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3O アルプスのドラゴン
しおりを挟むO-1 ニューヨークパーティ
O-2 白人達と闘争 WV社絡み
O-3 アルプスのドラゴン
O-4 アンデス洞窟 相手に拒否される
O-5 WV社破壊 忍者姿の若者達
O-6 アンデス洞窟天井崩落
O-1 ニューヨークパーティ
祥生は今日、パーティに出席する。
パーティには、ジョーとエミリアも来ていた。エミリアの上司で父親でも有る、教育省長官も居る。
「山香君久し振りだな?」
山香と言うのは、プログラム解説書のペンネームだ。解説書の著者名は、山香ヨシオである。
「そうですね、半年以上も会っていませんね?」
「君の解説書の推薦が増えている。ミドルスクールで人気だそうだ。」
そこへ、エミリアとジョーが現れた。ジョーも局長の息子であり、エミリアとも、顔見知りであった。エミリアは、以前、不良達から、彩華と祥生が助けた。
「山香君、元気そうだね?」
「お陰さまで。」
ジョーは祥生にプログラムを教えられ、今はその方面の塾をやっている。
歳は祥生と同年である。歳が若く珍しいのか、テレビに出た事もある。
「山雅君、久し振り。」
「久し振り。」
ジョーは、祥生の講習も終わり、最近は、顔を合わせて居なかった。
祥生とジョーは、講習の関係から、インターネットの、対話システムも構築しており、画面越しには、いつでも会う事は出来る。
「塾は流行っているか?」
「子供に人気だよ。あの本は、解りやすいのは抜群だからね?」
「そろそろ、良い本が出版されて居る頃だろう?」
「いや、自分の知識を強調したい余りに、内容が難しくなる。そうすると、初歩者には理解しにくい。その点、君の本は解りやすいんだよ。」
「僕は、そんなに難しい事は、書いていないからね?」
「読んで見ると、頂点は同じだよ。君の解説が解りやすいんだよ。」
「日本では、それを褒め殺しと言う。」
「あははは、そうなのか?」
ジョーは、笑いながら、そこを去った。
「君は、喧嘩も強いけど頭も良いんだね?」
ジョーが去った後、エミリアが言う。
「武術は、祖父から習ってましたから、多少の心得は有ります。彩華も、戦闘術を習っています。」
「そうか、彩華は戦闘術か? 二人共、文武両道なんだね?」
彩華の柔闘術は、戦闘術となって居るが、結局のところ、戦闘術も護身術も、根は同じである。
「僕は、どっちかと言うと、武の方ですけどね?」
「あんな、プログラム解説書も書けるんだから、頭も良いじゃないか?」
「あれは、中学生の時からの趣味ですからね?」
「成程、趣味なのか?」
しばらく話して、エミリアも、向こうのテーブルに移った。
O-2 白人達と闘争
「彩華、そろそろ帰ろうか? 少し遅くなった。」
「そうだね? 真奈美さん、ご苦労さんでした。」
真奈美は、パーティでも、祥生と彩華の通訳をしていた。
「いえいえ、これは当社の都合ですから。あなた方こそ、ご苦労様。」
こんな話をしているが、三人共、同じホテルに泊まっている。
「一緒に帰りましょうか? 同じホテルだし。」
ホテルは会場から、そんなに遠くは無い。三人は歩いて帰る積もりだ。
ホテルに向って歩いていると、路地奥から、声を掛けられた。
「そこの男と女、ちょっと待て。」
そこには、数人の白人達が居た。
「お約束の展開だね?」
彩華は、男達に向って言った。
「何なの、あんた等は?」
「お、気の強い姉ちゃん。丁度良い、ちょっと付き合ってくれ。」
彩華は、つかつかと男達の方に行く。男の一人が彩華の手を取る。
「ぎやっ。」
その男が悲鳴を上げた。彩華が、脛を蹴飛ばしたのだ。
「こいつ、何をしやがる。もう勘弁ならねえ。」
横の一人が、彩華に殴りかかる。彩華は、その手を取り逆に捻り倒す。
「あんた達は、一体何なのよ。」
「スポンサーの要望だ。君達東洋人が、勢力を持つのに反対の立場だ。」
アメリカ至上主義の奴は、説得された筈だが、又別の組織なのか?
「WV 社の下に居れば、手荒な真似をせずに済んだものを。」
WV社の話だったか? 済んだと思って居たが、まだ諦めて居ないのか?
「大体は分かった。しかし、諦めの悪い奴も居るものだ。」
「ジェイン、やって見るか? 少しは骨が有りそうだ。」
ジェインと言われた黒人が、前に出る。
真奈美は、はらはらした様子で、それらを眺めている。ジェインは、彩華に蹴りを放つ。彩華はそれを手で止める。
「女にしては使える様だ。俺の足を手で止めるか?」
その男は腰を据え、彩華にジャブを放つ。彩華は、それも手ではねる。
渾身の蹴りが来る。彩華は、その足を掴みながら、軸足を薙ぐ。
「ぎゃっ、」
男は一瞬宙に浮き、地に堕ちた。
「しようが無い。次は俺が行く。」
今度は、大柄の白人だ。その男は体が大きく、筋肉も締まっている。
「彩華、代わろう。」
祥生は、面白そうに眺めていたが、今度の奴は、重量差か大き過ぎる。
彩華でもやれるのだが、この身体差で勝ってしまっては、違和感が残る。
「やっと出て来たか? 今度は容赦しないぞ。」
そいつは、祥生の顔にジャブを放つ。速い。今度はボクシングらしい。
ジャブやらアッパーやら連続で攻撃が来る。祥生は、最小限の動きで、それらを避けている。
「流石だな、これを逃げ切るか?」
そいつの拳が、顔を撃つ。祥生は、その拳を左手で止め、右手で引きつつ足を薙ぐ。男の体が宙に浮く。地に落ちる瞬間、祥生の左手が、その腹に当身を放つ。その当て身も、祥生達の打撃は、自動的に緩和されている。
「負けた。しかし今の当身は緩いな? 衝撃が少ない。」
「いや、侮った訳では無いが、いつもの癖で、打撃が弱くなるんでね?」
「と言う事は、いつも攻撃は緩めて居るのか?」
「殺す訳には、いかないんでね?」
「久し振りに良い運動になった。しかし、何故大会で見ない。」
「我々は、実戦派なんでね? 反則になる技が多いんだよ。」
「分かった。納得がいった。それでも今日は楽しかった。」
後で話を聞くと、彼等も本気では無く、祥生達の力が見たかったのだ。
それを、ある組織に頼まれた。白人の一流選手に、何処まで通用するか、見たかったと言う。
「君達は、そんな小柄な体で、何故そこまで強い?」
「俗に言う、忍者の流れでしょうか? 皆その血筋の者ですよ。」
「やっと納得がいった。これからは、敵対しない。」
真奈美は、それらを呆然と眺めて居たが、やっと二人に言った。
「無茶苦茶に強いね? 前にも思ったけど、忍者その者だね?」
それを聞いて、彩華と祥生は、顔を見合わた。
彼等に説明した様に、忍者と言う名前はともかく、そう言った特殊集団の血を引いている可能性が高い。
「私達のグループは、武術の心得が有るから、そう見えるんですよ。」
「そうなんだ? 高校生にしては強すぎるよ。」
今回は、いつもより、かなりハードな喧嘩になった。一般人相手には、あまり見せたくないシーンだ。
「彩華、一番後ろの奴でも、彩華で勝てる。しかし、あまりにも重量差が大きいので、僕が代わった。本当は一般人に見せたくないシーンだ。」
「勝てるかな? あまり自信は無かったけど。」
今回の奴等は試合の積りでいた。本人は悪気は無い様子だった。
ただ、本人は悪気がなくとも、仕組んだ奴等は、悪気そのものだ。
WV社は、まだ諦めていないのか? この前、ナイフや銃まで出されたので、かなり脅して置いた積りだったが、まだ、こんな事をやっている。
O-3 アルプスのドラゴン
イタリアから、北西に位置する辺りのアルプス山脈で、ドラゴンの目撃情報が相次いだ。ドラゴンと言っても、何がドラゴンかの定説は無い。
「山雅さん、ドラゴンって今どき居るのかな?」
「前に一度会っただろう?」
トカゲが巨大化すれば、一般的にはドラゴンと言う。羽根の付いたトカゲが、巨大化したものも有る。
「ドラゴンは、知能が有ったり無かったりと、扱いが難しいわね?」
「知能が無ければ、体のどの部分でも、瞬間消去が出来るんでしょう?」
それが、彩華たちの認識だが、その知能の分別が難しい。
「今回のドラゴンは、どっちだろうな? 行って見ないと解らないか?」
「イタリアから行くしか無いわね?」
「さて、この洞窟だが、ゆっくり探しながら入って見よう。
「居た。何匹か固まっている。私が行く。」
彩華は、そう言いながら、ドラゴンの側に飛ぶ。そして瞬間に戻った。
「あのドラゴンは、知能が無いよ。尻尾の消去が出来た。」
突然、祥生は彩華を後にかばう。ドラゴンの口から、唾液が降りそそぐ。
「この唾液なら大丈夫だ。毒が薄い。」
「念の為、何匹か尻尾を消す。」
二人は、ドラゴンの側に飛び、尻尾を消去する。数匹の尻尾を消した時、声が響いた。
「待ってくれ。君達の力は判っだ。悪かった、謝る。」
彩華は驚いた。知能が無いと思った、ドラゴンの意識が届いたのだ。
「私達の感知力をすり抜けた。ドラゴンに、そんな能力が有るのかな?」
祥生が、ドラゴン達に説明を求める。
「説明してくれるか? 初めは、知能が感知出来なかった。」
「我々としては、争いを避ける為に、会得した能力と捉えている。」
「危ない所だった。君達を全滅させる所だった。」
彩華は、ドラゴンに説明した。彩華たちの能力は、文明を消さない。
しかし、人間に仇をなす存在、又は、知能のない存在は別の機能が働く。
つまり、それ等を消滅させる能力が機能する。
「今回は、これで留める。出来ればここから、姿を消す事を勧める。」
アルプスの洞窟では、人類達に近すぎる。いつ衝突が起こるか解らない。
「分かった。早急に、その方向で考える。」
O-4 アンデス洞窟
その次の日、彩華は、組織から連絡を受けた。
南米で仕事が有るそうだ。アルプスから、アンデスへ行けと言う。
日本に帰り、又出て来る事を思えば、時間の節約にはなる。二人は、それを引き受けた。その日、彩華と祥生は、アメリカ経由で、アンデスへ向かった。そこで新しい洞窟が発見されたのだ。
「アンデス山脈に、洞窟なんか有ったかな?」
「洞窟なんか、世界の何処にでも有ると思うよ。」
「わざわざ、調査隊の護衛が、必要だったのかな?」
依頼は、SSS を介して来ているが、たまたま、祥生達が一番近かった。
SSS とは、スペシャル•シークレット•サービスの略号である。国連の支配下に有り、解決が難しい、危険な事件を担当する。最近は、災害救助まで引き受けている。
「SSS から来ました。調査隊は、何処ですか?」
「ご案内します。こちらへどうぞ。」
少し奥へ入った所に、調査隊の仮事務所は有った。
「SSS から、来られました。隊長さんは居られますか?」
「私が隊長のアランだ。ところで、君達が、護衛をするのか?」
隊長は、疑わしそうな目で、祥生と彩華を眺めている。
彩華は、組織からのメールを見せた。それにはSSS の認証が有った。
「SSS からは、その様に依頼をされています。」
隊長は、渋々と納得をした様だが、一人の調査員が声を上げた。
「そんな子供に何が出来るんだ? 替えて貰いたい。」
「幾ら何でも、高校生では無理がある。」
「あの組織は、何を考えて居るんだ?」
他の調査員からも、疑問が声が出る。
「分かりました。依頼の撤回をお願いして置きます。」
彩華と祥生は、さっさと、その現場を離れた。
「観光でもしようか? 街へ出て見よう。」
「そうだね、先ずお茶でも飲もうか?」
二人は、街でお茶を飲んだ。繁華な街では無いがカフェぐらいは有る。
その頃、調査隊の中では、議論の最中であった。
「帰ってしまったぞ。我々だけで行くか?」
「危険な所が有るので、勝手に入るなと言われて居るんだが?」
「あんな所に、何の危険が有るんだ?」
「前の仮調査での結論だ。勝手に入って、怪我でもしたら大変だよ。」
困ってしまった調査隊長は、調査隊の上部組織に相談を掛けた。
実は、この調査隊にも、WVの息の掛かった奴が居た。調査隊の護衛の話を、否定的な方向に誘導している。以前に有った事件と同じ構図だ。YAグループの失敗を多くして、SSS 内での信用を抑えようとしている。
「普通の護衛は居ませんか? 高校生が来まして、断ったんですが?」
調査隊は、警護組織に護衛のクレームをつけた。
「困りましたね、一番成功率の高い人を選んだんですが?」
「高校生ですよ。もっと大人は居ないのですか?」
「あのグループが、一番生存率が高いのですが?」
「子供ですよ。私達は不安なんです。」
SSS は、他の人間を探したが、アンデスの近くには人が居ない。任務に付いていない者を探しているのだが、早くとも、二日は見る必要が有った。
「二日有れば他の人が行けますが? 護衛範囲はかなり狭くなります。」
「どうしてですか? 人によって違うんですか?」
「人の依って相当差が出ます。前の人達は、かなり無理が効きます。」
「よく分かりませんが、私達の判断が間違ったんでしょうか?」
「今更、言っても始まりません。二日すれば。他の者を送ります。」
隊長は、皆んなに、それを告げた。
「そんな呑気な事を言って居れない。私は二日も無駄に出来ない。」
「私もそうです。そんなに待てない。」
「致し方が有りません。調査は一時中止にしましょう。」
「中止だって? せっかく来たのに。」
「それでは、護衛無しに行くしか有りませんが?」
色々と意見は有ったが、当然、結論は出ない。
結論が出ない事で、帰る人も居り、調査自体が実行不能に陥った。
彩華と祥生も、再びニューヨークに戻り、日本行きの飛行機に乗った。
「南米の観光旅行をした気分だね?」
「結局そうなってしまったな?」
「山雅さん、さっさと退いてしまったけど、あれで良かったの?」
「あの否定のされ方に違和感を持った。」
「それは私も感じたけど、かなりの時間が無駄になったね?」
それこそが、先方の狙いであろう。とにかく、失敗をさせたいのだ。最近、WV社の名前が、喧嘩の相手から、よく出る。
O-5 WV社破壊
「彩華、暫くの間、仕事を頼むよ。何日か隠密になる。」
「分かった。想像はつくわよ。」
祥生は、関係者を逆に辿って、YAグループへの干渉の再確認をした。仕事が片づいたあと、祥生は皆んなを集めた。
「一晩、皆んなに忍者を頼む。前と一緒だ。ある会社を潰す。」
「忍者じゃ無いと駄目? 何か漫画チックで、恥ずかしいんだけど。」
「顔も殆ど隠れるし、外国では、アニメで売れてるし。」
顔が隠れる利点もあり、皆んな渋々納得をした。
その日から三日ほど、YAグループは休みを取った。ある日の夜、ある事務所に、少年と何人かの少女が現れた。全て忍者姿で有った。
「何だ、お前等は?」
「ちょっと辛抱をして貰うよ。痛いのは瞬間だから。」
「なにを? ジャッキー、そいつ等を潰せ。」
「お前等こそ、痛い目を見て貰うぞ!」
「彩菜、そいつを任せたよ。」
「了解。任せて。」
数分後、その事務所の中で、意識の有る者は、居なくなっていた。
「データーは抜ける?」
「セキュリティを飛び越える技術がある。その機械を持ってきた。」
WV社の本社から、データーが抜き取られたのは、その頃で有る。本社には警備の連中が、十数人居たのだが、全ての社員達が意識を失った。
意識を取り戻した時には、その本社のデーターは、空になっていた。全ての 機器も、破壊されていた。
「全てか破壊されてしまった。社長からは大目玉を食らうな?」
「専務の命令なんだから仕方が無い。敵を作れば、こんな事も有る。」
「あれは、バレバレだわな? あんな怪しい動きをすればな?」
かなりのデーターは、各支社から復元出来た。しかし、肝心なデーターは、復元には無理が有った。抜かれたデーターは、行方不明だ。
その後、何処かから、WV社の裏の部分が漏れ出した。それらは、相当な大きさが有り、SSSも、無視は出来なかった。
「流石にWV社は使えないな?」
「あれを見逃したら、うちが危ない。」
「WV社の本社が、襲われたらしい。」
「何処にやられたんだ?」
「それは、公表されていない。」
「まあ、想像は付くがな? しつこく、やってた見たいだからな?」
WV社が探りを入れていた事も、当初からバレていた。WV社の行為が、YAグループの邪魔をして居た事には、WV社は気が付いていなかった。そこが雑務会社の限界であった。
「力の有る会社は、仕事に使っている力が全てでは無いんだよ。」
「なるほど、契約から外れた能力も、有る訳だな?」
「それを忘れると、その力をもって反撃される事もある。」
WV社は、相手が小規模集団と見て侮っていた。前に危険事案その物の支所が潰された事も忘れて居た。自分達の支所が潰された事も、過小評価をしていた。
「あのグループに、目をつけた所迄は良かったんだけどな。」
「成果を評価したのなら、その能力も評価すべきだった。」
「あそこも、民間から出直しだ。」
O-6 アンデス洞窟天井崩落
何日か後、彩華に組織から電話だ。
「申し訳ないんですが、もう一度南米に行って下さい。」
組織の話によると、違うグループが、前回と同じ洞窟に入った。そして調査をしていたところ天井が崩落した。比較的、安全そうな場所だったので、壁のサンプルを取っていたのだが、近くの天井が崩落をした。因果関係はハッキリしないが、入口の方が崩れたので、出られなくなった。
「至急、行く必要が有るんだけど、他の子を連れて行く?」
「彩菜だけでも良いが、もう一人は欲しいな?」
「全部行くって言ったら、どうする?」
彩華が祥生に尋ねる。
「今日中に出られるのなら、構わない。」
「了解。直ぐ手配する。」
祥生は、組織に連絡をした。緊急なので、今回は南米支部から行く。
「山雅さん、全部行けるって。」
「分かった。昼頃に、事務所に集まって。」
結局、祥生を含めて、六人で行く事になった。祥生は事務所に出向いた。
「彩華、揃ってるか? アンデス迄跳ぶよ。」
「分かった。皆、山雅さんに寄って。」
「今回は、南米支部から行った事になってるからね。忘れない様に。」
「了解しました。」
組織は、WVの事件も、何も無かった様に対応している。WVの行為は薄々分かって居るので、見て見ぬ振りをしている。
由香里と雅は、自保護と他保護までは出来る。瞬間移動や記憶消去等は、まだ出来ないが、それだけでも役に立つ。
今回の件も、機械が使用出来ない状態で、何故、祥生達だとの、疑問も残るのだが、祥生達は、特殊装備の能力だと誤魔化している。組織としては、疑問の解消には至っていないが、役に立つ事は確かなので、疑問のまま目を瞑っている。それに、どの組織も、超能力迄は想定していない。
「彩菜、洞窟の全景を俯瞰してくれ。北海道で有った様に、他の穴が、近くを通って居るとか、何か都合の良い情報は無いか?」
「そんな、絵に描いた様な、都合の良い情報って無いと思うよ。」
彩菜は、そう言いながら下を眺めて居たが、何かが気になったらしく、じっと見つめて居る。
「何か変だ。少し横の洞窟の枝と、この洞窟の奥の間に、ぼやけた場所が有る。」
「どのくらいの間隔がある?」
「20m以上有る。ぼやけて居るので、良く分からない。」
外は、まだ暗い。現地には殆んど人がいない。
「彩菜、事故現場を覗いてくれ。どんな状態だ?」
「六人居る。全部軽症、重傷者は居ない様子。」
「助かった。死者が居ると大変だからな?」
「死体を運ぶのは、ぞっとしないものね?」
取り敢えず、洞窟に入って調べて見る事になった。もし繋がって居たら、ややこしい手段を取らずに済む。洞窟の奥迄は時間が掛かるので、彩華が瞬間移動を使った。
「ここだよ。この向こうが、ぼやけていた。何かに土が被っているね?」
祥生も、妖視で見て居たが、少し向こうに、石の空間が有る。
「これは、石造りの建物みたいだ。被っている土を除けば、抜けられるんじゃないかな?」
彩華も見ていたが、側に寄って土砂に穴を空けた。
「私が、土砂を止めている間に、向かうを見て来て。」
「分かった。そのまま、そこに居てよ。」
そこは、二本の洞窟が、石作りの建物の、二方向の入り口になって居る。
建物は、崩れ掛けては居るが、人の通れる隙間は有る。
「彩菜は彩華の補助。僕は、向う側の洞窟へ行く。皆んな行くよ。」
祥生達は、十分程歩いて、洞窟の入り口にたどり着いた。そこは、細い入り口になっており、蔦や雑木に覆われて、良く探さなければ、外からは見えない。祥生は、雑木を押し退け、外へ出て見たが、何とか平地に下りられそうだ。いつの時代かに、山の斜面が崩れた模様だ。
「彩菜、聞こえるか?」
祥生は彩菜に、電話を掛けてみた。
「聞こえるわよ。ちょっと雑音が入るけど。」
「分かった。今から戻る。こっちの洞窟から外へ出られる。」
「了解。」
亜香里、由香里、雅、祥生の四人は、彩華と彩菜の元へ瞬間移動をした。
元の所に着いた祥生は、皆んなに言った。
「僕達は、こっちの洞窟から来た事にする。」
「分かった。」
「彩華、案内の振りをして、もう少し居て。今から被害者の所へ行く。」
女の子四人と祥生は、元の洞窟の方に行く。被害者達が見えて来た。
「あれ、君達は何処から来た。入り口は塞がって居る筈なのに。」
「偶然ですが、向こうに、一本洞窟が有ります。そこから入りました。」
その人達に、向う側の洞窟の説明をした。
「この辺りは危険なので直ぐ出ますよ。いつ崩れるか分かりません。」
皆んなを誘導して、向こうの洞窟に移し、祥生は彩華の元へ行く。
「もういいよ。ゆっくり出て。この建物は、僕が支えている。」
二人は交互に建物を支え、やっと建物から離れた。
「危ない所だった。土砂が崩れて塞がってしまった。急いて離れます。」
何とか言い訳が出来た。瞬間移動も記憶消去も、やらなくて済む。
「何とか助かりました。未調査の洞窟は危ないですよ。」
再々の話になるが、瞬間移動とか記憶操作は、妖能力に属する。幽能では、それらの能力は機能しない。
今その六人は、チリの田舎町のカフェに居る。
「あんな仕事は、あまり受けられないね? なんかヤバそう。」
「全くね、普通は、助けられない状況だからね?」
「しかし、絵に描いた様な状況になったね?」
「全く絵に描いた餅だね? 山雅さん、世界中のツキを持って来ているみたいだよ。」
彩華や祥生たち六人は、取り敢えず、その辺りの観光をした。
後日の事になるが、後の調査隊を助けた少年達は、新しい洞窟と遺跡を発見した。その話しを聞いた、先の調査隊は地団駄を踏んだ。
その少年達は、自分達が断った少年達だ。後の連中が、手柄を持って行った格好になってしまった。
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