」
その男達の中には、体重が祥生の倍近くも有る男が居る。
「やられっ放しは気分が悪いからな、この前のやり直しだ。」
「なんだ、そんな事か?  面白くも無い。」
その男は、マニエルと言ったが、悪真面目な奴だった。
「このエニソンは強いぞ。お前達では歯が立つまいよ。」
マニエルにしてみれば、この体重差だけを取っても、負ける気はしない。
「彩華、行って見るか?  僕がやっても良いけど、何か大人気ないし。」
「はいはい、分かりましたよ。やりますよ。」
聞いていた男達は、本気で怒った。馬鹿にされたと思ったのだ。この大男に、体重が半分以下の少女が、相手をすると言うのだ。この前は、体重差を気にして、祥生が出ていったのだが、こう、毎度毎度やられると、祥生も気にしなくなった。彩華は、トコトコと大男の前に立った。
「よろしくね、余り痛くしないから。」
「なにを!」
怒った男が、彩華の首を掴もうとする。彩華は、その腕をはね退けた。
男は、彩華の腕を取りに来た。彩華はその腕を取り、体を回して背負いを掛けた。エニソンは、体は回ったが、辛うじて、足から地に下りた。
彩華は、その足を右足で払った。エニソンは、背から地に落ちる。
「ぎえっ。」
慌てて身を起こしたエニソンは、彩華に向って拳を振るう。その程度では、彩華に届かない。彩華のスビードが違うのだ。本気で怒ったエニソンが、彩華に回し蹴りを掛けたが、彩華の腕に阻まれる。普通なら、軽量な彩華が吹き飛ぶ場面だ。エニソンは、続けて飛び蹴りを放つ。しかし彩華の腕にはねられた。次は渾身のアッパーが襲う。彩華はヒョイと避ける。エニソンは、彩華の首を掴みに来る。彩華は、すっと体を落とし、エニソンの両足を掴んだ。そしてエニソンの身体を持ち上げ、後へ放り投げた。
「ぐぉっー。」
エニソンは、彩華に異様を感じた。何の技なのかは解からないが、力は及ばない。
「負けた。日本の忍者か?」
祥生が答える。
「忍者の遺伝子は持ってるよ。多分。」
「君もそうか?」
「そうだよ。」
「納得した。俺が負けるのは久し振りだが、競技場で見た事が無いぞ。」
「我々が参加すれば、不公平になるだろうが?」
「それもそうか?」
エニソンは、何とか納得はしてくれた。引きずらなくて済みそうだった。
パーソンやエニソンは、元々がスポーツマンでも有り、何とか納得した。
祥生としては、あっちこっちで、喧嘩のタネを残すと厄介なのである。


 K-3  パーティ

明日はまだ、PP出版のパーティが有る。それは、明日の夕方から始まる。
そのパーティでは、ジョーとも会える。次の日の夕方、  栗栖真奈美と共に衣装を借り、パーティに出席した。パーティ会場に、足を入れた途端、エミリアが現れた。
エミリアとは、教育省長官の娘であり、秘書でもある。
「ヨシオ、又喧嘩をしたって?」
「エミリアさんが、何故知ってるんですか?  喧嘩は彩華ですけど。」
「私は、山雅さんの代役を、やっただけですよ。」
「そんなもの、どっちでもいい。エニソンは相当強い筈だけど。」
「昨日は何とかしのげたけど、喧嘩はルールが無いですから。」
「スポーツ界では、エニソンは有名なんだけど。調子が悪かったのかな?」
「まあ、喧嘩とスポーツでは、比べるのは無理ですからね?」
エミリアは、喧嘩の原因迄は聞いて居ない。祥生は知らない振りをした。
そこへ、ジョーも現れた。局長も一緒で有った。
「山雅君、久し振りだな?  半年振りになるか?」
「局長ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。」
挨拶を交していると、教育省の長官が現れた。
「エミリア、こんな所に居たか?  おっ、山雅君か、久し振りだな?」
「お久し振りです。エミリアさんと話して居ました。」
一通り話しも済み、皆んなは向こうへ移った。やれやれ、大集合だった。
記者達が、不審な目で眺めていた。祥生としては、意図してなった物ではなく、偶然が重なっただけなのだ。
エミリアは、まだ何か言いたそうだったが、人が寄ってきたので諦めた。
「エミリアさん、ジョーの所に、対話システムを構築しているので、良かったら、そちらを利用して下さい。今日は、ひとまず失礼します。」
なんとか、パーティは終った。今晩の関空行きに乗る積もりなので、明日は日本に帰れる。


 K-4  旅客機片翼火災

その夜、彩華と祥生は、関空行きの飛行機の中に居た。その飛行機は
ハワイにも寄る。ところが、ハワイの手前で故障を起こした。
エンジンから火が出て居る。このままでは、危なくて着陸が出来ない。
彩華は、その状況を組織に伝えた。暫くして、組織から電話が掛かった。
「どんな状況ですか?」
「今は一番外側のエンジンから、火が出ています。」
「話しは通して有りますので、操縦士と相談して下さい。」
彩華は、急いで操縦士を掴まえ、話をした。
「翼の中へ潜り込めますか?  液化の不燃ガスを携行していますので、火災が弱くなるか、やってみます。何処から行けますか?」
「こちらへ来て下さい。技師達程、詳しくは有りませんが、入口はこちらです。」
彩華は、翼に潜り込んで、漏れている燃料を消去した。そこへ祥生も入って来た。漏れた燃料は、基礎能力でも、妖能力でも、消去は出来る。
「彩華、大方進んでるな?  後の始末は僕がしておく。」

祥生は、幽体を送って、狭い所の燃料を消去して回る。幽体は、尾を引く事も出来るので、送った道の確認が出来る。
エンジンの燃料弁は、彩華が手動で閉めている。漏れた燃料は消去したので、火は消えたのだが、エンジンは、もう使えない。
仕事を済ました祥生が出て来ると、彩華が操縦士と話している。
「内側のエンジンは、燃えて居なかったのですが、まだ使えますか?」
「まだ使える様です。内側のエンジンの制御系統は、生きています。」
着陸に当たっては、何とか誤魔化して、彩華は後の方の席に行った。祥生は、前の方に席を取り乗客を護る。エンジンの一つが使えないので、着陸時の衝撃がキツかった。怪我人が幾らか出たが、重傷者は居なかった。客席は広いので、彩華と祥生の保護範囲から大分漏れた。気の毒だが、その人達が怪我をした。二人が別便で帰り、空港の喫茶店に居る時、ジョーから電話が掛った。
「君の乗った飛行機が、火災を起こしたと言うから、心配していた。」
「火災が広がれば危ない所だった。僕は悪運に強いからね?」
「全くだな?  殺しても死にそうに無い。」
ジョーの電話が切れてから、祥生は彩華に言った。
「彩華、家に電話しないと親が心配しているよ。」
「そうだね、お互いにね?」
 
翌日の放課後は大変であった。火災を起こした飛行機に、二人が乗っていた事を知った皆が、電話を寄越した。由香里や雅からも電話が掛かった。
ちょうど良いと言う事で、皆んなでお茶を飲む事になった。
「山雅さん、不運でしたね?  飛行機事故なんて滅多に無いのに。」
「大丈夫だよ。彩華も僕も傷一つ無いよ。」
「山雅さん、悪運が強そうだから、安心してたけどね?」
「嘘ばっかし。あんなに心配していた癖に。」
彩菜は、姉の彩華を心配している。祥生に何か有れば、彩華が悲しむ。
「それは当たり前。山雅さんに何か有れば、お姉ちゃんが壊れる。」
「こら!余計なお世話だよ。」
「危機一発だったね?  空の上は海より怖いよ。」
本当は、彩華と祥生だけなら、妖能力で逃げられる。しかし、他の乗客を捨て置く訳には行かなかった。本当は乗客の安全もカバー出来た。しかし、そこまですると、違和感を覚える。その為、基礎能力に留めた。
「彩華姉さんと山雅さんが、消火に参加したからね。」
「やっぱりね?  彩華さん達が、大人しくはしてないか?」
色々と雑談をしていたが、そろそろ帰る時間になった。店を出て、駅の方に歩いていると、呼び止める声がした。


 K-5  由加里と雅に再び絡み
  
「由香里、待て。雅も居るのか、ちょうど良い。お茶に行こう。」
彩華は顔を見ていたが見覚えが無い。前の奴等とは違う。
「今は、この人達と居るので無理です。」
由加里が男達に言う。
「そんな奴等は放って置いて、俺達と来い。」
それを聞いて、彩華が反応した。
「私の友達に、何を勝手な事言ってるのさ、失礼じゃない?」
「うるさい、お前に用はない。さっさと散れ。」
「威勢がいいわね、あれ、私と同じ学校だね? 山雅さん知ってる?」
「うーん、知らないな?  うちの学生にしては柄が悪いな?」
「どつちにしても、あんた達には渡せないよ。」
「うるさい。こっちへ来い。」
一人の男が、由香里を引っ張って行こうとした。そこで彩菜が動いた。
その男の手を掴んで背負いを掛けた。男はすっ飛ぶ。
「いてっー。何をしやがる?」
「それは、こっちのセリフ。」
別の男が、彩菜の手を掴もうとした。彩菜はその手を取り、足を刈る。
男は宙に浮き、背中から地に落ちた。
「いったー。糞が?」
他の男が彩華に絡む。彩華も、その腕を取り、背負いで放る。亜香里にも向かって来る。亜香里は手で首を巻き、足を後へ払った。
「ぐふっ。」
「げっー。」
祥生は、いつもの様に動画を取っている。
「その辺りでいいよ。良い動画が撮れた。音声も有るから面白いよ。」
「山雅さんも働きなさいよ。」
その会話を聞いて、男達は慌てて消えた。
「由香里、雅、前の奴等と違うね?  別の知り合いなの?」
彩華が、二人に聞いている。
「いえ、前の男達の仲間です。あの時は居ませんでしたけど。」
「もし、まだ絡んで来たら、直ぐに知らせてね?  懲らしめるから。」
その時、彩菜が口を挿んだ。
「多分大丈夫と思う。私達の学校でも、彩華姉さんと山雅さんは、有名だから。」
「どんな噂を、立てられて居るのかね?」
彩華と祥生は、顔を見合わして苦笑いを浮かべた。


 K-6  YAグループを取込み図る

その彩華と祥生を、まだ付け廻している奴が居た。ニューヨークのパーティも、飛行機事故も、街の喧嘩も全て見ていた。
「常務、あいつ等は危険です。州代表級のレスラーも歯が立ちません。これは高一の女に負けました。飛行機事故も、山雅達の働きで助かりました。街の喧嘩は奴等には遊びです。なまじ首を突っ込むと、却って危険です。忍者の子孫と言われるのも、あながち嘘とは言えません。普通の人間では、使い切れません。」

ところが、この業者は、まだ諦めて居ない。まだつけ回している。
その業者の常務は、日本の格闘家を、祥生達に向かわせた。ある日、彩華と祥生と彩菜が、お茶を飲んだ帰り道、変な男達に囲まれた。
「君達は何だ、何か用事が有るのか?」
「ちょっと来い。そこの河原迄、付き合って貰う。」
彩華と祥生は、顔を見合わせた。そして、黙って付いて行く。
河原に着いた途端、男の一人が突然、祥生に殴り掛かった。祥生は手で払った。次は飛び蹴りが来る。その間に、彩華が割り込み手で刎ねた。
「私が相手をするわよ。」
「女が俺の相手をするだと。」
男は怒って、回し蹴りを彩華に放つ。彩華は、その足を手で掴み、放り投げた。他の男が彩菜に向った。彩菜は平然と立っている。男が正拳で突く。彩菜は手で払う。男は回し蹴りを放つ。彩菜は、するりと逃げる。
「山雅さん、面白く無いわね?  そろそろ終わろうか?」
「まだだ、次は俺が行く。」
男達の後の方から、大柄の男が出て来る。
「彩華、今度は少し強そうだよ。」
「分かった。」
彩華は答えて、正面に立つ。
「ええっい。」
男の飛び蹴りが来る。彩華は、首を反らして避ける。片方の足が、そのまま、彩華の頭を狙う。彩華はその足を掴み、後ろへ放る。男は背から地に落ちた。次の男は祥生に向った。そして突然回し蹴りだ。その脚を、祥生の手が横に突く。男はバランスを崩して、地に落ちる。
「ぐっうー。」
その間に、彩菜にも向かって来る。その男は、彩菜に背負いで放り投げられた。最後に、本当に強そうな奴が、祥生の前に現れた。
「最後に、私が相手をしょう。君達は本当に強い様だ。」
「構いませんが、少し痛い目を見て貰いましようか?」
「出来るならな?」
そいつは、まず渾身の正拳を出す。祥生は手で止める。そいつの足が胴を薙ぐ。そいつは言うだけ有って、今迄の奴とは違う。攻撃は重くて速い。
「言うだけ有って、中々強いね?  オリンピック級の技だ。」
祥生は、自保護を切った。相手は廻し蹴りを放つ。祥生は、その足を上に突き上げ、浮き加減の軸足を薙ぐ。そして身体が浮いて居る内に、ミゾオチに当身をはなった。そいつは悶絶した。
「気は済んだかな?  それじゃ失礼する。最後の奴以外は、手加減はしたからな。」
彩華、彩菜、祥生は、その場を離れた。
「あんな小柄なのに、なんて重いんだ。殴っても蹴っても、びくともしない。最後以外は、手加減をされていた様だ。」
その内、悶絶していた奴が、気が付いた。
「参った。流石に俺でも、どうにもならなかった。身体の動きが違う。」
「あいつ等は制御出来ない。いくら常務の頼みでも、どうにもならん。」
「奴等は、仕事をしなくても、喰えるらしい。兵糧攻めも効果が無い。」
ところが、その話を聞いて、益々、そのグループを惚れ込んだ奴がいた。
今度は専務と言う事だった。彼は、SSS の上層部に働きかけた。
「是非とも、奴等をものにしたいのです。何とか力を貸して下さい。」
この業者は、WV 社と言い、SSS から、雑務処理を任されている。
WV社と言えば、前に支所を潰した会社だ。まだ懲りていないのか?
「あんな小さな組織なら、何とかなる。担当者に話して置く。」
SSS の上層部の一人が、祥生達の担当者に仲介を命令した。その人は、SSS の統括責任者の一人でトーマスと言う。今は、SSSの統括責任者の一人では有るが、元の事情は知らないらしい。下請けも別の系列であり、仕事の内容が違う。
「話はして見ますが、私は責任を負いませんよ。」
SSS の担当者は、彩華に電話を入れた。
「上層部から、WV 社の下に付ける様にと、命令が来たんですが、やって貰えるでしょうか?」
「山雅さんに伝えて置きますが、無理でしょうね?  少し前、あそこの支所が潰された事は知りませんか?  無理をすれば、会社が潰れますよ。」
「承知していますが、上の命令なので、一応ご返事をお願いします。」
彩華は、祥生に連絡を入れた。
「山雅さん、どうするの?  これ。」
「放って置こう。担当には、別のパスを送っておいて。当分内密だ。」
彩華は、SSS の担当者に電話を入れた。
「もしもし、山雅さんは、放って置けとの事です。内密のパスを送りますが、仕事は当分保留です。今のパスワードでは、これが最後です。」
「分かりました。」
その日の午後遅く、トーマスが、担当者に尋ねている。
「日本のグループの返事はどうだ。いつから仕事が出来る?」
「あす迄に時間を切っています。承諾なら、明日迄に電話が来ます。」
「何を呑気な事を言っている。すぐに電話させろ。」
「もう連絡は付きません。待つしか有りません。」
「何とかしろ。」
「断念ですが、何ともなりません。」
「電話をしてみろ。」
「、、、、電話は無効になっています。」
「何故そんな事になっている?  ちゃんと管理をしておけ。」
「あのグループは、当社の社員では有りません。管理は無理です。」
トーマスは、まだ愚図愚図と言っていたが、もう誰も相手をしなくなっていた。そもそも、この人は、祥生や彩華のグループの、いや、SSS 本体の、成り立ちを知らない。
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